公式戦初打席の平松政次投手との対戦では、速球に全く手が出ず、3球三振に倒れた、田淵幸一(たぶち こういち)さんですが、その翌日の、大洋ホエールズとのダブルヘッダーの第2試合では、2打席連続本塁打を放ち、周囲を驚かせたといいます。

「田淵幸一のプロ初打席は平松政次に3球三振(見逃三振)していた!」からの続き

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開幕戦の翌日のダブルヘッダー第2試合ではスタメンに起用される

オープン戦で弱点の内角高めを攻められて、本来のバッティングを見失い、4月12日の開幕戦でも、大洋ホエールズのエース・平松政次投手のストレートに手が出ず、3球三振に終わっていた田淵さんですが、

その翌日の4月13日の大洋ホエールズとのダブルヘッダーの第2試合では、なぜか、7番捕手として先発出場することになったそうです。

というのも、ダブルヘッダーの第1試合では、頼みの村山実さんが打ち込まれて1対4で負け、連敗してしまっていたそうで、

後藤監督によると、

(キャッチャーを)第1試合はダンプ(辻恭)、次はヒゲ(辻佳)でいくつもりやったが、連敗してチームのムードが沈んでしもた。士気を上げるためにも若手に切り替えた方がええと考えたんや

と、田淵さんがスタメンに起用されたのでした。

デビュー2試合目にして2打席連続本塁打を放つ

すると、田淵さんは、6回1死走者なしで回ってきた第3打席、大洋の池田投手の初球・真ん中低めストレートを弾丸ライナーで左翼席中段へと突き刺すと、

(その打球の速さと飛距離の大きさに、スタンドのファンも大洋ナインも呆然と打球を見送ったそうです)

8回2死一塁で回ってきた第4打席でも、阿部成行(後に成宏)投手から、軽々と左中間スタンドへ放り込み、2打席連続本塁打を放ったのでした。

(阿部投手は、外角いっぱいのシュートで誘うつもりが、ボールが1個分内へ入ったそうで、田淵さんはそれを見逃さなかったのでした)

元阪神の捕手・土井垣武も驚いていた

そんな田淵さんは、

オープン戦ではさっぱりだったけれど、それなりにいい体験をしたんですよ。きょうホームランが打てたのもその経験があったから。ほら、ボクは公式戦が好き、と言っていたでしょ

と、あっけらかんと、コメントしているのですが、

対戦相手の大洋の別当監督は、

彼のリストの強さには驚いている。まったく見事な2発だ。たしかに新しいスターだ

元阪神の捕手で、それまで厳しいコメントをしていた産経新聞の評論家の土井垣武さんも、

気弱そうな打撃をして迷い続けてきた田淵が2発・・・予想もしなかった

と、コメントしています。

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グリップを下げることが功を奏していた

実は、田淵さんは、前日、大洋ホエールズとの開幕戦で平松政次投手に3球三振に倒れた後、愕然として合宿所「虎風荘」に帰ると、すぐに、大鏡の前に立って、「なぜ、振れなかったのか」「何がいけないのか」「どうすれば平松のスピードに勝てるのか」と、食事も取らず、何時間もバットを構えて振っていたのだそうです。

(その晩は、目をつむるとその3球が出てきて眠れなかったそうです)

すると、そんな悶々とした中、ふと、グリップの位置が高すぎてバットを速く振ることが出来なかったことに気づいたそうで、

この日、グリップの位置を胸のマークまで下げると、2打席連続ホームランを打てたのだそうです。

「田淵幸一が若い頃は江夏豊と「黄金バッテリー」と呼ばれていた!」に続く

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