入学式当日から練習が始まると、他の選手に先駆けて、一人だけ夜間練習が課せられていたという、長嶋茂雄(ながしま しげお)さんですが、今度は、「鬼の砂押」こと砂押監督から、暗闇の中、素手でノックを受けさせられたといいます。

「長嶋茂雄は立教大で砂押監督に暗闇の中キャッチボールを命じられていた!」からの続き

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暗闇の中でノックを命じられる

入学式当日から練習が始まると、長嶋さんだけが夜間練習を命じられ、1週間後には1年生全員も夜間練習を命じられたそうですが、その翌日の夜には、またしても、長嶋さんだけが、名指しで砂押監督に呼び出されたそうで、長嶋さんが駆け足でグランドに向かうと、

砂押監督は、ノックバットをしごきながら、

きたか

と、ニヤリと歯をむき出しにしたそうで

そこで、長嶋さんは、また、例の球なしノックかと思い、構えたそうですが、

砂押監督は、

今日は「実弾」でいくぞ

と、言ったそうで、

長嶋さんは、「はいっ!」と返事をしながら、いそいそとボールに石灰を塗りつけると、ホームプレートのところに並べ、守備位置であるサードに飛んでいったそうです。

(暗すぎて、砂押さんのユニフォームも白いぼんやりした形にしか見えなかったそうです)

暗闇の中でボールはほとんど見えなくなっていた

すると、その暗闇の底から、

砂押さんの、

いくぞ!

という声と共に、強いゴロが飛んできたそうで、

石灰を塗っていたため、最初の1~2本はまだ大丈夫だったそうですが、そのうち、バットに当たるたびに、闇の中で、パッと白く石灰の粉が飛び散り、グランドの砂をかんで急に見えなくなってしまったそうで、20本、30本と続くと、ボールはもうほとんど見えなくなってしまったそうです。

それでも、長嶋さんは、反射的に、グローブで顔を覆いそうになるのをぐっとこらえ、必死になって、

よし、こい、ノッカー!

と、叫んでいたそうですが・・・

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砂押監督から暗闇の中ボールを素手で捕るよう怒鳴られていた

暗闇の中、ノックバットが激しくボールをひっぱたく時の音と、ゴロがこっちにむかってくる一瞬の気配だけを頼りにするも、情け容赦ない打球が、長嶋さんの体ギリギリをかすめて何本かうしろへ抜けていくと、

砂押監督には、

バカ!ヘタクソ!グローブに頼るな

いいか、長嶋、ボールをグローブで捕ると思うな。心でとれ、心で・・・

と、怒鳴られたそうで、

その後もノックは続き、もう100本は取ったかと思われたそうですが、砂押さんは一向にやめる気配をみせず、それどころか、さらに20本、30本・・・と激しいノックを浴びせてきたそうで、長嶋さんは、とうとう声も出なくなってしまったそうです。

すると、砂押監督から、

まだお前はグローブに頼っている。そんなもの捨ててしまえ!素手だ。素手でとれ!

と、例のしわがれ声で怒鳴りつけられたそうで、

長嶋さんが、

軟式のボールなら素手でもとれる。しかし、あのかたい硬球を・・・

と、一瞬、ひるむと、

砂押監督には、

まだ、グローブを持ってるのか!

と、再び、怒鳴られたそうで、

ついに長嶋さんは覚悟を決め、グローブをかなぐり捨て、素手でノックの打球に向かったのだそうです。

「長嶋茂雄が立教大時代は砂押邦信監督から見込まれていた!」に続く

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