1972年、子ども向けアニメ映画「パンダコパンダ」を制作すると、1974年には、テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」が高視聴率を記録し、初の大きな成功を収められた、宮崎駿(みやざき はやお)さんですが、1978年、実質、監督デビューとなった、TVアニメ「未来少年コナン」の視聴率は振るいませんでした。
「宮崎駿が若い頃は「アルプスの少女ハイジ」を大ヒットさせていた!」からの続き
TVアニメ「未来少年コナン」で実質的な監督デビュー
宮崎さんは、1978年、37歳の時、NHKのテレビアニメ「未来少年コナン」で演出を担当されているのですが、演出家というのは名義上だけで、監督がいなかったことから、
毎週放送というタイトなスケジュールの中、演出を行いながら、キャラクターデザイン、メカデザイン、設定、絵コンテ、レイアウトなどこなし、スタッフの作った脚本、レイアウト、絵コンテ、原画なども、ほとんど全てひとりでチェックしていたそうで、事実上、監督も担っていたそうです。
「未来少年コナン」
「未来少年コナン」第1話のヒロイン・ラナはブスだった?
そんな宮崎さんは、大塚康生さんが作画監督をした第1話の作画を見て、
一話ですが……。僕はもう、一話を見た途端、首を吊ろうかと思った
ラナってのはね、コナンが一目見た途端に、 一生この女のために頑張るぞというくらいの美少女でなければならないと(僕は)思い込んでるのに、すごいブスラナが出て来ましてね(笑)
と、ショックを受け、第2話以降は、一切、大塚さんにラナを描かせず、全て自分で作画されたそうで、
(大塚さんは、宮崎さんが「東映動画」にいた時からの先輩で、ベテランアニメーターなのですが、こんなことが言えるくらい、宮崎さんと大塚さんは親しいご関係です)
大塚さんも、
作画監督として呼ばれたのに当初のラナはNG出されて全部宮崎さんが描いた
と、ボヤかれています。
左が「未来少年コナン」第1話のラナ。いかがでしょう?
ちなみに、大塚さんは、次作の「ルパン三世 カリオストロの城」のヒロインのクラリスも描かせてもらえなかったそうで、篠原征子さんが担当されたそうです(笑)
「未来少年コナン」の視聴率は振るわなかった
ただ、そこまでこだわったにもかかわらず、残念ながら、「未来少年コナン」の視聴率は、関東地区で平均8%と振るわず、NHKはNHK受信料徴収の際、この「未来少年コナン」のシールを渡すなど、必死にPRしたそうですが、最高視聴率も14%止まりだったそうです。
それでも、2020年5月3日にNHK総合でデジタルリマスター版が再放送された際には、SNSで喜びの声をあげるオールドファンが数多くおり、この作品に衝撃を受けた子どもは確実にいたようで、後に、この作品を見て、アニメーターやアニメ演出家になったという人が数多くいるそうです。
「宮崎駿の「ルパン三世カリオストロの城」は公開当時はサッパリだった!」に続く
https://www.youtube.com/watch?v=0qFyVWcFZ3Q