近所の工場跡地で、水道の蛇口(カラン)や鉛管から鉄屑を集め、お金を稼ぐことに成功したなべおさみさんは、今度は、自宅の工場敷地でも金属屑を集めて大枚を稼ぐと、全て大好きな映画館通いにつぎ込んだそうです。

「なべおさみは小5にして鉄屑集めでお金を稼ぐことに夢中になっていた!」からの続き

Sponsored Link

自宅の工場敷地でも金属屑を集めて稼いでいた

自分たちの遊び場である工場跡で、水道の蛇口や鉛管から鉄屑(くず)を集め、見事お金を稼いだなべさんは、今度は、自分のところの工場敷地でも作業に着手したそうで、毎日、学校から飛んで帰っては、せっせと工場の敷地を掘り返し、金屑をお金に換えます。

(この敷地は、戦前、旋盤工場だったことから、抜き物の金属や切子がたくさん埋まっていたそうで、時々地面から金属片が出てきて、ここで野球をしていた住み込みの若いお兄さん達を困らせていたことを、なべさんは知っていたのだそうです)

とはいえ、ちょうどこの頃、煙突用の運搬トラックが、鉄屑を踏んではタイヤに突き刺さってパンクしていたそうで、なべさんが敷地を掘り返していたことは、誰も文句を言わないばかりか、それを見ていた伯父さんが、なべさんの知らないところで、なべさんのこの行動を褒めていたそうで、なべさんは、会社のみんなから賛美と敬意の眼差しで見られていたのだそうです。

稼いだお金は天井裏に隠して一人で楽しんでいた

そんななべさんは、カランと鉛管で稼いだお金の札束を、小箱に入れて押入れの天井に隠していたそうで、いつも、床につきながら天井を眺めては、一人ニンマリとしていたそうで、(兄姉妹と5人で寝ていたそうですが)ついには声に出して笑ってしまうこともあったのだそうです(笑)

(実は、なべさんは、金屑集めでお金を稼ぐ前、毎日映画を観るため、お母さんの財布からこっそりお金を抜いていたそうですが、後に、お母さんがそのことを知りつつも、わざと抜き取りやすいところに財布をおいてくれていたことを知ったそうです。ただ、それまで抜いた分を、そっと入れ直しておくほどの配慮はなかったとのことでした。)

当時の鉄屑の売値は?

ちなみに、なべさんによると、当時、鉄屑屋への売値は、

鉄が一貫(3.75キロ)30円で、最も安く、

鉛は、百匁30円、
真鍮は、百匁60円、
銅は、百匁80円と、

銅が最も高く買い取ってくれたとのことでした。

(※一貫=千匁(もんめ))

Sponsored Link

稼いだお金は全て映画館通いにつぎ込んでいた

さて、そんななべさんも、ついには、リヤカー運びを終える時が来たそうですが、その頃には、公園や学校の水飲み場から蛇口がもぎ取られる事件が多発。マンホールの蓋や電線まで切り取られる社会現象にまでなったそうですが、

なべさんはというと、小学5年生にして、自分の稼いだお金で映画を観ながら、次はどうやってタダで映画を観ようかと思案にふけっていたのだそうです。

(結局、当初の目的だった家を出るための貯金は、全て映画館通いにつぎ込んだせいで、できなかったそうです)

「なべおさみは高1の時ヤクザのもと銀座三悪のヒーコヤを仕切っていた!」に続く

Sponsored Link