俳優デビュー2作目の映画「爆発!暴走族」でいきなり主演に抜擢されるなど、順調に俳優としてのキャリアを積んでいる最中に、覚醒剤取締法違反と銃刀法違反で逮捕されるも、友人の松田優作さんの助けもあり、復帰を果たした、岩城滉一(いわき こういち)さんは、1981年には、後に自身で「別格の宝物」と称することになる作品に出会います。
「岩城滉一は昔覚醒剤取締法違反と銃刀法違反で逮捕されていた!」からの続き
「北の国から」ではプライベートでも吉岡秀隆と中嶋朋子を可愛がっていた
覚醒剤取締法違反と銃刀法違反で逮捕されるも、その後、松田優作さんの助けを足がかりに、順調に俳優としてのキャリアを重ねた岩城さんは、
1981年には、北海道の美しい大自然を舞台に、黒板五郎と二人の子どもたちの成長を描いたテレビドラマ「北の国から」で、黒板家と実の家族のように接する北村草太役を演じ、一躍、ブレイクされます。
「北の国から」より。
ただ、岩城さんによると、出演オファーを受けた当初は、
そんな北海道の電気のないところ行ってどうすんのよ
と、思っていたそうで、
その後、本読みの段階となって、初めて作品の良さを理解されたそうで(涙が止まらなかったそうです)、
撮影に入ってからは、
この話はせつない部分も多いし、純や螢が泣いているときの顔がね、悲しすぎて耐えられない。だから芝居でもよくもらい泣きしてました
と、すっかり入り込み、
特に、黒板五郎の子どもたちを演じた、吉岡秀隆さんと中嶋朋子さんが可愛くいて仕方がなく、
初めて会ったとき、純も螢もただただかわいかった。純が〈明〉だとしたら、蛍は〈暗〉なんだけど、「ご飯たべたか?」とか、気になって声をかけたくなるようなかわいさでした
と、撮影以外でも、休みの日にスキーやスノボを一緒にするほか、お風呂に一緒に入って頭を洗ってあげたり、自身の部屋に二人を泊めて、両脇に抱っこして寝るなど、役柄さながら、しょっちゅう、二人と一緒に過ごしたのだそうです。
ボクシングのシーンではプロ相手に本当に失神していた
そんな岩城さんは、第21話のボクシングデビュー戦のシーンでは、なんと、本物のボクサー相手に戦っており、本当にノックアウトされて気を失い、病院に運ばれたそうで、
岩城さんは、後に、このシーンについて、
吹き替えにすることで、ありきたりなドラマになるのが嫌で、自ら出たんですよね。そうしたらノックアウトで本当に気を失い、想像以上にみんなが心配しちゃってね
と、おっしゃっているのですが、
杉田成道監督によると、
負ける設定はあったんだけど、勝っちゃったら全部書き直すつもりで「とにかく勝て」って言って、(岩城さんは)3カ月くらいガッツ(石松)さんのところでスパーリングやって、プロと試合をやったんですよ。
はじめ1ラウンドは勝ってたんですけど、次のラウンドになったら足がもつれてきて、本当にノックダウンされて、ピクリとも動かなくなったんです。
そのとき、純と螢が雪子おばさん(竹下景子さん)と一緒に見ているリアクションも同時に撮ってますので、彼らの顔は本当に蒼白になってるんです
と、岩城さんだけでなく、吉岡秀隆さんと中嶋朋子さんと竹下景子さんのリアクションまで、リアルに撮っていたそうで、
そこまでリアルにこだわる理由を、
「大きなウソをついても小さなウソはつくな」って言われるんです。もともとフィクションだから、それをリアルに感じさせるためには、細かいディテールが本当じゃなきゃダメだってことなんですね
と、語っておられました。
「北の国から」より。KOされる岩城さん。
北村草太の事故死には抗議の電話が殺到していた
そして、岩城さん演じる草太は、「’98時代」では事故死してしまうのですが、岩城さんは、
倉本先生から電話をいただいて、「岩城、今度のやつで死んでくれるか?」って。それまでも何かあると電話をいただいていたんです。「もちろん、先生がそう言うなら」と即答しました。
そのころ、僕は実は、年齢的にも体力的にも草太を演じるのが不安になっていて、それがバレてるのかと思うぐらいタイムリーな電話でした。
純と螢が「北の国から」で育ったのと同様、僕も北村草太として富良野で20年近く生活した男なんです。僕にとって、いろんな意味で、「北の国から」は別格の宝物なんだよね
と、語っており、「北の国から」はとても思い入れの深い作品となったそうです。
(ちなみに、フジテレビには、草太が事故死したことについて、視聴者から抗議の電話が殺到したそうで、岩城さんのお茶の間での人気ぶりが分かります。)