新生「チューリップ」として、もう後がない中で、制作しリリースした、3枚目のシングル「心の旅」が大ヒットした、財津和夫(ざいつ かずお)さんですが、実は、レコーディングの当日に、急遽、リードヴォーカルからコーラスに替えられ(姫野達也さんがリードヴォーカル)、ショックを受けていたといいます。

「財津和夫が若い頃はチューリップで「心の旅」が大ヒット!」からの続き

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「心の旅」は姫野達也が急遽リードヴォーカルに抜擢されていた

「チューリップ」は、それまで、財津さんがリードヴォーカルを務めており、「心の旅」でも、財津さんがリードヴォーカルを務めるつもりだったそうですが、レコーディング当日、誰かが、

この曲は財津じゃなく、姫野(達也)に歌わせよう

と、言い出したそうで、

(まるで、その時に初めて思いついたかのような口ぶりだったそうですが、新田ディレクターらが前日に話し合って決めたのだろうと、思ったそうです)

財津さんはショックを受け、姫野さんが歌う姿を、スタジオの片隅で膝を抱えながら、ただ呆然と見つめていたのだそうです。(財津さんはコーラス担当)

また、姫野さんは、初めてリードヴォーカルを任されたことから、目を白黒させながら歌っていたそうで、財津さんは、そんな姫野さんの様子を見ながら、もう絶対にヒットはしないだろうと思い、こんなレコーディング、早く終わってしまえばいいのに、と投げやりな気分になっていたのだそうです。

それでも、録音次第では、よい出来栄えになっているかもしれない、と思い、発売日当日、レコードを聴いてみたそうですが、やはり、どうしようない出来で、絶望的な気持ちになっていたのだそうです。

「心の旅」を自身のリードヴォーカルで歌えなかった悔しさが残っていた

ただ、当初は、財津さんの予想通り、鳴かず飛ばずだったものの、日を重ねるごとに、姫野さんの甘い歌声が女性の心を掴み、リリースから5ヶ月後には、オリコン1位となる大ヒットとなっており、

財津さんは、後に、「心の旅」がヒットしたのは、姫野さんがリードヴォーカルを務めたからだと語っているのですが、

やはり、「チューリップ」最大のヒット曲となった「心の旅」を自分の声で歌えなかった悔しさが残っているようで、

NHK「ザ・ヒューマン」での財津さんのインタビューをまとめた書籍「人生はひとつ でも一度じゃない」で、著者の川上雄三氏は、そんな財津さんの様子を、

財津の自宅で、居間のテーブルの上にアルバム「心の旅」を置いてインタビューするということがあった。そのときの懐かしげながら、少しさみし気な財津の横顔を今も忘れることができない

と、綴っています。


人生はひとつ でも一度じゃない

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財津和夫が「心の旅」でコーラス担当となったのは高い評価が故だった

ちなみに、財津さんではなく、姫野さんが「心の旅」のリードヴォーカルをするよう提案したのは、やはり、財津さんの推察通り、新田ディレクターだったそうですが、

新田ディレクターは、決してネガティブな理由から、財津さんの代わりに姫野さんを抜擢したわけではなく、

(新田ディレクターは、財津さんを日本のトップヴォーカリストの一人だと評価していたそうです)

この歌の強力な武器はコーラスにあると判断し、Aメロとの対比を出すために、財津さんの歌声が「あ~だから今夜だけは君を抱いていたい」のサビでどうしても必要だと判断したそうで、

リードヴォーカルは姫野さんとし、財津さんが力強いコーラスを歌い上げる方がベストだろうと判断してのことだったそうです。

「財津和夫が若い頃はチューリップで「青春の影」「サボテンの花」が大ヒット!」に続く

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