野球でも司会者&タレントとしても類まれなる才能を発揮してきた、板東英二(ばんどう えいじ)さんですが、俳優としても活躍し、高い評価を得ています。今回は、そんな板東さんのテレビドラマ&映画にまつわるエピソードをご紹介します。
「板東英二は昔「マジカル頭脳パワー!!」等の司会でブレイクしていた!」からの続き
「金曜日の妻たちへⅡ」で篠ひろ子の夫役に抜擢
板東さんは、1984年、鎌田敏夫さん脚本のテレビドラマ「金曜日の妻たちへⅡ 男たちよ、元気かい?」で、俳優デビューも果たしているのですが、
実は、板東さんの野球解説を聞きおもしろいと思ったという、鎌田さんからオファーされたそうで、板東さんは、当初、喫茶店のマスターが「いらっしゃいませ」と言うような、端役だと思って出演依頼を引き受けたそうですが、実際には、篠ひろ子さんの夫役というレギュラー出演で驚いたそうです。
「金曜日の妻たちへⅡ 男たちよ、元気かい?」より。板東さんと篠ひろ子さん。
「金曜日の妻たちへⅡ」では当初NG続きも関西弁にして一発OKだった
ちなみに、板東さんと篠さんの間には子供が4人いるという設定だったそうで、子供たちがワーワーと騒いでいる時、トイレから「どうしたんだい?」と言うシーンがあったそうですが、
監督から、
板東さん、もう1回言ってください。不自然だった
と、言われ、3~4回やったそうですが、
やはり、NGだったことから、
もう無理です。意味がわからん
と、言って、やめようとすると、
監督から、
板東さん、好きなように言ってごらんなさい
と、言われたそうで、
本番では、
どうしたんやー?
と、関西弁で言うと、一発OKだったそうで、
板東さんは、後に、
ああいう普通の東京の不倫のドラマで初めての関西弁やったんですよ
と、語っています。
映画「あ・うん」での受賞は高倉健のお陰だった?
そんな板東さんは、1989年には、向田邦子さんの脚本ドラマを原作とする映画「あ・うん」で、「第13回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞」と「第32回ブルーリボン賞助演男優賞」を受賞しているのですが、実は、共演者の高倉健さんのお陰だったといいます。
というのも、原作の舞台は仙台だったのですが、映画では、四国・徳島県出身の板東さんのため、高倉さんの提案で、高松(同じ四国の香川県)と言う設定に変更されたそうで、
板東さんは、
仙台では方言が難しい。高松にしたら、彼は普通にしゃべればいいわけだから、と言ってくれたらしいです。僕は普通にしゃべって、それを『うまい』と思ってもらえた
と、語っており、そんな自然な演技が数々の助演男優賞受賞につながったようです。
「あ・うん」より。(左から)高倉健さん、富田靖子さん、板東さん。
高倉健から刻印入りのロレックスをプレゼントされていた
ちなみに、板東さんは、高倉さんとはプライベートでも親交があったそうで、高倉さんからは、「あ・うん」で共演したお礼にと、ロレックスの時計をプレゼントされたこともあったそうです。
板東さんによると、「あ・うん」の撮影が終わった後、家のチャイムが鳴り、奥さんが出たところ、「健さんが来ていらっしゃる」と言われ、急いで玄関に向かうと、そこには高倉さんがきれいな朱色の風呂敷を持って立っていたそうで、
高倉さんからその風呂敷を手渡され、風呂敷を開け、中に入っていた箱を開けると、ロレックスの時計が入っていたそうで、その裏には、「戦友 板東英二様 平成元年 高倉健」と刻まれてあり、とても感動したそうです。
ロレックスの裏には「戦友」と刻まれています。
高倉健からは2回も時計(ロレックスとヴァシュロン・コンスタンタン)をプレゼントされていた
さらに、高倉さんからは、板東さんが「高倉健トークショー」の司会を務めたことへのお礼にと、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計もプレゼントされたそうで、
高倉さんは、共演者で、気が合うと感じた人に時計を贈ることで有名だったそうですが、2つも時計を贈られた人は、ほとんどおらず、いかに板東さんが高倉さんにとって特別な人だったかが伺えます。
高倉さんからプレゼントされたという、ロレックス(下)とヴァシュロン・コンスタンタン(上)。右はロレックスをもらった時の風呂敷で「高倉」と刺繍されています。
高倉健からは妻の誕生日にも花束を贈られていた
そして、高倉さんは、板東さんの奥さんの誕生日にまで花束を贈ってくれたそうで、板東さんはとてもびっくりしたとのことでした。
(ちなみに、板東さんは、少年時代、自身の家庭が貧しかったため、誕生日のお祝いをしてもらったことがなかったことから、誕生日に興味がなく、結婚記念日も奥さんの誕生日も覚えていなかったそうです)