ステージでの準備中、目が合い、互いに一目惚れしたという、アストリッド・キルヒャー(Astrid Kirchherr)さんとスチュアート・サトクリフ(Stuart Sutcliffe)ですが、アプローチしたのはアストリッドさんからだったそうで、その後、アストリッドさんによる口コミでスチュアートさんはドイツ人に大人気となったそうです。
「スチュアート・サトクリフとアストリッド・キルヒャーは互いに一目惚れだった!」からの続き
アプローチはアストリッド・キルヒャーから
お互い一目惚れだったという、スチュアートさんとアストリッドさんですが、イギリス人とドイツ人ということで、当初はお互いの言葉が分からず、コミュニケーションを取ることができなかったそうですが、
アストリッドさんが、当時、恋人だったクラウス・フォアマンさんに英語を習い、独英辞典持参で積極的にスチュアートさんと会話をするようになったといいます。
アストリッドさんとスチュアートさん。
ドイツ人に大人気だった
また、アストリッドさんは自身が恋人のクラウスさんからされたように、クラウスさんと共に「ビートルズ」の素晴らしさを、熱心に友人たち(ドイツ人)に語ったそうで、
その結果、アストリッドさんとクラウスさんの友人が「カイザーケラー(kaiserkeller)」に訪れるようになり、最終的には、店の雰囲気を変えてしまうほど大勢訪れるようになったそうで、
これまで、独ハンブルクにいながら、ほとんどドイツ人と接することがなかったスチュアートさんたち「ビートルズ」も、休憩時間に、アストリッドさんたちドイツ人と話すようになったのだそうです。
(これまでのロックファンとは異なる、「芸術家」タイプで「実存主義的」な新たなファンを獲得したのだそうです)
ちなみに、ジェームズ・ディーンに似た雰囲気を持ち、ただ一人サングラスをかけ、愛想を振りまくことも、(他のメンバーのように)ステージ上で飛び跳ねることもなかったスチュアートさんは、新しくお客としてやって来たドイツ人にとても人気があったそうです。
(左から)ピート・ベストさん、ジョージ・ハリスンさん、ジョン・レノンさん、ポール・マッカートニーさん、スチュアートさん。
「ビートルズ」の写真はアストリッド・キルヒャーが頼み撮影していた
さておき、このように「ビートルズ」(主にスチュアートさん)に夢中になったアストリッドさんが、「ビートルズ」のメンバーに写真を撮らせて欲しいと頼むと(お目当てはスチュアートさん)、「ビートルズ」のメンバーもこれを承諾したそうで、
最初の撮影が、「デア・ドム」と呼ばれる地元の公園で行われると、撮影終了後、アストリッドさんは、「ビートルズ」のメンバーをアルトナの実家に誘い、親交を深めたそうです。(ピート・ベストさんだけはドラムの補修ということで、別行動だったそうです)
アストリッド・キルヒャーは顔の半分に光を当てる独特の方法で撮影していた
以降、アストリッドさんは、「ビートルズ」に会う時は必ずカメラを持っていくようになったそうで、たびたび、「ビートルズ」の写真を撮影しているのですが、
アストリッドさんは、光と影を巧みに使い、顔半分に光を当てて強い陰影を作るテクニック(ハーフシャドウ)で、初期の頃の「ビートルズ」の写真を数多く撮影しています。
(独ハンブルク時代のスチュアートさんの写真がたくさん現存しているのは、アストリッドさんによるものです)
ちなみに、「ビートルズ」がリリースした2枚目のアルバム「WITH THE BEATLES」(1963)のジャケット写真は、ロバート・フリーマンという写真家が撮影したもので、このテクニックが使われているのですが、
「ビートルズ」のメンバーが、アストリッドさんが撮った「ハーフシャドウ」の写真を見せて、「これと同様のものを撮影してほしい」と依頼して、撮影されたものだったそうです。
「ビートルズ」はアストリッド・キルヒャーからポージングを教わっていた
また、アストリッドさんは、まだ、プロのミュージシャンとして写真撮影に慣れていなかったメンバーに、カメラの見方、ポーズのとり方を教えたそうで、
「ビートルズ」のメンバーは、どうやったら自分たちを最高にかっこよく見せられるかを、アストリッドさんから学んだのだそうです。
「スチュアート・サトクリフの婚約者アストリッドはビートルズの女神だった!」に続く
アストリッド・キルヒャーさんが撮影した「Three of Us」。(左から)ジョージ・ハリスンさん、スチュアートさん、ジョン・レノンさん。