歌舞伎の枠を超えて、シェイクスピア劇「オセロー」、泉鏡花作品「天守物語」ほか、映画、演劇、朗読、舞踊など、活動の場を広げ、海外でも認められるようになっていった、坂東玉三郎(ばんどう たまさぶろう)さんは、1989年には、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダさんの舞台「ナスターシャ」で男女2役を演じます。

「坂東玉三郎は泉鏡花の「天守物語」が大ヒットしていた!」に続く

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ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダの舞台「ナスターシャ」で2役

坂東さんは、1989年、ドストエフスキーの「白痴」を原作とするポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダさん演出の舞台「ナスターシャ」で、ナスターシャという女性とムイシュキン公爵という男性の2役を演じているのですが、

劇中、坂東さんは、長いショール1枚羽織ったナスターシャとして登場し、そのショールをはずすと、あっという間にムイシュキン公爵に変身。ショール一枚で見事、男女を演じ分けるという、早業を披露しています。

(変身にショールを使うことは坂東さんのアイディアだったそうです)


「ナスターシャ」より。

アンジェイ・ワイダの「ナスターシャ」は坂東玉三郎のために作られた芝居だった

実は、ワイダさんは、ポーランドで、既に「白痴」を上演していたのですが、 1980年に来日した際、坂東さんの「椿姫」を京都・南座で観劇して衝撃を受けたそうで、

いつか、坂東さんで「白痴」を上演したいと考え、それまで、ムイシュキン公爵とラゴージンだけの二人芝居だったものを、坂東さんが2役やるという前提で、ナスターシャを登場させるべく、すぐに台本を書き直したそうで、この「ナスターシャ」は、坂東さんのために作られたお芝居だったのだそうです。

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アンジェイ・ワイダが坂東玉三郎を絶賛

ちなみに、ワイダさんは、1989年1月25日に開催された「ドストエフスキーとワイダの演劇を語る」という集いで、

西欧のキリスト教、ユダヤ教の考え方からは、神は最初は男をつくって、それから女をつくりました。 確かに、私も、神が最初に男をつくったと考えています。その後で女をつくったということです。

しかし、神様はしばらくたって、その自分のしたことに不満を感じまして、それで玉三郎さんを創造したのではないかと思います。

と、坂東さんを絶賛。

一方、坂東さんも、ワイダさんについて、

アンジェイ・ワイダさんと『白痴』をやったときも、さまざまな国の侵略にさらされてきたポーランドというお国柄かもしれないけれど、ワイダさんにはどの国の人ともあたたかい心でつながってなければならない、という思いがあって、

ドストエフスキーという「文学」を通して、人間の普段の言葉では言い表せないような共通語を、演劇を通して見つけ、その心のつながりを大切にしようとしていました。

と、語っています。

(この「ナスターシャ」は、同年、坂東さん主演で映画化もされています)

「坂東玉三郎の出演舞台ドラマ映画・演出舞台・監督映画を画像で!」に続く


「ナスターシャ」より。

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