劇作家、俳優、映画監督、演出家と幅広く活動されている、岩松了(いわまつ りょう)さん。現在の芸術家肌の姿からは想像もつきませんが、少年時代は野原を駆けまわり、スポーツに明け暮れ、本など1冊も読まなかったそうです。


しかし、中学生の頃くらいから、突然文学に目覚め、
高校を卒業するまで、本を読み漁ったのだとか。

受験勉強をするやつはバカだ

と思っていた岩松さん。
受験勉強から逃げるためでもありますが、
本と野球に明け暮れていたそうです。

しかし、上京することに憧れがあり、
一浪して、東京外国語大学のロシア語科に、
無事合格されました。

その大学で友人の影響などがあり、
演劇サークルに入られたことがきっかけで、
演劇に携わるようになったのだとか。

しかし、長崎出身の岩松さんは、
都会または都会人に対して、
コンプレックスのようなものを拭い去れないでいたようです。

演劇に対しても、熱い気持ちを持ちながら、
いつもどこかで、「なじめない」
という感覚があったようです。

演劇を好きでやっていたわけではない

とばっさり言い切る岩松さん。

少年の頃に夢中になった、野球や読書に対する情熱を、
演劇に当てはめて、発散されていたのかもしれません。

その感覚、なんとなく、
わかるような気がしますね。

そして、大学を中退された岩松さんがたどりついたのは、
柄本明さんが主催する、「劇団東京乾電池」で、
お笑いを売りにする劇団だったとか。

大学に行っていたことが、インテリだと思われて、
演出を手がけることになったそうですが、
それもやりたい仕事ではなかったのだそうです。

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お茶と説教!

岩松さんはどこへ向かっているのでしょうか?

すでに、33歳になっていた岩松さん。
人生を変えるなら今しかないと思われ、

渾身の力を振り絞って、
戯曲を書き上げられました。

そのデビュー作となった「お茶と説教」で、岩松さんは、

何より確信をもって学んだのは『人は横に並んでる』ということ。

それまでは才能があるやつがてっぺんにいて、
そこから縦に一列に人は並んでると思ってたんですけど。

あの戯曲を書くにあたり、何か肝が座ったのか、
人はみな横一列に並んでるだけだ、
だから自分が面白いと思うものを書けばいいという心境になれた。

他人を見て自分が勝ってるか劣ってるか、
と気にしてるうちは全然ダメなんですよね。

それは青春の愚かしさというもので、
自己査定と他者査定が違うことにフラストレーションを覚えるから悲劇を生む。

でも実は他者査定なんて関係ないんですよ。
ただ自分が面白いと思うものを書けばいい。

と悟りにも似た境地に到達されたようです。

この考えが、岩松さんのお芝居の基礎となり、
今のご活躍につながっていったのですね。

作風は?

岩松さんは、
「リアクションによって人間の言葉は規定される」
という考え方で、

「え?」
「何が?」
「わかってるよ」

など、誰かの呼びかけに対して、
条件反射的に、とっさに出た言葉で構成されたお芝居が特徴で、

この手法だと、登場人物の内面にドラマがたくさんあるので、
外側で事件が起きなくても、
物語が展開していけるのだそうです。

岩松さんは自身の作品を、
身体的リアクションを言葉にする「肉体派」
と考えられているのだとか。

「言葉=感情」と私達は考えがちですが、
そういう固定観念を吹き飛ばす、ただセリフを追っていけば、
お芝居が楽しめる仕掛けになっているということで、

岩松さんのお芝居を観劇するときは、
子どものような真っ白な気持ちでおられると、
純粋に楽しむことが出来そうですね。

アイスクリームマン!


「アイスクリームマン~中産階級の劇的休息~」

これは、岩松さんが、東京乾電池時代、
1992年に上演されたお芝居のタイトルで、

自動車教習の合宿所が、
舞台となった青春群像劇です。

免許を取得するために集まった、
若者たちの談話室での何気ない会話が、
次第に物語を形成していき、

最後は信じがたい結末を迎えるという、
まさに、岩松流「肉体派」なお芝居となっています。

この戯曲を書くにあたり、岩松さんは、
自動車教習の合宿に2日間参加され、
ひたすら人間観察をされたそうです。

現在では、色んな演出家の方たちが、
この作品を手がけられているそうなので、
それほど人気のお芝居なのですね!

ふせえりと?

岩松さんは、三木聡監督作品の常連として、
ふせえりさんとコンビを組んで、
多くの作品に出演されています。

テレビドラマでは、「時効警察」
映画では、「イン・ザ・プール」「亀は意外と速く泳ぐ」
「図鑑には載らない虫」「転々」「俺俺」などです。

お二人がコンビで出演された回数は、
なんと、11回!

このコンビが絶妙にいい味を出していて、
笑えるということで、

二人が出てくるのを楽しみに待つ、
視聴者も多いのだとか。

余談ですが、
三木監督とふせえりさんはご夫婦なんだそうです♪

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結婚は?

最後に、岩松さんのプライベートですが、
33歳の時に結婚されたそうですが、

奥さんのことなど、
詳しいことは分かりませんでした。

ご自身の結婚観について、岩松さんは、

僕は基本的に結婚奨励派。
結婚すれば人間関係がいかに大変か分かるから。

結婚したばかりの頃はお互い見つめ合っていても、
だんだん目を合わせなくなっていく。

でも、そういう時間こそが人間として面白い
と感じることが出来れば、結婚も捨てたものじゃないと思う。

と、別の視点から見た、
結婚生活の良さをコメントされていました。

「結婚したばかりの頃はお互い見つめ合っていても、
だんだん目を合わせなくなっていく」

は、一般的には悪い意味に取られがちですが、
岩松さんのように「それがおもしろい」と捉えられれば、

結婚に限らず、世の中のことはたいてい、
「おもしろい」と捉えられるようになりそうです!

これからも、テレビドラマでは欠かせない名脇役として、
舞台での演出家として、幅広い活躍を期待したいですね~
応援しています!!

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