床屋での待ち時間に、たまたま、雑誌で大阪の浪華商業高等学校（浪商）の記事を見つけると、体に電流が流れる感覚に襲われ、以来、頭から浪商のことが離れなくなったという、張本勲（はりもと いさお）さんは、顔を合わせる度にお兄さんに浪商への転校を頼み込み、ついには、お兄さんに浪商への進学を許されたそうですが・・・
「張本勲は松本商業に進学するも浪商に行きたくてたまらなかった！」からの続き
ついに兄が松本商業高校の横田監督に相談してくれる
第一志望の広島商業高校が素行不良が理由で不合格となると、次に受けた広陵高校の面接でも、言わでもの事を面接官に言って不合格となり、お兄さんの尽力で、なんとか、（野球部のレベルは低いながら）松本商業高校（現・瀬戸内高校）へ進学するも、
プロ野球選手になることを夢見ていたことから、このままではダメだと焦り、お兄さんと顔を合わせる度に、強豪の浪華商業高等学校へ入り直したい旨、懇願していたという張本さんですが、
ついに、お兄さんは、松本商業高校の横田監督に相談してくれたといいます。
兄は張本勲に野球の才能があるのか疑っていた
というのも、お兄さんは、エネルギーを持て余していた張本さんを、このまま広島でブラブラさせておけば、絶対に「極道」に足を踏み入れてしまうだろうと心配し、
（張本さんは、高校では、プロになるために、ありったけの力を野球に注ぎ込んでいたそうですが、志望校への道が次々と閉ざされてしまうと、相当荒れていたそうで、もともと憧れていたヤクザの世界に足を踏み入れてしまいそうな気配を、お兄さんは感じていたのだそうです）
とはいえ、お金の心配はもとより、そもそも、張本さんに、浪商に転校してまで野球の道に進むほどの才能があるかも疑問に思っていたことから、横田監督に相談したそうですが、
横田監督は、
できれば行かせてやってほしい。あいつは間違いなく化けるから
と、太鼓判を押してくれたそうで、
お兄さんが、
本当にモノになるのでしょうか
と、念を押すと、
広島に置いておくのはもったいない
とまで、言ってくれたのだそうです。
松本商業高校の横田監督には太鼓判を押されるも・・・
そこで、お兄さんは、悩んだ末に、もう一度、横田さんに相談に行ったそうですが、
横田監督は、
お兄さんはどっちをとりますか。私はあいつは化けると思いますよ。たとえ化けなくても、もう一度野球ができれば、あとはまじめに生きていくはずです。大変でしょうが、行かせてあげてください
と、まで言ってくれたそうで、
お兄さんは、この言葉で、張本さんを浪商に行かせる決意をしたのだそうです。
（お兄さんは、反対していたお母さんも説得してくれたそうです）
浪商の監督兼野球部部長の中島春雄はすんなり受け入れてくれなかった
こうして、ついに浪商への転入を許された張本さんは、お兄さんとともに、浪商の監督兼野球部部長の中島春雄先生を訪ねたそうですが・・・
中島先生は張本さんたちの話をすんなりとは受け入れてくれなかったそうです。
というのも、実は、張本さんは、以前、お兄さんやお母さんの許しを得る前に、友人２人と共に、中島先生に浪商に入れてくれるよう頼みに行ったことがあったそうですが、
（そのうちの一人は、後に阪急ブレーブスに入団した梁川郁雄さんだったそうです）
中島先生には、
そんなに甘いもんじゃない。悪いことは言わないから帰りなさい
と、あっさりと追い返されてしまっていたのだそうです。
「張本勲は兄のお陰で浪商に編入することができていた！」に続く
