15歳で重量挙げを始めると、20歳の時には、「ミスター・ユニバース」に輝き、その後、世界最高峰の大会「ミスター・オリンピア」で6年連続優勝を果たすなど、ボディービルダーとして世界に君臨し続けた、アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)さん。今回は、そんなシュワルツェネッガーさんの最高のトレーニングパートナーであり、親友でもある、フランコ・コロンブさんをご紹介します。
「シュワルツェネッガーはボディビル世界最高峰大会で6年連続優勝していた!」からの続き
フランコ・コロンブと一緒にトレーニングをすることが好きだった
シュワルツェネッガーさんは、当初、ウェイトリフティングの選手とし活躍していたのですが、そのリフティング会場で、フランコ・コロンブさんと知り合い、意気投合し、それ以来、一緒にトレーニングをするようになったそうで、
コロンブさんについて、
体重と筋力という関係からいうと、私が今までに会った中で最も強い男が彼だった。パワフルなので、一緒にトレーニングするのが好きだ
と、「彼こそ最高のトレーニング・パートナーである」と語っているのですが、
コロンブさんは、身長165センチ、体重83キロと、ボディビルダーとしては小柄な体躯だったにもかかわらず、デッドリフトでは、300キロ以上を軽々と持ち上げるほど力が強かったのだそうです。
フランコ・コロンブは人並み外れた精神力を持っていた
しかし、それは、人並み外れた精神力も大きな要素だったそうで、ある日のこと、シュワルツェネッガーさんにできた重量スクワットが、コロンブさんには1回もできず、シュワルツェネッガーさんに助けられながら、やっと立ち上がるほどだったことがあり、
(日頃は、常にシュワルツェネッガーさんよりコロンブさんの方がパワーがあったそうです)
シュワルツェネッガーさんが、これはチャンスとばかりに、
よし、今日はオレの方が強そうだな
と、ニヤニヤしながら言ったそうですが、
コロンブさんは、
オーライ、アーノルド
と、言いながら、再びバーベルを握ると、さっきまで1回もできなかったスクワットを、なんと、10回も正確に行ったそうで、
それは、シュワルツェネッガーさんからの挑発に対し、「アーノルドを打ち負かしてやる」という精神力からくるものに他ならなかったのでした。
フランコ・コロンブは数少ない切磋琢磨できる存在だった
そんなコロンブさんとシュワルツネッガーさんは、お互い、最高のトレーニングパートナーとなって、切磋琢磨していくと、シュワルツェネッガーさんのデビューから少し遅れて、コロンブさんも、フィジーク・コンテストに出場するようになり、初出場の「ミスター・ヨーロッパ」では4位。
その後、3位、2位と確実に上昇していき、1968年には優勝すると、同年の「NABBAミスター・ユニバース」では2位に輝くほか、1976年と1981年には、世界最高峰の大会「ミスター・オリンピア」で、見事、チャンピオンに輝いているのですが、
シュワルツェネッガーさんは、
私たちと他のビルダーの最大の相違点は、「オレはチャンピオンになる」という精神の持ち方だ。私たちは常にそれに向って闘い続けるが、ほとんどのビルダーは、それを強く精神に現わしていない
と、語っており、コロンブさんは、数少ない、切磋琢磨できる存在だったことを明かしています。
フランコ・コロンブは親友でシュワルツネッガーの映画にも出演
また、シュワルツェネッガーさんは、コンテスト・ビルダーにとって、大切なものについて、
(多くの人が、バルク(筋肉量)がボディビルダーにとって最も大切なものだと考えているが)バルクは確かに重要だが、もっと重要なのは、シンメトリー・プロポーション、そしてマスキュラリティである。
これらがうまく調和していなくてはならない。例えば、脚がよく発達していて、しかも胸、腕、背も素晴らしいものであっても、これらがうまく調和していなくては、決してコンテストには勝てない。
ジャッジは、まず第一にシンメトリー・プロポーションをみる。それから、他のいろいろの要素を基礎にして採点するのである
と、語り、
自身のことを、
私は生まれつき骨格は申し分なく、プロポーションもパーフェクトだと、自分を評しているが、この先天的に恵まれたプロポーションに加えて、シンメトリー、マスキュラリティ、それにバルクといったすべての要素が調和していたからこそ、「ミスター・ボディビルディング」になれたのである。
と、評している一方で、
コロンブさんについて、
始めてコロンブに会った頃、奴の胸は2つに分かれていて面白いもんだと思ったものである。それにガニ股で、とてもボディビルダーとして、フィジーク・コンテストのチャンピオンになれる玉じゃないと思った。
ところが、奴はパワーリフティングのチャンピオンだけでなく、フィジーク・コンテストのチャンピオンにもなろうとした
と、語っており、
決して先天的に恵まれていた訳ではななく、プロポーションという面においては、極めて条件が悪かったにも関わらず、不屈の精神力で、世界最高峰の大会「ミスター・オリンピア」に挑み、見事、チャンピオンに輝いた、コロンブさんを讃えています。
(コロンブさんは、後に、シュワルツェネッガーさんの代表作である映画「コナン・ザ・グレート」「ターミネーター」「バトルランナー」にも出演されています)
「シュワルツェネッガーの俳優転身当初は強烈なダメ出しを受けていた!」に続く
シュワルツェネッガーさん(左)とコロンブさん(右)。