映画「となりのトトロ」では、素敵なファンタジーを描かれている、宮崎駿(みやざき はやお)さんですが、実は、この映画、宮崎さんの自宅がある、埼玉県所沢市の昭和30年代前半を舞台にしているのだとか。今回は、そんな宮崎さんの、所沢市への思い入れをご紹介します。
「宮崎駿が涙ながらに高畑勲へ贈った弔事は1ヶ月かけて書いていた!」からの続き
自宅は埼玉県所沢市
宮崎さんは、大学を卒業した頃に、東京から埼玉県所沢市に引っ越しされ、現在も、変わらず、所沢市で暮らされているそうです。(所沢市は新宿や池袋から30分のところにある東京のベッドタウン)
というのも、宮崎さんが大学卒業後に入社された「東映動画」や、漫画家・手塚治虫さんの「虫プロダクション」など、当時のアニメーション業界は、西武線に集中していたそうで、
まだ駆け出しでお金がなかった宮崎さんが、通勤に便利な西武線で住める場所といえば、家賃の安い所沢市しかなく、所沢市に住みたかったからというよりは、やむを得ずといった感じだったようです。
所沢市の自然が気に入っている
ただ、宮崎さんは、後に東京に「スタジオジブリ」を設立し、通勤の便が悪くなっても、現在に至るまで所沢市に住み続けておられ、
(所沢市には、思わず散歩をしたくなるような田んぼや雑木林などの自然があちらこちらにあるそうです)
今では、この場所を気に入り、自宅近くの雑木林の中を歩きながら、映画の構想を練られているそうで、あの「となりのトトロ」も所沢市の自然からインスピレーションを得て制作されたのだそうです。
「となりのトトロ」より。
宅地開発されそうだった雑木林を3億円で買い取り、所沢市に寄付
ちなみに、宮崎さんは、自宅近くにある「淵の森」と呼ばれる雑木林が宅地開発されそうになった際には、なんと、3億円を投じて、この雑木林を買い取り、所沢市に寄付されたそうで、
その後は、「淵の森保全連絡協議会」を立ち上げて自ら会長を務め、この雑木林を維持する活動を続けられているとのことで、宮崎さんのこの地への思い入れの強さがうかがえます。
「淵の森」で下草刈りをする宮崎さん。
「トトロの森」のゴミ拾いが日課
また、某スポーツ紙記者によると、
監督は自宅近くにあるあの森を守るため、欠かさず毎朝ゴミ拾いをしています。もうかれこれ15年くらいになりますかね。作業中は一市民だということで、取材をされるのはイヤみたいです
と、宮崎さんは、自宅近くの「トトロの森」で、毎朝1時間以上かけてゴミ拾いをされているそうで、
トトロの森
ここでも、宮崎さんの「所沢市の自然を美しく守りたい」という信念を感じます。
「トトロの森」でゴミ拾いをする宮崎さん。
(宮崎さんは、背筋をピンと伸ばし、素早い動きでゴミを拾われていたそうです)
大の航空機好きで軍事マニア
ところで、この所沢市、実は、日本初の飛行場跡であり、日本の航空産業が始まった街でもあることから、航空記念公園の敷地内にある「所沢航空発祥記念館」には、数多くの飛行機や戦争兵器が展示されているのですが、
所沢市の所沢航空記念公園
宮崎さんは、以前、3億円でゼロ戦を買おうとするなど、大の航空機好きであり、軍事マニアでもあり、
父親は戦争が大嫌いだったけれど、軍需産業の一翼を担って大儲けしたという矛盾をまったく気にしない人だった
と、自身もそのお父さんの気質を受け継いでいると自覚されているそうなので、豊かな自然と飛行機、両方とも揃った所沢市は、宮崎さんにとって最高の場所のようです♪
(アニメ「紅の豚」では、第一次世界大戦後、旧型となった木製の機体にロールスロイス製のケストレル(700馬力の航空機用エンジン)を搭載し、7.92mmシュパンダウ機関銃で武装する、というマニアックな設定となっています。)
「宮崎駿は「鬼滅の刃」の大ヒットをどう思っているのか?」に続く
「紅の豚」より。