「ビクター」のオーディションに合格してからは、大ヒットメーカーの吉田正氏に弟子入りが決まり、デビューに先駆け、超人気歌番組「ロッテ歌のアルバム」にテレビ出演するなど、「ビクター」の強力なバックアップを受けた、橋幸夫(はし ゆきお)さんは、いよいよ、デビュー曲「潮来笠(いたこがさ)」をリリースすると、爆発的なヒットを記録します。

「橋幸夫はデビューに先駆け人気TV歌番組で売り込まれていた!」からの続き

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デビュー曲「潮来笠(いたこがさ)」が爆発的な大ヒット

1960年6月(高校2年生の時)、デビューに先駆け、超人気歌番組「ロッテ歌のアルバム」にテレビ出演した橋さんですが、

これが功を奏し、「あの若者は誰だ」と話題になったそうで、同年7月5日、満を持して、「ビクターレコード」よりファーストシングル「潮来笠」でデビューすると、いきなり、爆発的な大ヒット。


潮来笠

これにより、橋さんは、同年末の「第2回日本レコード大賞新人賞」を受賞するほか、「第11回NHK紅白歌合戦」にも初出演するなど、たちまちスターダムに駆け上がります。

ただ、当の本人の橋さんはというと、

2回目ですからまだ全然知らないですよ。お水さん(水原弘)の『黒い花びら』は知っていたけど、まだできたばっかりの賞ですからね。

僕はまだ無我夢中でビクターの人から『新人賞というのを取れたぞ』っていう感じですよ。うれしいとかすごいとか全然思っていなかった、正直。

実感が湧いたのは後からですね、4回目からちゃんとした新人賞ができて、その時はサブちゃん(北島三郎)なんですね。僕この年に大賞取っていますが、この時はレコ大のイメージはありました

と、語っており、当初は実感が湧いていなかったそうです。

「日本レコード大賞」の「新人賞」は橋幸夫のために作られていた

実際、当初、「日本レコード大賞」「新人賞」というものは無かったそうで、第2回の時、橋さんのために初めて作られたというのです。

というのも、橋さんは、デビュー前の1960年7月に歌番組に何度か出演してから、7月5日にレコードデビューし、その後、8月には、「ビクター」主催の浅草国際劇場での「オールスター大行進」で、先輩たちに囲まれながら、生ステージデビューを果たしているのですが、

この頃あたりから全国でレコードが売れ始め、営業部から、「どんどんオーダーが来るよ」と言われると、10月には、「すげーよ、これは!」と、みるみるうちに売上を伸ばし、この時点で既に、この年の「レコード大賞」の候補者に上がっていたそうで、

さすがに大賞受賞とはなりませんでしたが、「あの子がすごく目立つ」と、「レコード大賞」の審査員の中で橋さんが話題となり、何か賞をつけられないかと、急遽、「新人賞」ができ、橋さんが「新人賞」の第一号となったのだそうです。

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橋幸夫は「舟木一夫」という芸名でデビューするはずだった

そんな橋さんですが、なんと、「舟木一夫」という芸名になる予定だったのだそうです。

実は、橋さんは、作曲家・遠藤実先生の内弟子として、「遠藤歌謡教室」でレッスンを受け、3年のレッスンが終了した後、満を持して、遠藤先生専属のレコード会社「日本コロムビア」のオーディションを受けているのですが、あえなく不合格となり、その後、「ビクター」で合格、という経緯があるのですが、

遠藤先生は、橋さんのために「舟木一夫」という芸名を考えてくれていたそうで、もし、橋さんが「日本コロムビア」に合格していれば、「舟木一夫」でデビューする予定だったというのです。

このことについて、橋さんは、

僕は遠藤実先生の内弟子で3年通いました。遠藤先生が専属だったコロムビアを落ちて僕はビクターに行きました。もし合格していれば遠藤先生が僕のために考えてくれた芸名『舟木一夫』でデビューするはずでした。

自分で育てた弟子をライバル社に行かせることは無念だったと思います。『吉田先生のもとでデビューできるんだったらおめでたい』と送り出してくれました。

遠藤先生も断腸の思いを舟木君で学園モノにかけたんですよ(※)。吉田先生に対抗する格好でね。『高校三年生』を初めて耳にしたのはタクシーのラジオでした。ただ、『今の曲は舟木一夫でした』と聞いた時にはビックリで『えっ、俺の名前だよな』って。

これ本当の話。僕がコロムビア受かっていたら『潮来笠』はないし、今の舟木君は名前も違うだろうし『高校三年生』もないかもしれない。これも運命です

と、語っているのですが、何とも、運命としか言いようがないですね!

(※舟木一夫さんは、1963年6月に、遠藤先生の弟子として「日本コロムビア」より、「高校三年生」でレコードデビューすると、発売1年でミリオンセラーとなる大ヒットを飛ばし、たちまち、スターの仲間入りをされています)

「橋幸夫のデビュー直後3年間の忙しさが凄すぎる!」に続く

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