1971年、石原裕次郎さんの人柄に惹かれて、借金で倒産寸前だった「石原プロモーション」に入社されて以来、石原さんが亡くなった後も、石原さんと強い絆で結ばれていた、渡哲也(わたり てつや)さんですが、実の弟で俳優の渡瀬恒彦さんとも特別な絆で結ばれていたようです。今回は、そんな渡さんと渡瀬さんの知られざる兄弟の絆についてご紹介します。

「渡哲也が石原プロ解散を決断?その真相は?」からの続き

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弟は渡瀬恒彦

渡さんの弟さんは、俳優で歌手の渡瀬恒彦(わたせ つねひこ)さんです。

渡さんは、大学生(青山学院大学)の時、早稲田大学に通う渡瀬さんと東京で共同生活をしていたのですが、大学在学中、渡瀬さんと渡瀬さんが所属していた空手部の仲間が、内緒で、浅丘ルリ子主演100本記念映画」の相手役となる新人「ミスターX」の募集に応募したことがきっかけで、芸能界に入られました。

その後、渡瀬さんも、「東映」の社長だった岡田茂さんにスカウトされて芸能界に入られているのですが、その後も、兄弟の仲はとても良かったようです。

渡哲也と渡瀬恒彦の兄弟共演は?

渡瀬さんは、「仁義なき戦いシリーズ」「十津川警部シリーズ」をはじめ、渡さん同様、数多くのテレビドラマや映画に出演されているのですが、兄弟揃って俳優となれば、やはり、共演が気になるところ。

実は、お二人は、これまで、

1971年「あまくちからくち」
2011年「帰郷」
2013年「十津川警部シリーズ『消えたタンカー』」


「帰郷」より。渡さん(左)と渡瀬さん(右)。

と、3度だけ共演されています。

弟・渡瀬恒彦は兄・渡哲也を尊敬していた

そのうち、3度目の共演となった、「十津川警部シリーズ」「消えたタンカー」では、渡さんが犯人役、渡瀬さんが犯人を追い詰める刑事役という、初の兄弟対決を演じられているのですが、

もともと、この作品のプロデューサーが、渡さんの大ファンだったことから、いつか、兄弟共演を実現させたいと熱望し、渡さんに出演を依頼。

しかし、渡さんは、「帰郷」で兄弟共演をした際、

兄弟共演はこれで最後です

と、宣言していたことから、一度は断られます。

それでも諦めきれないプロデューサーは、渡瀬さんに、なんとか口説いてほしいと頼み込まれたそうで、その熱意に打たれた渡瀬さんが、お兄さんを説得。

それから1ヶ月後、ついに渡さんが折れたのだそうです。


「消えたタンカー」より。渡瀬さん(左)と渡さん(右)。

というのも、実は、渡瀬さんにも、

もう一度、共演したい

という気持ちがあったとのことで、

撮影が始まると、渡瀬さんは、渡さんが現場に来る時は1時間前に来て待ち、自分の出番がない時でも、渡さんの芝居を見ていたそうで、周囲の目から見ても、強い兄弟愛が感じられたそうです。

ちなみに、渡瀬さんは、

兄は俳優としていちばんいい時期に、石原プロに尽くしているんですよ。ある時、兄に、「どうして石原プロなの?」と聞いたら、「裕次郎さんだ」と言うんです。

「裕次郎さんが何?」と聞くと、「優しいんだ」と。人を許すことができる裕次郎さんの器の大きさ、それと同じようなものを、ぼくは兄から感じるんです。

と、おっしゃっていたそうで、やはり、兄・渡哲也さんに尊敬の念を抱いておられたようです。

弟・渡瀬恒彦が死去

しかし、渡瀬さんは、2015年8月末、体調不良を訴え、医療機関で検査を受けられると、「胆嚢ガン」が発覚。

この時、余命1年の告知を受けてしまいます。

それでも、都内の大学病院で、5ヶ月間、抗ガン剤の投与と放射線治療を受けられると、その後も、入退院を繰り返しながら治療を続けていたそうで、少しずつ仕事もこなされていたのですが、

2017年3月14日、「胆嚢ガン」による多臓器不全のために東京都内の病院で他界され、

渡さんは、所属事務所の「石原プロモーション」を通じて、

当初より、ステージIV、余命1年の告知を受けておりましたので、今日の日が来る覚悟はしておりましたものの、弟を失いましたこの喪失感は何とも言葉になりません。

幼少期より今日に到るまでの二人の生い立ちや、同じ俳優として過ごした日々が思い返され、その情景が断ち切れず、辛さが募るばかりです。

2017.3.16 渡哲也

と、直筆のコメントを発表し、最愛の弟を偲ばれました。

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兄弟の深い絆

ちなみに、渡さんは、渡瀬さんのガンが発覚し、闘病生活が始まってからは、それまで滅多になかった、お互いの家の行き来を頻繁にし、連絡を取り合っていたそうで、

どちらが先に逝っても、派手なお別れ会はやめておこう

と、約束されていたそうです。

また、渡瀬さんは、スペシャルドラマ「そして誰もいなくなった」で、末期の肺ガンに侵された狂気の犯人役という、現実さながらの役を演じきり、その放送の11日前に亡くなっているのですが、

死の直前まで、次の主演ドラマ「警視庁捜査一課9係」のセリフをすべて覚えていたそうで、

そのことをスタッフから伝え聞いた渡さんは、そんな弟の役者魂に、

やらせてあげたかったというか…やり通せなかったことは、無念だと思います

と、しながらも、

同じ役者としての絆を感じた

と、深い感銘を受けたことを漏らしていたといいます。

「渡哲也と吉永小百合は昔真剣交際していた!破局理由は?」に続く

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