地元・福島県でアマチュア劇団員として活動していた時、画家で友人の猪熊克芳さんに上京することを勧められ、劇団「自由劇場」(現在・オンシアター自由劇場)のオーディションを受けると、見事合格した、斉藤暁(さいとう さとる)さん。そんな斉藤さんの、上京からブレイクするまでの道のりについて調べてみました。

「斉藤暁の生い立ちは?昔はテレビ局勤務?俳優を目指したきっかけは?」からの続き

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福島のズーズー弁がなおらず怒鳴られる日々

こうして晴れて、劇団「自由劇場」に入団された斉藤さんですが、

標準語のイントネーションやアクセントに気をつけて、セリフを言ってるつもりでも、どうしても、福島県特有のズーズー弁が出てしまい、

稽古のたびに、先輩から、

なまりを直せ。福島に帰れ!

と、怒鳴られ、稽古の途中、何度も何度もやり直しをさせられるということが入団して半年経っても続いたそうで、しまいには、標準語なのかなまりなのか分からなくなってしまうほどだったそうです。

また、稽古の合間には、生活のため、アルバイトをしなければならず、ヘトヘトの毎日を過ごされたのでした。

吉田日出子の一言で救われる

しかし、そんなある日のこと、劇団「自由劇場」の創設者の一人である吉田日出子さんが、まだ駆け出しだった斉藤さんたち新人と共演してくれることになり、

斉藤さんが、なまりを矯正しようとすることばかりを考えて、落ち込んでいると、

その気持ちでいいから

と、声をかけてくれたそうで、

斉藤さんは、この言葉を、

役づくりはいい方向にいってるわよ

と、解釈し、

私の役はなまりがあるのだ

と、気持ちが楽になって、役作りに集中できるようになったのでした。

(吉田さんは、当時、アングラ演劇界のカリスマ女優として知られていたうえ、劇団「自由劇場」の創設者の一人だったことから、幹部の中でも別格の存在だったそうです)

「もっと泣いてよフラッパー」で吉田日出子と共演

そして、1977年12月、斉藤さんは、舞台「もっと泣いてよフラッパー」で吉田さんと共演されるのですが、

斉藤さんは、吉田さんがかぶっている帽子をサッと乱暴に奪って捨てる、という役どころだったにもかかわらず、公演の何日目かのそのシーンでは、なぜか吉田さんは帽子をかぶっていなかったそうで(おそらく何かの拍子に帽子が舞台上に落ちてしまったようで)、

斉藤さんは、焦るも、とっさに吉田さんが首に巻いていたマフラーをサッと奪って床に捨てられたそうです。

ただ、これで良かったのかと、内心ドキドキしていると、終演後、吉田さんが、

あれ、良かったわよ

と、褒めてくれたそうで、

斉藤さんは、そのことが大きな自信となって、

もう少し頑張ろう!

と、「自由劇場」で俳優を続けようと思われたのでした。

ちなみに、斉藤さんは、吉田さんとの出会いについて、

あの時、もしデコ(吉田)さんが声をかけてくれてなかったら、たぶん自由劇場をやめてたと思うんです。

そしたら俳優を続けていられたかどうかもわからないし、もちろん人生は大きく変わっていたでしょう。少なくとも今の立ち位置で役者はやってないと思います。

デコさんの演技を間近で見ることができ、芝居の勉強ができたのは、本当に幸せですね。

と、語っておられます。

「踊る大捜査線」のスリーアミーゴスでブレイク

その後、斉藤さんは、1986年、同じ「自由劇場」の団員だった、大谷亮介さん、余貴美子さんらとともに「東京壱組」(現・「壱組印」)を旗揚げされると、設立メンバーとして活躍。

また、ほどなくして、テレビドラマに活動の場を移されると、1997年には、テレビドラマ「踊る大捜査線」で、北村総一朗さん(神田署長)、小野武彦さん(袴田刑事課長)とともに、秋山春海副署長役で「スリーアミーゴス」として幅広い世代から人気を博し、たちまちブレイク。

以後、テレビドラマ、映画ほか、CMやバラエティーでも活躍されることとなったのでした。


「踊る大捜査線」より。(左から)斉藤さん、北村総一朗さん、小野武彦さん。

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出演作品(テレビドラマ、映画)

それでは、ここで、斉藤さんの主な出演作品をご紹介しましょう。

テレビドラマでは、

1978年 NHK大河ドラマ「黄金の日々」
1979年「御宿かわせみ第2シリーズ『冬の桜』」
1986年 NHK連続テレビ小説「はね駒」
1987年「ベイシティ刑事」
1988年「時間ですよ たびたび」

1989年「もっとあぶない刑事」第18話
1990年「刑事貴族」第2話
1991年「刑事貴族2」第13話
1992年「悪女」
1993年「じゃじゃ馬ならし」

1994年「西遊記」
1995年「3年B組金八先生」
1996年「真昼の月」
1997年「電磁戦隊メガレンジャー」
1998年「ソムリエ」


「電磁戦隊メガレンジャー」より。

1999年「科捜研の女」第1シリーズ
2000年 NHK大河ドラマ「葵 徳川三代」
2001年「四千万歩の男」
2002年「御宿かわせみ」
2003年「川、いつか海へ 6つの愛の物語」


「科捜研の女」より。(左から)沢口靖子さん、加藤貴子さん、斉藤さん。

2004年「ラーメン発見伝」
2005年「今夜ひとりのベッドで」
2006年「医龍」
2007年「介助犬ムサシ〜学校へ行こう!〜」
2008年「栞と紙魚子の怪奇事件簿」

2009年「湯けむりバスツアー 桜庭さやかの事件簿」
2010年「所轄刑事5」
2011年「捜査検事・近松茂道10」
2012年「信州山岳刑事 道原伝吉1」
2013年「さすらい署長 風間昭平10」

2014年「法医学教室の事件ファイル39」
2015年「黒星警部の密室捜査」
2016年「終着駅シリーズ30」
2017年 NHK連続テレビ小説「ひよっこ」
2018年「白日の鴉」


「ひよっこ」より。

映画では、

1990年「ギャッピーぼくらはこの夏ネクタイをする!」
1992年「天国の大罪」
1994年「はいすくーる仁義外伝 地を這う者」
1995年「きけ、わだつみの声」
1996年「CAB」
1998年「踊る大捜査線 THE MOVIE」

1999年「秘密」
2000年「川の流れのように」
2003年「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」
2005年「容疑者 室井慎次」
2006年「I am 日本人」

2007年「天然コケッコー」
2008年「コドモのコドモ」
2009年「僕らのワンダフルデイズ」
2012年「トテチータ・チキチータ」
2015年「マエストロ!」
2016年「超高速!参勤交代 リターンズ」

ほか、数多くの作品に出演されています。

「斉藤暁が死亡?独身?結婚してた?子供は?」に続く

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