「カイザーケラー(kaiserkeller)」で、客として来ていた写真家のアストリッド・キルヒャー(Astrid Kirchherr)さんと知り合うと、すぐに交際に発展し、出会って2ヶ月で婚約したという、スチュアート・サトクリフ(Stuart Sutcliffe)さんですが、今回も、引き続き、二人が出会うまでの経緯についてご紹介します。
「スチュアート・サトクリフとアストリッド・キルヒャーの馴れ初めは?」からの続き
アストリッド・キルヒャーは渋々「カイザーケラー」を訪れていた
「ビートルズ」にお近づきになりたい一心で、自作のレコードジャケットを持参するも、渡せず仕舞いで終わってしまったという、クラウス・フォアマンさんですが、
翌日には、再び、恋人のアストリッド・キルヒャー(Astrid Kirchherr)さんに、「ビートルズ」の素晴らしさについて語り、今度こそ、一緒に観に行ってほしいと熱心に頼んだところ、アストリッドさんは、渋々ついてきてくれることになったそうです。
(クラウスさんとアストリッドさんは、独ハンブルクの美術学校で知り合い、交際を始めたそうで、この頃、クラウスさんは雑誌社でポスターを描く仕事をし、アストリッドさんはカメラマン助手として働いていたそうです)
アストリッド・キルヒャーとはお互い一目惚れだった
こうして、クラウスさんは、ようやく、アストリッドさんと(もう一人、友人のユルゲン・フォルマーさんと3人で)「カイザーケラー(kaiserkeller)」を訪れたそうですが・・・
なんと、アストリッドさんがスチュアートさんに一目惚れしてしまいます。
アストリッドさんによると、客席に背中を向けて演奏準備をしていたスチュアートさんの背中を見ていると、スチュアートさんが振り返って目が合ったそうで、その瞬間、スチュアートさんに一目惚れし、身体が震えるほどの激しい恋に落ちたのだそうです。
また、スチュアートさんも、アストリッドさんに一目惚れしたそうで、後に、
彼ら(アストリッドさん、クラウスさん、ユルゲンさん)は本物のボヘミアンで、目が離せなかった
と、語っています。
(※ボヘミアンとは、社会の規範にとらわれず、自由で放浪的な生活をする人のこと)
アストリッド・キルヒャーは「ビートルズ」の演奏にも魅了されていた
そんなアストリッドさんは、後に、スチュアートさんと初めて出会い、「ビートルズ」の演奏を初めて聴いた、この夜のことを、
かなり怖かったわ。(「カイザーケラー」には)鼻のつぶれたテディ・ボーイ(不良少年)とか、正真正銘の乱暴者が居たんです。でも、あの5人を見た時、全てを忘れました。自分でもワケが解りませんでした
まるで頭の中でメリー・ゴー・ラウンドが回っているみたいで。本当にものすごく素敵だった
ビートルズは、テディ・ボーイのような服を着ていたわ。ハンブルクでは、見たこともないような先の尖った靴を履いていたの。彼らが私たち(ボヘミアン)の身に着けていた物に魅了されたように、私たちは、彼らのそれに魅了された。
とてもタイトなズボンに小さな灰色のジャケット。もちろん、彼らはあまり服は持っていなかったわ。髪をとかしてもみあげを整えていた。
たった数分間で人生がすっかり変わってしまった。バンドのみんなと一緒にいたい、知り合いになりたいと、もうそれしか考えられなくなった
と、語っているのですが、とりわけ、アストリッドさんのお目当ては、スチュアートさんだったといいます。
(ちなみに、アストリッドさんが「鼻のつぶれたテディ・ボーイ」や「正真正銘の乱暴者」と言っているのは、「カイザーケラー」は一般市民は近づかないような歓楽街にあったことから、そこに出入りしていたのは、いかがわしい人間ばかりだったということのようです)
「スチュアート・サトクリフはドイツ人に大人気だった!」に続く