プロ入りが決まった直後、ご飯を食べに行ったスナックの経営者だった信子さんに一目惚れしたという、落合博満(おちあい ひろみつ)さんは、デートを誘うも、その前に実家に挨拶に来てほしいと言われたそうですが、なんと、初めて挨拶に行った信子さんの実家で、お母さんが振る舞ったうちの一品の金平牛蒡(きんぴらごぼう)を、嫌いだからと断っていたといいます。
信子に洗濯物を持ってくるよう言われるも、洗濯を済ませてから行くと断っていた
落合さんからデートに誘われるも、まだ落合さんをよく分からず少し怖かったという信子さんは、お母さんに相談すると、落合さんを実家に連れて来るよう言われたそうで、
ある時、信子さんが、両親が「今くれば」って言ってるよ、と落合さんを誘うと、
落合さんは、
今寮で洗濯機を回しているので、洗濯をすませてから伺います
と、言ったそうで、
信子さんは、
それ、母が洗うから、男の子が洗濯なんかしないで、そのまま袋に入れて持ってきて。
と、言ったそうですが、
(お母さんも、洗濯物を持ってくるよう言ったそうです)
落合さんは、
初めてお邪魔するところでそれは失礼なので洗濯済ませたら伺います
と、断ったといいます。
信子の実家でしっかりした作法を見せていた
そして、落合さんは、洗濯を済ませ、途中で手土産のウィスキーを買って、信子さんの家を訪ねたそうですが、
信子さんいわく、落合さんは、玄関で、
ロッテオリオンズの落合博満です
はじめまして。僕はお酒が好きなので、ウイスキーを持って伺いました。飲める方がいらっしゃれば
と、若者らしく挨拶したそうです。
その後、信子さんのお母さんが、落合さんに出身地などを尋ねながら、手早く抹茶を点てると、信子さんは、落合さんがどうするのかとハラハラしながら見ていたそうですが、落合さんは(おそらく見様見真似と思われるも)しっかりした作法を見せたのだそうです。
信子の母親が振る舞った金平牛蒡の小鉢を嫌いだからと食べなかった
これに、信子さんの両親も驚き、同時に落合さんに好感を持ったそうで、落合さんの手土産のウィスキーを開けると、お母さんがおつまみを何品か作ったそうですが・・・
なんと、落合さんは、その中の一品の金平牛蒡(きんぴらごぼう)の小鉢をススッと遠ざけながら、
お母さん、これは美味しいんでしょうが、僕は大嫌いなんで、今度から出さないでくださいね
と、言ったそうで、
これを聞いた信子さんは心臓が止まりそうになったそうです。
信子の両親には正直なところが気に入られていた
しかし、お母さんはというと、
うちには、信子の下に2人の男の子がいますけど、たぶん2人ともよそ様のお宅にお邪魔したら、出された物を嫌いでも我慢して食べるでしょう。それよりも、落合君のように、嫌いなら嫌いだと本心を言えるのは素晴らしいじゃないの
と、落合さんを気に入ったそうで、
信子さんは、そのことについて、
日本人は謙虚さが美徳とされていた時代です。社会でも家庭でも、自分の考えを主張するよりは、相手の立場や思いを考えて譲る気持ちがよしとされている中、落合の若者らしい礼儀正しさと「NO」と言える部分が、新鮮で誠実に感じられたのでしょう。
はじめに「そういうところが気に入ったわ」と言った母が「落合君」から「ヒロちゃん」と呼ぶようになり、父も「囲碁はできるか」と落合を可愛がる。いつの間にか、落合は本当の家族のようになっていました。
と、語っています。
(お父さんも落合さんを気に入り、囲碁のほかにも、まだサインを書いたことがなかった落合さんに、自ら毛筆で書いてみせて、サインの練習をさせたのだそうです)
「落合博満の偏食をなくすため妻・信子が取り組んだこととは?」に続く