「ノルウェイの森」「ねじまき鳥クロニクル」「アフターダーク」「海辺のカフカ」「1Q84」「騎士団長殺し」「街とその不確かな壁」などの長編小説のほか、「神の子どもたちはみな踊る」「東京奇譚集」などの短編小説集を次々と発表すると、
2006年には、チェコの文学賞でノーベル文学賞の登竜門と言われている「フランツ・カフカ賞」を、アジア人で初めて受賞した、村上春樹(むらかみ はるき)さんですが、プライベートはどのようなものだったのでしょうか。
今回は、村上春樹さんの、妻との馴れ初め、結婚後の関係(夫婦仲)、また、子供がいない理由についてもご紹介します。
「村上春樹の生い立ちは?少年期は読書三昧!大学では脚本家志望だった!」からの続き
村上春樹の妻・陽子との馴れ初めは?
村上春樹さんは1971年10月、大学在学中の22歳の時、同じ早稲田大学の友人だった高橋陽子さんと学生結婚しています。
村上春樹さんは陽子さんと、文学史の講義でたまたま隣の席に座ったことがきっかけで知り合ったそうですが、すぐに、交際に発展したわけではなく、長い間、友人関係が続いていたといいます。
村上春樹が妻・陽子と結婚を決めた理由は「退屈しなかった」から
それから、どのように交際に発展したかは不明ですが、村上春樹さんは、大学3年生の時に、陽子さんと同棲を始めたそうです。
ただ、同棲が嫌だったことや、一人っ子として育ったことで、家に両親しかいない従属的な環境から早く自分の世界を持ちたいとの思いから、結婚を決めたそうで、
村上春樹さんは、読者の質問に答える形で、陽子さんと結婚した理由について、
僕の考える結婚の基準ですか?とても単純です。「この人と一緒にいたら絶対に退屈しないだろうな」と思えることです。どんなに素敵な人でも、どれほどいろんな条件が揃った人でも、「退屈だな」と感じたら、まずやっていけません。
退屈なのってきついですよ。これはもちろん僕の個人的な見解に過ぎませんし、異論もあるかとは思いますが。
と、語っています。
ちなみに、陽子さんは、
- 読書家
- カメラが得意で、村上春樹さんのエッセイ「うずまき猫の見つけ方」などに写真を提供
- 陶磁器に詳しくて骨董品屋巡りが趣味
- 数十年に渡って毎日欠かさず日記をつけ続けている(死ぬ時は燃やすつもりとのこと)
- もしも夫よりも好きな人ができたら迷いも躊躇もなくその人のもとに飛び込んで行くだろうと思われるはっきりした性格
とのことで、
陽子さんが感性豊かな女性であり、村上春樹さんが「退屈しない」と言っていたことが分かります。
村上春樹は妻・陽子と共にジャズ喫茶「ピーター・キャット」をオープンしていた
そんな村上春樹さんは、陽子さんと結婚後は、お金がなかったことから、文京区千石で寝具屋を営む陽子さんの実家に居候していたそうで、
昼はレコード店、夜は喫茶店でアルバイトをして、2人で2年間で250万円を貯めると、さらに、両方の親と銀行から250万円を借り、国分寺駅南口にあるビルの地下に、(生活のために)ジャズ喫茶「ピーター・キャット」をオープンしたそうです。
村上春樹と妻・陽子の夫婦仲は良好
その後、村上春樹さんは、ジャズ喫茶を経営するかたわら、小説を書き始めると、ジャズ喫茶の仕事が終わった真夜中に1時間ずつ4ヶ月間かけて完成させ、
1979年4月には、「群像」に応募した「風の歌を聴け」が「第22回群像新人文学賞」を受賞し、作家デビューすると、1981年には、専業作家になる決意をし、ジャズ喫茶を人に譲ったそうですが、
その際、村上春樹さんが、陽子さんに、
とにかく二年間は僕の自由にさせてほしい。それでだめならまたどこかで小さな店を開けばいいじゃないか。まだ若いんだし、やりなおしはきくよ
と、言うと、
陽子さんも、これを了承してくれたのだそうです。
また、村上春樹さんと陽子さんは、2人で世界をあちこち旅行しているそうで、夫婦仲は良好のようです。
村上春樹と妻・陽子の間に子供がいない理由は?
村上春樹さんと陽子さんの間には子供はいません。
村上春樹さんは、(子供ができなかったのではなく)子供を持たないことを選択したそうで、
インタビューで、
特にぼくみたいな仕事は、家の中でぎりぎりで仕事をしているでしょ。そうすると、子供がいるとやっていける自信がなくなってくる。わりにスタイルをきちっと規定してやっちゃうタイプなので、そこに新しいものが入り込んでくるのはなじめないですからね
と、語っています。
また、子供のいない人生について、著書「村上さんのところ」(読者からの質問に答えるという目的でネット上に設けられた特設サイトの回答を抜粋しまとめたもの)で、ある43歳の男性が、
無条件に愛せる存在がほしかった
生きる張り合いがない
と、嘆いていたのに対し、
村上春樹さんは、
ため息をついていないで、がんばって前向きにいきてください。僕にも子供はいませんが、ため息なんてついてませんよ。
『無条件に愛することができるもの』は与えられるのではなく、自分で見いだしていくものです。与えられなかったことを嘆いているだけでは、人間として進歩はありません。あなたがあとに残せるものはなにも、自分のこどもだけではないはずですよ
と、答えています。
そして、インタビューで、子供のいない人生について聞かれた際には、
子供がいるかいないかは、作業の方向性が少し変わるだけで人生のクオリティを左右するものではない。
と、答えています。