お父さんがカメラの仕事で大成功を収め、大金持ちとなったことから、裕福な家庭で何不自由なく育たれた、萩本欽一(はぎもと きんいち)さんですが、小学4年生の時、人生が一変します。

「萩本欽一の幼少期は父親が成功し大金持ちだった!」からの続き

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小中学時代は恥ずかしがり屋で人付き合いが大嫌いだった

萩本さんは、級長なのに、「起立!」と言えず、「……きっ……きっ……」と後の言葉が続かないほど、とても恥ずかしがり屋な少年だったそうで、

恥ずかしがり屋は、中学生になっても治らず、むしろひどくなっていったため、人付き合いが嫌で嫌でたまらなかったそうです。

そのため、家のすぐ近くにあった植物園に、いつも一人で絵を描きに行っては、至福の時間を過ごし、しゃべらなくても済む「絵かき」になりたい、と思っていたそうです。

父親には母親公認の愛人が

ところで、そんな萩本さんのお父さんには、なんと、お母さん公認の愛人がいたそうで、夏休みになると、お母さんから、

おばちゃんのところに遊びに行ってきなさい

と、言われたそうです。

そして、お母さんの言う通り、その「おばちゃん」の家に遊びに行くと、

おばちゃんは、萩本さんの、

動物園に行きたい

今度は海がいい

と、言うところに、ちゃんと連れて行ってくれたそうで、

そのため、萩本さんは、幼いながらも、

(おばちゃんは)お母さんより自分を大事にしてくれる人

という認識があったのだそうです。

(その後、お父さんが他界してからも、萩本さんは、「おばちゃん」とよく一緒にいたそうです)

箱入り娘で一切家事をしなかった母親

ちなみに、萩本さんのお母さんは、

子どもが横道にそれるのを全力で避ける。それこそが母親の務め

お父さんの面倒を見るのは、それほど重要ではない。そんなのは他の人でもできる

との考えで、

(萩本さんいわく、「子育てで手一杯だから、父の面倒を見ている余裕なんてない」というお母さんの言い分)

そのうえ、結婚前は箱入り娘だったことから、お父さんが仕事から家に帰ってきても、食事の用意をしないでボーッと座っているほか、洗濯をしたこともなく(お手伝いさんが全部やっていたそうです)、自分でするという発想がなかったのだそうです。

母親から父親は立派だと言い聞かされて育つ

また、萩本さんは、お父さんとは仲が悪いわけではなかったものの、お父さんは、普段は、都内の愛人の家で過ごし、週末にしか家に帰って来なかったことから話す機会がほとんどなく、

萩本さんが、子供心に、

あれ? うちは他の家とちょっと違うのかな?

と、不思議に思い、お母さんに尋ねたことがあったそうですが、

お母さんからは、

とにかく男というのは働くことが一番大事。毎日家に帰ることができるような仕事は、ちゃんとした仕事とは言えません

あまりこういうことは言いたくないけど、よそのご家庭はあまりちゃんとしたお仕事をなさっていないんじゃないですか?

と、言われたそうで、萩本さんは、「そういうものか」と納得されたのだそうです。

(お母さんからは、いつも、お父さんは立派な父親だと言い聞かされていたそうです)

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父親が事業に失敗して失踪

しかし、萩本さんが、小学校4年生になった時、

お父さんが、

これからは大きなカメラを首からぶら下げる時代ではない。手に持てるような小さいカメラに取って代わるぞ

と言って、工場を作り、小さいカメラに勝負を賭けると、これが大失敗。

お父さんは、最後には、借金で首が回らなくなり、いくつか回していた店もどんどん閉鎖せざるを得なくなり、最後の砦だった上野の駅前の店を長男(萩本さんのお兄さん)に任せると、姿を消してしまったのでした。

当然、急に店を任されたお兄さんだけでうまくいくはずもなく、そのうち家賃が払えなくなり、借金取りが家にまでくるようになると、

萩本さんは、

今、両親はいません

と、伝えるよう、お母さんに言われて出ていくのですが、

いるのに、いないって嘘つくんじゃねぇよ!

と、借金取りは激昂。

それは、まるで地獄のような光景だったそうで、

萩本さんは、

借金取りの催促があまりにもしつこいものだから、最後は根負けした母親が玄関まで出ていくんだよね。それで何を話すかっていうと、「申し訳ございません……。申し訳ございません……」ってこれだけ。

実際、それしか言うことがないのよ。正座の体勢で「申し訳ございません」って言うたびに母親は頭を下げるものだから、額が床につく音がコツンとするわけ。その「コツン、コツン……」という音に合わせるようにして、僕の目からは涙が「ポロリ、ポロリ……」とこぼれましてね。

と、語っておられました。

「萩本欽一が芸能人を志したのは父の借金苦と中2の先生がきっかけだった!」に続く

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