1976年には、テレビドラマ「円盤戦争バンキッド」で、念願の俳優デビューを果たすも、その後、オーディションでは落ち続け、毎月、事務所に給料の前借りをしに行くという生活が続いていたという、奥田瑛二(おくだ えいじ)さんですが、やがて、大きな運が巡ってきます。
「奥田瑛二の俳優デビューは「円盤戦争バンキッド」!」からの続き
日活映画「もっとしなやかに、もっとしたたかに」の主人公役を直訴
奥田さんが、ある日、事務所を訪れた際、たまたま手にした台本を読んだところ、読めば読むほど、この主人公(森下愛子さんとW主演)は自分が演じるべきだと思ったそうで、
すぐに監督の藤田敏八さんに手紙を書いて、主人公を演じさせて欲しいと訴えたところ、監督は奥田さんの熱意に打たれたのか、奥田さんを主人公に起用してくれたそうで、
奥田さんは、1979年、日活映画「もっとしなやかにもっとしたたかに」で、ヒロインの森下愛子さんに翻弄される男を演じると、この映画での演技が認められます。
「もっとしなやかに、もっとしたたかに」より。奥田さんと森下愛子さん。
以降、次々に映画のオファーが来るようになったそうで、同年、東陽一監督作品「もう頬づえはつかない」では、ヒロイン・桃井かおりさんと同棲する大学生を自然体に演じ、たちまち脚光を浴びます。
「もう頬づえはつかない」より。奥田瑛二さんと桃井かおりさん。
NHKのドラマに立て続けに出演し全国的にも知名度を高める
また、奥田さんは、本格的にテレビドラマにも出演するようになり、
(それまでも端役では出演していました)
1981年 銀河テレビ小説「愛・信じたく候」
1982年「憤激の恋」
「とおりゃんせ」
1983年「宵待草」
大河ドラマ「徳川家康」
1984年「宮本武蔵」
「宮本武蔵」より。役所広司さん(左)と奥田さん。
など、NHKのドラマに立て続けに出演し、全国的に知名度を高めます。
テレビドラマ「男女7人夏物語」などで人気を博す
すると、その後は、「金曜日の妻たちへIII 恋におちて」(1985)、「男女7人夏物語」(1986)、「金曜日には花を買って」(1986)など、出演ドラマが大ヒットを記録。
奥田さんもたちまちブレイクを果たし、トレンディドラマの俳優のはしりとして、多くの女性ファンを獲得したのでした。
「男女7人夏物語」より。(左から)奥田さん、片岡鶴太郎さん、明石家さんまさん。
当初は「男女7人夏物語」の出演を断っていた
ちなみに、奥田さんは、テレビドラマ「男女7人夏物語」のオファーが来た当初は、共演者が、明石家さんまさんや片岡鶴太郎さんであることを聞き、
お笑いの人とは一緒に仕事は出来ない
と、断っていたそうで、
スタッフから、大女優の大竹しのぶさんも出演するからと説得され、引き受けたのだそうです。
映画「海と毒薬」で「毎日映画コンクール男優主演賞」を受賞
さておき、こうして、テレビドラマで一躍人気を博した奥田さんですが、あくまで、映画へのこだわりが強く、1986年には、遠藤周作さんの同名小説を原作とする熊井啓監督作品で、太平洋戦争末期、米軍捕虜の生体実験を行なった二人の医学研究生を通し、戦争の名の下に人間性が失われていく恐怖を描いた「海と毒薬」で、初の単独主演に抜擢されると、
良心の呵責(かしゃく)に苦しむ医学生・勝呂を演じ、「毎日映画コンクール男優主演賞」を受賞しています。
「奥田瑛二のデビューからの出演ドラマ映画と監督作品を画像で!」に続く
「海と毒薬」より。奥田さん(左)と渡辺謙さん(右)。