2006年3月20日、「第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」大会決勝でキューバを破り、見事、日本を優勝(初代世界王者)に導いた、王貞治(おう さだはる)さんは、この年も、ソフトバンクホークスの監督を務めているのですが、シーズン中、「胃ガン」が見つかり、胃の全摘出手術を受けていたといいます。
「王貞治は第1回WBCで日本を優勝(初代世界王者)に導いていた!」からの続き
胃ガンの全摘出手術を受けていた
王さんは、WBCで優勝した2006年のシーズン、あるコーチが検診に行くと言ったのを聞き、「じゃあ、私も」と、一緒に検診を受けると、胃ガンが見つかったそうで、
(王さんは、現役時代から、よく食べよく飲んで胃を酷使していたそうで、大阪でチームの決起集会があった時には、焼肉を食べた後、「中華は別腹」と言って、二次会で中華料理屋に行ったこともあったこともあり、頑丈なのが取り柄だと思っていたそうですが、少し前から変な便が出ていて、おかしいと思っていたのだそうです)
慶應義塾大学病院の外科医だった兄・鉄城さんの紹介で、(お兄さんの野球部の後輩だった)北島政樹医師を紹介してもらい、7月17日(海の日)に腹腔鏡手術を受けたそうです。
すると、胃の上部から中部にかけて約5センチのガンが見つかり、さらには、リンパ節1ヶ所に転移していたため、切除手術は9時間にも及んだのだそうです。(午前9時40から始まり、午後6時47分に終了したそうです)
手術後は無事に回復
ただ、術後の経過は順調で、王さんは、翌日7月18日朝には、集中治療室から病室に戻ると、19日には、廊下や室内を歩き回るほか、医師の問いかけに、「特に痛みはない」と答えたそうで、2007年には現場復帰しているのですが、
王さんは、
あの調子で食べ続けていたら、いずれ何かの病気になっただろう、とは手術が成功して、健康でいられる今だから言えることで、さすがの私もあのときは落ち込んだ。
「手術の前日までは何を食べてもいいですよ」と医師は言うのだったが、もう何も食べる気がしなかった。
と、明かしています。
執刀医・北島政樹医師のコメント
ちなみに、手術を担当した北島医師は、
海の日にやると決めたのは、外来などもないので、静かにやれるからです。腹腔鏡下手術にしたのは、術後の回復が早いから。
術前に、開腹手術と腹腔鏡下手術のメリット、デメリットなどを王監督に説明したところ、「腹腔鏡でやってください」と言われたのです。シーズン中ですから、1日も早い復帰が望まれていました。
手術当日は、麻酔科の教授や手術室の師長だけでなく、胃の手術でしたが、万が一に備えて、肝臓や大腸、小腸の専門外科医も全て揃えて臨みました。
準備には気を遣いましたが、実際に手術を始めると、もう、一人の患者さんです。私は元総理、大会社の社長など、社会的にステータスがある方の手術を多数手がけてきましたが、手術室に入れば、そうしたことは関係なく、手術に集中します。
と、明かしているのですが、
手術が9時間もかかったことが報道されると、「なぜ9時間もかかっているんだ。私だったら、3時間でできる」と言ってきた医師もいたそうです。
これに対し、北島医師は、手術が9時間もかかったのは、確実に再発を防ぐために、「センチネルリンパ節ナビゲーション手術」という手術を実施したからだと語っており、
実際、この手術の結果、王さんの術後の経過は順調で、退院後は、「ダンピング症候群」に悩まされたこともあったそうですが、2022年現在、再発もなく、元気に過ごされているとのことです。
(ダンピング症候群とは、胃を切除したことで、胃の中に食べ物を貯めることができず、食べ物がそのまま短時間のうちに小腸に流れ込み、下痢、腹痛、嘔吐など、様々な不快な症状が現れること)
腸閉塞の治療と胆のう摘出手術も受けていた
また、王さんは、2009年9月21日には、東京都内の病院で、腸閉塞の治療と胆のう摘出手術を受けていたそうで、
同年9月22日、福岡ソフトバンクホークス球団が発表したところによると、王さんは、9月11日頃から腹部に痛みを感じ、9月14日に検査入院すると、(2006年に手術を受けた胃ガンの転移はなかったものの)内ヘルニアによる腸閉塞(腸間膜の間に小腸が潜り込んだもの)が見つかり、さらに、胆石を患っていることも判明したことから、内視鏡手術を受けたそうで、
木村寛球団広報室長は、
このところ、おなかが痛かったり、痛みが引いたりの繰り返しだったようだ。手術後は自分で歩いているそうで、大げさなものではない
と、手術後は順調に回復していることを明かしています。
「王貞治の監督時代の成績は?ソフトバンク監督退任理由は?」に続く