ダンスホールやキャバレーで客からのリクエストに応えるため、流行歌のレコードを買い、楽譜を書き起こす作業などもしていたという、キダ・タローさんは、その後、大阪・難波のキャバレー「パラマウント」でピアノを弾いていた時、バンドマスターから初めて作曲を依頼されると、すぐに作曲できたといいます。

「キダ・タローは石原裕次郎(大学生)のバックバンドをしたことがあった!」からの続き

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19歳の時にキャバレー「パラマウント」で初めて作曲

キダさんは、19歳頃、大阪・難波のキャバレー「パラマウント」でピアノ弾きをしていた時、初めて作曲をしたそうですが、

(「パラマウント」は、見た目は立派で、お客さんの目に触れるところはきちんとしていたそうですが、裏はコンクリートむき出しで木の板が渡してあり、汚い所だったそうです)

ある日、バンドマスターから、

キダやん、曲書かへんか

と、言われたそうで、

キダさんが、

なんですのん

と、聞き返すと、

パラマウントが何周年かなんかでお客さんから詞を募集したらこんだけ来た。これが当選作やけど書いてみいひんか

と、作曲を依頼されたのだそうです。

すぐに作曲することができた

すると、キダさんは、(正式に作曲を学んだことはなかったにもかかわらず)すぐに作曲できたそうで、その理由について、

ビッグバンドのピアノの譜面っていうのは、こう弾けとは書いてないんです。コード進行の上にサックスがこう、トロンボーンがこう動くっていうのは書いてある。

その空いた(音の)隙間に自分のセンスでぺらぺらって弾く。どんなアホでもピアノ弾いていれば、自分のバンド(の楽器)がどんな動きをしているのか、体で分かる。それをワンステージ何十曲、毎日やるわけです

ジャズバンドでピアノを演奏すること自体が作曲作業なんです。楽曲はコード(和音)とメロディーとリズムでできており、決められたコードとリズムにアドリブ(即興)でメロディーを乗せる。すなわち、演奏中は絶え間なく、強制的に作曲してるわけですわ

と、語っています。

また、編曲についても、

良いアレンジの曲をやったときは、こいつセンスええなって思うでしょ。そういうのをやっていると、自然と、編曲・作曲のやり方というのが分かってくるもんです

ジャズピアノの楽譜には、コード進行とリズムのほか、各セクション(楽器)の動きが書いてある。どんなアホでも毎日、それを何万回も見て演奏してたら楽曲の構造が手に取るように分かって、編曲のノウハウが身に付く。当時、はやっていた映画音楽も簡単に楽譜に起こせましたよ

と、語っており、

偶然だったものの、ピアノをやっていたお陰で編曲ができるようになり、ピアノをやっていて良かったと思っているそうです。

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初めて作曲した歌を歌ったのは後の漫才トリオ「かしまし娘」の正司歌江だった

ちなみに、キダさんが、この時、作曲した歌を歌ったのは、当時、「パラマウント」でNO.1ホステスだった二葉さん(源氏名)という人だったそうですが、実は、二葉さんというのは、後の漫才トリオ「かしまし娘」の正司歌江さんだったそうで、

二葉さんは、もともと漫才師としてデビューするも、駆け落ちして漫才師を辞めたそうですが、その後、夫とは別れ、子供を育てるためにこの店で働いていたそうで、歌が得意だったため、しばしば、ステージに上がり、歌を歌っていたのだそうです。

「キダ・タローはTVCMソング等を3000曲以上手掛けていた!」に続く

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