父・七代目尾上菊五郎さんが、異例ともいえる、甥(姉・寺島しのぶさんの長男)の眞秀くんに名跡を継がせる発言をし、心中穏やかではないだろうと思われる、五代目尾上菊之助(ごだいめ おのえ きくのすけ)さんですが、そんな中、長きにわたり「音羽屋」一門を支え続けてきたという、弟子のベテラン役者・尾上音三郎さんが、公演期間中にもかかわらず、突如、引退してしまいます。
「尾上菊之助(5代目)は姉・寺島しのぶと折り合いが悪い?」からの続き
弟子の尾上音三郎が公演期間中にもかかわらず菊之助に怒声を上げ引退
2023年4月上旬、新作歌舞伎「ファイナルファンタジーX」公演中の楽屋で、菊之助さんが、弟子の尾上音三郎さんを叱りつけると、音三郎さんも返す刀で激怒し、「もう一緒にはやっていられない」と、公演期間中にもかかわらず、そのまま荷物をまとめて出て行ってしまったそうで、
(この時、音三郎さんの怒声は部屋の外まで響き渡ったそうで、忙しく動き回っていたスタッフが思わず足を止めるほどだったそうです)
翌日公演からキャストが変更される(音三郎さんの代役が立てられる)と、この出来事はたちまち舞台関係者に知れ渡ったそうです。
尾上音三郎さん
弟子の尾上音三郎はかねてから菊之助に不満があった
実は、音三郎さんは、25年以上前に七代目尾上菊五郎さん&菊之助さん親子に弟子入りしたベテランの役者(主に女方を務めていたそうです)で、本来なら、師匠である菊之助さんが、弟子である音三郎さんを叱ることになんら不思議はないのですが、
音三郎さんは菊之助さんよりも年上であるほか、音三郎さんはかねてから菊之助さんに思うところがあったそうで、我慢の限界に達しキレてしまったといわれています。
長男の尾上丑之助を厳しく注意した弟子の尾上音三郎に激怒し土下座謝罪を迫っていた?
というのも、
某劇場関係者は、
将来、歌舞伎の名門・音羽屋を背負うことになる丑之助ですが、小学生ですから、芸も作法も礼儀もまだまだこれからなのは当たり前です。共演する音三郎さんとしては、お客さんの前に立つわけですから、しっかり支えてやろう、立派な役者に育ててあげようという思いで、稽古や本番などで丑之助にさまざまに助言したり、指導することがありました。
それが、菊之助さんの目にはちょっと厳しいように映ったようなんです。周囲にすれば、当然のような注意でしたが、わが子かわいさに、菊之助さんがそこに割って入って、逆に音三郎さんを怒鳴りつける、ということがありました
別の芸能関係者も、
丑之助くんのおしろいの塗り方と着物の着方を音三郎さんが強めに注意したことがあったそうです。ただ、丑之助くんは過剰に捉えてしまった。
それを伝え聞いた菊之助さんが音三郎さんをわざわざ自宅に呼び出して丑之助くんの前で散々に罵倒したうえ、“息子に土下座しろ!”と謝罪を迫ったことがあったそうです
と、明かしており、
かねてから、菊之助さんと音三郎さんの間には、菊之助さんの長男・丑之助くん(当時9歳)を巡って、軋轢(あつれき)が生じていたというのです。
このような背景があり、音三郎さんは、これまで溜めていた感情が爆発し、「ファイナルファンタジーX」公演中にもかかわらず、菊之助さんに啖呵を切り、引退してしまったというのです。
(そのため、菊之助さんと音三郎さんをよく知る歌舞伎関係者は、「(それまで一門を支えてきた)音三郎さんが不憫でならない」と漏らしていたといいます)
「尾上菊之助(5代目)は甥・眞秀の菊五郎襲名の可能性に焦りを感じていた?」に続く