2004年に脳梗塞で倒れた後、筋トレと見まごうほどの過酷なリハビリに励んでいたという、長嶋茂雄(ながしま しげお)さんですが、2013年、国際オリンピック委員会で、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定すると、聖火リレーに参加することを目標に、ますます、リハビリに精を出していたといいます。
金田正一のお別れ会では両脇を支えられていたことから体調が心配されていた
長嶋さんは、2020年1月21日、金田正一さんのお別れ会に出席するため、久しぶりに公の場に姿を現しているのですが、その際には、両脇を関係者に支えられており、よほど、具合が悪いのではと体調が心配されました。
(それまでは、階段や車の乗り降り以外、人前で介助を受ける姿を見せなかったそうです)
金田正一さんのお別れ会に参列する長嶋さん。
(そもそも、もともとは、この金田正一さんのお別れ会も欠席する予定だったそうで、会が始まってしばらくしてから会場入りしたそうです)
東京オリンピック開会式の聖火リレーに参加
ただ、家ではよくしゃべり、「外の空気を吸いたい」「歩きたい」と、前向きな発言も多く、順調に回復していたそうで、
(2018年に胆石で長期入院した影響により腰が悪くなっていたことから、娘の三奈さんら家族や周囲に外に出ることを止められていたそうです)
2021年7月23日の東京オリンピック開会式では、王貞治さん、松井秀喜さんと共に新国立競技場での聖火リレーに参加し、左手で聖火を受け取ると、そのトーチを王さんに渡し、松井さんに支えながらゆっくりと歩いています。
2021年東京オリンピックより。(左から)王貞治さん、長嶋さん、松井秀喜さん。
東京オリンピックの聖火ランナーを務めることが夢だった
実は、長嶋さんにとって、東京オリンピックの聖火ランナーを務めることは、かねてよりの夢だったそうで、
2018年の取材では、
何らかの形で(東京オリンピックに)関わることができたら、自分にとっても最高の人生になるね
やっぱりオリンピックは特別なの
と、語っていたといいます。
脳梗塞によりアテネオリンピック出場(野球日本代表監督)を断念していた
というのも、長嶋さんは、2002年12月2日に、アテネオリンピック出場を目指す野球の日本代表チームの監督に就任すると、2003年11月に行われたアジア選手権では中国・台湾・韓国を下して(優勝)、オリンピック出場を決め、オリンピックに向けて最後のチーム作りをしていたのですが、
そんな中、2004年3月4日、脳梗塞で倒れ、アテネに行くことができなくなってしまっており、そのような経緯から、「スポーツの祭典」と言われるオリンピックへの思いは特別なものがあったそうで、
実際、2013年、国際オリンピック委員会で、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定すると、聖火リレーに参加することを目標に、ますます、リハビリに精を出していたそうです。
(もともと、東京オリンピックは2020年開催予定で、長嶋さんは聖火ランナーの有力候補に挙げられていたのですが、そんな折、胆石で長期入院を余儀なくされ、せっかくそれまでリハビリで鍛えていた筋力が落ちてしまい、2020年夏の時点では参加不可能な状況だったそうですが、東京オリンピックの開催が2021年に延期され、2020年秋からリハビリを再開すると、2021年には、東京ドームで開幕戦を観戦するほか、その後、ファーム落ちした丸佳浩外野手を「励ましたい」と、二軍のジャイアンツ球場を訪問するまでに回復していました)
オリンピックには人間を感動させる役割があると語っていた
また、長嶋さんは、オリンピックには「スポーツの祭典」という意味だけではなく、「役割」があると考えていたそうで、
(1回目の東京オリンピックでは)当時(1964年)は日本が初めてアジアでオリンピックをやるということで、大丈夫なのかなという心配もあった。
ところが1月、2月と進んでいくと首都高速道路ができて、新幹線が通って、東京の街中がすべてオリンピックで繋がっていったからね。上へ上へとだんだん良くなっていく、まさにその瞬間だった。
オリンピックを2回もやるというのは、アジアの中では他にはそうはない。それをやるわけですし、昭和39年とはまた違う、意義というのが出てくるはずだと思います
と、語っているほか、
(1964年のオリンピックでは、日本経済が飛躍的に成長したという意味)
コロナ渦で開催された、今回(2021年)の東京オリンピックの役割についても、
新型コロナウイルスは、世界中の政治や経済を混乱に陥れてきました。そして、このたびは我々の夢と希望である東京オリンピック・パラリンピックを前例のない、新しい様式へと変化させようとしています
出場するアスリートの皆さんには、この混乱に動じることなく、日頃の成果を思う存分、出し切って欲しいと思っています。日の丸を背負っているという誇りを忘れずに、大会までの残されたわずかな日々を競技活動に打ち込んで欲しいと願うばかりです
今回の東京オリンピック・パラリンピックは前例のない厳しい環境の中での開催となります。
しかし野球ばかりではなく参加するすべてのアスリートの皆さん、観戦する我々も忘れてはならないのは、スポーツには人間を感動させる力があるということです。
そしてスポーツの使命は、その感動を分かち合うことなのです。
すべてのアスリートの皆さんが、この晴れの舞台で思う存分に躍動されることを願っております
と、語っています。