1983年、「親離れするとき読む本」で作家デビューすると、たちまちベストセラーとなり、その後も、「美人女優」「冷蔵庫が壊れた日」など数多くの著書を発表している、神津カンナ(こうづ かんな)さんですが、原子力発電推進活動もしているといいます。そこで、今回は、神津さんが原子力発電に興味を持ったきっかけについてご紹介します。
「神津カンナの作家デビューからの著書テレビ出演を画像で!」からの続き
原子力発電に興味を持ったきっかけは父・神津善行
神津さんは、執筆活動のほか、長年、エネルギー・環境問題、社会福祉関連、家庭論、男女共同参画問題などの勉強を続けて、講演会も積極的に行い、
現在は、
- 内閣府男女共同参画会議議員
- 郵政行政審議会委員
- ETT(フォーラム・エネルギーを考える)のメンバー
- エネルギー環境教育情報センター運営委員
- NPO「JHP学校をつくる会」顧問
- 総合資源エネルギー調査会原子力部会委員
などに名を連ねているのですが、なぜ原子力発電に興味を持ったかというと、お父さんで作曲家の神津善行さんの影響が大きいそうです。
というのも、お父さんは、昔、「名曲のゆうべ」など、全国で演奏会を開催していたそうですが、その際、電力会社がスポンサーを務めることが多かったためか、原子力発電にたいへん興味を抱き、かなりの知識を持っていたそうで、カンナさんもそんなお父さんに感化されたのだそうです。
(昔、電力会社は、大きなホールを持つなど、文化事業に力を入れる、地域密着型の最大企業で、最大のスポンサーだったそうです)
神津家総出で核燃料サイクルの特集番組「ペレットの旅」に出演
そんな中、1980年頃、「電気事業連合会」がスポンサーで、核燃料サイクルをアピールするテレビ特集番組「ペレットの旅」が企画されると、神津家が家族総出で出演協力することになったそうですが、
カンナさんも妹の神津はづきさんとともに、「スーパーフェニックス」(フランスの原子力発電所(※現在は廃炉))などを取材するために世界各地を回り、素人の立場で、勉強、レポートしたそうです。
高原須美子に誘われ「ETT(フォーラム・エネルギーを考える)」に参加
また、カンナさんが、さらに原子力に興味を持ったのは、高原須美子さん(女性初の閣僚として経済企画庁長官を歴任)が、1991年、生活者の立場からエネルギー問題を考える会「ETT(フォーラム・エネルギーを考える)」を立ち上げ、初代代表に就任した際、電話で、「少し勉強しませんか」と誘いを受けたことがきっかけで、
その時は、
私には面倒くさくて・・・
と、即座に断ったそうですが、
高原さんから、
そうでしょ、面倒くさいでしょ。だからやるのよ
と、言われ、断れなくなってしまったのだそうです(笑)
原子力発電に興味を持った理由
ただ、「ETT」に参加し、地域の女性リーダー、大学教授、原子力専門家、ジャーナリストなど様々な分野で活動する著名人と出会い、見学会に参加し、意見交換するうちに、
これはもしかするとものすごく面白い
と、思えてきたそうで、
その理由について、まず、一つ目に、原子力は、人々の生活そのものであり、エネルギー全体、経済、教育、環境問題などに密接につながっていることから、誰でも、どの切り口からでも簡単にアプローチでき、誰でも参加できるということ。
もう一つは、当時は、反原発運動が過激だったそうですが、反対されたり、胡散(うさん)臭いと思われているものに魅かれるという、作家として、理屈では説明できない感覚があったということで、
カンナさんは、原子力に関して、自身の役割について、
私の本職は作家だが、エネルギー・原子力と出会ったことにより、のんびり自分の世界で好きな小説を書いている状態からもう少し社会を見るようになり、書き方、路線も変わって行った。
また、同時期に、「子供電話相談室」という全国の子供からの質問に電話で答えるTBSのラジオ番組があり、その回答者を長年務めていた。そこで、たとえば小学校2年生ぐらいの子から突然難しい質問を受けた際、控えている先生たちがたとえ有名でどれだけ正しい説明をしても、その子が納得できなければ「分かりました」とは言わないし、子供の質問に答えたことにはならない。
これは、正に原子力についてもぴったり一致する。そうした現実をたくさん見るにつけ、私は、こうした質問者と回答者の間に入る〝通訳〟の仕事ができないかと思うようになった。
通訳といっても、質問者がまったく知識のない人、多少勉強している人等で、何段階かの穴埋め通訳が必要となる。私がこれまで、原子力の有意性について多少勉強させてもらってきたことへのお返しができるとすれば、この部分にあると感じた。
したがって、シンポジウムのパネリストや講演を頼まれるたびに、原子力の難しい事柄・説明を自分の土俵にもってきて、自分の言葉で、一般聴衆の胸にストンと落ち、会場から「そういうことならよく分かる」と納得してもらえるよう努力している。
と、語っています。