第1回WBC日本代表チーム監督を要請された当初は固辞するも、ソフトバンクのオーナー・孫正義氏の「野球も世界一を競ってこそでしょう」の言葉を聞いて、代表監督を引き受けたという、王貞治(おう さだはる)さんですが、1次リーグ(A組)は2勝1敗で韓国に次ぐ2位で通過するも、2次リーグでは、初戦のB組2位のアメリカとの試合で、球審に“勝ち越し点”を取り消される判定もあり、サヨナラ負けを喫してしまいます。

「王貞治はソフトバンク孫正義の言葉でWBCの監督を引き受けていた!」からの続き

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1次リーグでは1位2位を決める最終戦で韓国に2対3の逆転負け

王さん率いる日本代表チームは、東京ドームで行われた1次リーグでは、中国(チャイニーズ・タイペイ)には圧勝するも、1次リーグの1位2位を決める韓国戦では、2対3と逆転負けし、A組2位(2勝1敗)で1次リーグを通過します。

(第1回WBCは、日本、米国、キューバ、韓国など16ヶ国が参加し、1次リーグは、日本、米国(アリゾナ、フロリダ)、プエルトリコ、2次リーグは、米国(アナハイム)、プエルトリコ、決勝トーナメントは、米国(サンディエゴ)で、全19日間に渡って開催されました)

2次リーグ初戦アメリカ戦ではイチローの先頭打者ホームランで先制するも・・・

そして、2次リーグでは、初戦、B組2位のアメリカと対戦すると、

(アメリカは、ロジャー・クレメンス投手(ヒューストン・アストロズ)、デレク・ジーター内野手(ニューヨーク・ヤンキース)らメジャーリーグのスター選手が勢ぞろいしていました)

日本代表は、初回、イチロー選手の先頭打者ホームランで先制し、2回には川﨑宗則選手のタイムリーヒットで3対0とリードを広げるのですが、その後、アメリカに追いつかれ3対3となります。

しかし、3対3の同点で迎えた8回表、一死満塁のチャンスで岩村明憲選手(東京ヤクルト)がレフトへ飛球を放ち、三塁走者・西岡剛選手(千葉ロッテ)がタッチアップから生還して、勝ち越しかと思われたのですが・・・

2次リーグ初戦アメリカ戦では判定を覆されサヨナラ負け

一旦はセーフと判定されるも、アメリカ代表バック・マルティネス監督の抗議を受けたボブ・デービッドソン球審が、西岡選手の離塁が早かったと、判定を覆えし、アウトになってしまいます。

(王さんも、その後、抗議をするも受け入れられず)

そして、9回裏には、アメリカに、ヒット、エラー、死球で満塁とされた後、ヒットを打たれ、痛恨のサヨナラ負けを喫してしまったのでした。

判定を覆す審判の体たらくにがっかりしていた

これに対し、王さんは、試合後の会見で、

野球発祥の地でこういうこと(判定の変更)があってはならない

と、語っているのですが、

負けたからではなく、王さんは、審判とは「毅然」「明快」であるべきと考えていたことから、そう語ったのだそうです。

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現役時代のハンク・アーロン選手との本塁打競争では自身のポール際の打球を「『明らかにフェア』とは言えない。だからファウルだ」と言われていた

というのも、王さんは、1974年、ベーブ・ルース選手の通算714号の本塁打記録を塗り替えたばかりのハンク・アーロン選手(アトランタ・ブレーブス)がオフに来日した際、イベントで共に本塁打競争を行ったそうで、結果、9対10で負けたそうですが、

(このイベントはメッツとの日米野球の前座として行われたそうですが、本番に劣らぬほどの注目を集めたそうで、ファンだけでなく、ベンチの両軍選手からも熱いまなざしが注がれているのがよく分かったそうです)

王さんがポール際に打球を打ち込んだ際、審判に、「『明らかにフェア』とは言えない。だからファウルだ」と、言われていたそうで、

この時、審判はこれくらい毅然としているべきなんだと、認識していたからで、

王さんは、著書「もっと遠くへ 私の履歴書(日本経済新聞出版)」で、

昨今メジャーではビデオ判定が広く導入されてきた。日本でも監督の抗議で判定が覆るシーンが見受けられる。ますます厳しい目が向けられる審判の権威はこれからどうなっていくことだろう。

と、綴っています。

「王貞治はWBCで奇跡的に準決勝に進出していた!」に続く


もっと遠くへ 私の履歴書(日本経済新聞出版)

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