就職活動の時期、映画の字幕翻訳家に憧れるも、どうすれば翻訳家になれるのか分からず、スクリーンの隅にあった字幕翻訳家の清水俊二さんに手紙を書き送るも断られ、その後は、字幕へのチャンスを伺いながら、フリーランスで翻訳の仕事をしていたという、戸田奈津子(とだ なつこ)さん。

今回は、そんな戸田奈津子さんの、下積み時代とも言える、大学時代からフリーランス翻訳家時代までを時系列でまとめてみました。

戸田奈津子

「戸田奈津子の生い立ちは?中学・高校・大学時代は映画館に通い詰めていた!」からの続き

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戸田奈津子は大学3年の頃に翻訳家の清水俊二に手紙を書き送っていた

映画の字幕翻訳家に憧れるも、どうすればよいのか分からず、途方に暮れていたという戸田奈津子さんは、同級生が就職活動に勤しむ中、唯一の手がかりだった、映画の最後に映し出される「日本版字幕 清水俊二」の、清水俊二さんに藁(わら)をも掴む思いで、

字幕翻訳の仕事をしたいのですが

と、手紙を書いたそうです。

(当時は電話帳で調べると住所が載っていたそうです)

すると、それから数週間後、返事をもらい、会ってくれることになったそうで、銀座の映倫(映画倫理機構)の事務所まで勇んで訪ねて行ったそうですが・・・

清水俊二さんには、

難しいね

と、言われ、断られてしまったそうです。

というのも、映画の字幕翻訳は、清水俊二さんをはじめとする、50代、60代の、大学の先生のような、ひと握りの人たちが一手に引き受けてやっていたそうで、大学を卒業したばかりの若い女性がおいそれとできる仕事ではなかったのだそうです。

戸田奈津子は大学卒業後は第一生命保険の秘書となるも仕事がつまらなく約1年半で退職していた

そこで、戸田奈津子さんは、大学卒業後は、大学の推薦で第一生命保険の秘書室に就職し、英文関係の秘書として働き始めたそうで、そこでは、お給料もきちんと出て、厚生施設も整っており、ある意味とてもいい職場だったそうですが、

英文のやり取りと言っても毎日あるわけではなく、本を読むことは許されていたものの、暇でつまらなく、9時から夕方の5時まで席に縛られることが苦痛だったそうで、結局、1年半ほどで退職したのだそうです。

戸田奈津子は23歳頃にはフリーランスで翻訳の仕事をしていた

そんな戸田奈津子さんは、実は、第一生命保険で秘書をしながらも、清水俊二さんへは、

まだ字幕への夢は捨てていません

と、一筆添えて、暑中見舞いや年賀状に送っていたそうで、

第一生命保険を退職後は、通信の原稿を書いたり、雑誌や単行本の翻訳をするほか、清水俊二さんにも仕事をもらいに行っていたそうで、字幕では無いもののフリーランスで翻訳の仕事をしたそうです。

(清水俊二さんは、「鉄腕アトム」など、海外に輸出するための、日本のテレビ番組のシナリオを英訳する仕事を紹介してくれたそうです)

戸田奈津子は30歳過ぎに水野晴郎の依頼で通訳の仕事も始めていた

その後、戸田奈津子さんは、30歳を過ぎた頃には、清水俊二さんの紹介で、「日本ユナイト映画」(洋画配給会社)で、翻訳のアルバイトをすることになり、ビジネスレターのタイプの仕事や、映画の台本のあらすじをまとめる仕事をしていたそうですが、

そんな中、宣伝部長だった水野晴郎さん(後に映画評論家)に、映画関係者が来日するので急遽通訳が必要になったと、通訳の仕事を依頼されたそうで、

戸田奈津子さんは文字でしか英語を勉強してこなかったことから、英語を話したことはなく、一度は断ったそうですが・・・

水野晴郎さんは押しが強く、嫌だ嫌だと言って逃げ回るも、最終的には、強引にやらされることになったのだそうです。

しかし、結果はボロボロだったそうで、戸田奈津子さんは、せっかく映画の仕事に就いたのにクビだと、覚悟したそうですが、なぜかクビにはならず、それ以来、通訳の仕事もするようになったのだそうです。

ちなみに、後に、戸田奈津子さんは、

結局、大切だったのは英語力ではなく、映画の知識があるかどうかだった。それから日本語の勉強ができないと駄目。外国語だけ知っていてもプロにはなれないんですよ

と、語っています。

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戸田奈津子が30代の時は字幕の仕事に近づけず不安を感じるも諦めるつもりはなかった

こうして、通訳の仕事もするようになった戸田奈津子さんは、仕事に切れ目がなく、食べていくには困らなかったそうですが、

やりたかった、”字幕の仕事”にはなかなか近づけなかったそうで、不安になることもあったそうですが、諦めるつもりはさらさらなかったといいます。

「【画像】戸田奈津子の若い頃(字幕翻訳家デビュー以降)から現在までの経歴を時系列まとめ!」に続く

お読みいただきありがとうございました

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