1973年、伊勢正三(いせ しょうぞう)さんが21歳のときに、「かぐや姫」の楽曲として作詞作曲し、1974年、「かぐや姫」の3枚目のアルバム「三階建の詩」に収録されると、コンサートではファンの間で人気曲となった、「なごり雪」と「22歳の別れ」。

その後、「なごり雪」はイルカさんのカバーで大ヒット、「22歳の別れ」も伊勢正三さんと大久保一久さんのフォークデュオ「風」で大ヒットし、現在も名曲として名高いのですが、「かぐや姫」ではシングルカットされることはありませんでした。

今回は、そんな「なごり雪」と「22歳の別れ」の制作秘話をご紹介します。

伊勢正三

「【画像】伊勢正三の若い頃(風時代)から現在までのアルバムや代表曲を時系列まとめ!」からの続き

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「なごり雪」は伊勢正三が初めて作詞・作曲を共に手掛けた曲だった

伊勢正三さんは、「南こうせつとかぐや姫」(第二期「かぐや姫」)に加入後、南こうせつさんから作詞を頼まれることはあっても、作曲を頼まれることはなく、実際、伊勢正三さん自身も、作詞をしたり、ハモったり、コーラスを考えることが自分にできることだと思っていたそうですが、

「かぐや姫」の3枚目のアルバム「三階建の詩」の制作に向け、南こうせつさんやスタッフは、

(「神田川」が大ヒットし)かぐや姫がさらに大きくなるためには、伊勢正三さんと山田パンダさんが頑張って、3人が3人の個性で一つのグループにならなければならない

と、考えていたそうで、

(そのため、新しいアルバムのタイトルは「三階建の詩」となり、グループ名も、それまで「南こうせつとかぐや姫」だったのを「かぐや姫」に改めることになったのだそうです)

伊勢正三さんも、初めて曲を書くことになったそうです。

そんな中、伊勢正三さんは、これをチャンスととらえ、

絶対にいい曲が書けるまで諦めないぞ

という気持ちで取り組むと、

最初にサビのメロディと歌詞が思い浮かび、それにストーリーを加えていき、すぐに完成させることができたそうで、この時、完成させたのが「なごり雪」だったそうです。

伊勢正三は一晩で「22歳の別れ」を書き上げていた

こうして、伊勢正三さんは、いい曲ができたと、確かな手応えを感じ、南こうせつさんに、「なごり雪」を聴かせたそうですが・・・

南こうせつさんにはあまり褒めてもらえなかったそうで、

絶対的な自信があった伊勢正三さんは、おかしいなと思いつつ、締切を1日延ばしてもらい、家に帰ってそのまま一晩で第2作目となる「22歳の別れ」を作ったのだそうです。

(ただ、後に、南こうせつさんは、「なごり雪」を聴き、伊勢正三さんの才能に衝撃を受けた旨語っています)

「なごり雪」と「22歳の別れ」は「かぐや姫」ではなくイルカと「風」で大ヒット

そんな「なごり雪」と「22歳の別れ」は、結局、「かぐや姫」のシングルとしては発売されなかったのですが、

「かぐや姫」のコンサートでは、ファンの間で人気が高く、また、地方のラジオ局や有線のチャートにも入るなど、注目を集めると、

「なごり雪」は、1975年11月、イルカさんのカバーにより大ヒットを記録し、

「なごり雪」

「22歳の別れ」も、1975年2月に、伊勢正三さんが大久保一久さんと結成したフォークデュオ「風」のデビューシングルとしてリリースすると、累計売上がミリオンセラーに達する大ヒットとなったのでした。

「22歳の別れ」

伊勢正三はイルカが「なごり雪」をカバーすることを嬉しく思っていた

ちなみに、「なごり雪」をカバーしたイルカさんは、「なごり雪」が「かぐや姫」の人気曲であることを十分知っていたことから、当初、カバーの話を持ちかけられた時には、かなり抵抗があったそうですが、

伊勢正三さんとしては、大切な曲が世に出るきっかけになるほか、「なごり雪」がどんな曲なのかを知っているイルカさんにカバーしてもらえることが単純にうれしかったそうで、

レコーディングの際に、イルカさんにそのことを伝えると、イルカさんの「私が歌っていいのかな」という抵抗感が吹っ切れたように感じたといいます。

(実際、イルカさんも、そのようなことをインタビューで語っています)

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伊勢正三は「なごり雪」「22才の別れ」のような曲は2度と書けないと語っていた

また、伊勢正三さんは、「なごり雪」と「22才の別れ」について、2024年のインタビューで、

今もし、「なごり雪」のような曲が書けたとしても、それを最高だと思えるかどうか。きっとそうは思えないのではないかと思う。

それはやはり、僕の21才の終わりの頃の感性だからこそできたものであり、あの瞬間にすべてが詰まっているということだ。だから、二度と書けないのだ。

小さな白いテーブルに置いた紙と鉛筆が、窓から差し込む白々とした明かりに照らされていく情景がいつまでも忘れられない。「なごり雪」と「22才の別れ」。この2曲がいまだに僕に語りかけるものが確かにある。

と、語っています。

「伊勢正三の前妻は?再婚相手は?娘はMICHIKA(伊勢未知花)!」に続く

お読みいただきありがとうございました

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