入学式当日から、さっそく野球部の練習が始まると、練習が終わった後も、一人だけ夜間練習を命じられたという、長嶋茂雄(ながしま しげお)さんですが、それから1週間後には、野球部全員が「鬼の砂押(監督)」に集められ、暗闇の中でのキャッチボール練習が始まったそうです。

「長嶋茂雄は立教大で一人だけ夜間練習を命じられていた!」からの続き

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「鬼の砂押」による「球なしノック」の練習が1時間続いた

入学式初日から一人だけ夜間練習を命じられた長嶋さんは、2日目、3日目・・・と同様に続き、ようやく、長い長い1週間が終わったその日(雨が降っていたそうです)、風呂当番に当たっていたそうで、チームメートの垢(あか)がヘドロのように浮いている残り湯に、わびしくつかっていたそうですが、

突然、野球部の新人の親方である宗野さんから呼び出しがかかったそうで、駆け足でグランドに行くと、既に腕まくりした砂押監督が待ち構えていたそうです。

(新人は全員集合だったそうです)

すると、砂押さんは、「これから、球なしノックをやる」と、しわがれた声で言いながら、長嶋さんたちをねめ回したそうで、雨が降る中、球なしノックが1時間たっぷりと続いたそうです。

(球なしノックとは、一種のシャドー・プレーで、砂押さんがノックバットを構えて振ると、実際には、ボールが飛んで来ないのに、さっと左右どちらかに体を移動させ、一塁へ送球するふりをするそうで、ボールが来ないため、エラーするはずはないのですが、ちょっとでも気を抜くと、砂押さんのしわがれた声が容赦なく飛んできたそうです)

球なしノックの後は暗闇の中でのキャッチボール練習が始まる

そして、やっと、球なしノックが終わったように見えたため、

みんなで帽子をとって、

ありがとうございました

と、砂押さんに向かってお辞儀をしたそうですが・・・

(みんなの間には、「鬼の砂押」というけれど、なんだこの程度だったのか、というホッとしたような、残念なような空気が流れていたそうです)

砂押さんは、雨に濡れそぼった顔をニヤッとさせ、

バカ!慌てるな。練習はこれからだ

と、言ったそうで、

今度は、キャッチボールが始まったのだそうです。

(すでに日は暮れ、お互いの顔がほとんど見えない状態だったそうです)

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ボールに石灰を塗るも暗闇の中ではよく見えなかった

そんな中、宗野さんが、重そうなダンボールの箱をドサッと置くと、中には、白い石灰が入っていたそうで、ボールに石灰を塗るように指示され、みな、我先にと石灰をつかみ、ボールに塗ったそうです。

(闇の中でもボールが見えるようにするためだそうです)

そして、砂押さんの「始めろ!」の号令で、みな、一斉にキャッチボールを始めたそうですが・・・

すべすべした硬式ボールになすりつけただけの石灰は、5~6回投げるとたちまち取れてしまい、ボールは見えなくなったそうで、みんなが、暗がりの中で目をこらして、中腰でそっと投げ合い出すと、

(そうでもしなければ、ガツンと顔に当たりそうだったそうです)

その途端、闇の中で、砂押さんが、

こらっ!真剣にやらんか!

と、しわがれた声で怒鳴りながら、ノックバットでみんなのお尻を叩いたそうで、

長嶋さんたちは、恐ろしくて震え上がったのだそうです。

「長嶋茂雄は立教大で暗闇の中素手でノックを受けるよう命じられていた!」に続く

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