信頼していた「大映」社長・永田雅ー氏に裏切られ、映画界を追われたのが、自殺原因の一つとも考えられていた、田宮二郎（たみや じろう）さんですが、死後３８年が経過した２０１６年、長男の柴田光太郎が新たな自殺の原因について口を開いています。
「田宮二郎の自殺原因は大映・永田雅一のパワハラだった？」からの続き
大映・永田雅一からの仕打ちが自殺の引き金か
１９６８年には、信頼していた「大映」社長・永田雅一氏からひどい仕打ちに遭い、我慢ならずに申し出るも、永田さんからは逆に「五社協定」を持ち出され、いかなる映画にもテレビドラマにも出演を禁じられてしまった田宮さん。
マスコミの間では、
五社協定、五社協定と言うが、あれじゃタコ部屋の強制労働みたいなものではないか？
人権無視の不当な協定
と、田宮さんを擁護する論調が大きくなってはいたそうですが、
やはり、誰の見送りもなく、一人、「大映」を去らねばならなかった寂しさが相当なものだったことは想像に難くありません。
幼少期の貧乏転落経験によるトラウマが自殺の引き金か
そんな田宮さんに対し、妻の幸子さんは、
お金のことは気にせず、あなたは自分の人生を守って
と、長期休養を勧めたそうですが、
それでも、田宮さんは、休む間もなく、（映画のみならずテレビドラマにも出演することも禁じられた為）地方のキャバレー司会者や歌の営業に励み、やがては、「クイズタイムショック」で司会者として再ブレイク。
その後、１９６９年６月には、「大映」との契約が満了となったことにより、「五社協定」からも解き放たれると、今度は、「白い」シリーズでテレビドラマでも人気を博したのですが・・・
田宮さんは、幼い頃、財閥の出身でありながら、両親を亡くし、つつましい生活を送ることを余儀なくされたことから、「貧乏」に異様に敏感だったそうで、
僕は結婚以来、がむしゃらに働いた。経済的に誰にも不安を与えたくなかったから。本当は素朴なあたたかい生き方もある筈なのに、それを知りながら、働くことしか生き甲斐を知らない人間になっていった。
と、妻と二人の幼い息子たちに貧乏な思いだけはさせたくない責任感から、常に仕事に追い立てられ、スケジュールは過密状態だったことを、遺書につづっておられます。
二度目の「白い巨塔」出演が自殺の引き金か
また、妻の幸子さんも、
最後に「白い巨塔」をやっていなければ、田宮はあのような形で死ぬことはなかったと思います。ボクシングに例えるなら、とっくにタオルを投げ入れているのに、それでも12ラウンドを戦い切った。
そして今でも名作として観ていただけているのであれば、遺族としては大きな慰めになります。
と、そのトドメとなった「白い巨塔」への出演が、自殺の大きな引き金になったことを明かされていたのですが・・・
植毛による偏頭痛が自殺原因か
２０１７年、田宮さんの長男・柴田光太郎さんが、「週刊新潮」（2月25日号）で、父親である田宮さんの、新たな自殺原因を語っているのです。
柴田さんによると、実は、田宮さんは薄毛で悩んでおり、
父はあくまで田宮二郎というスターのイメージにこだわった。かつらを着けたり、薄毛のままで映画やテレビに出るようなことは、決して受け入れられなかったんでしょう。
と、ロンドンで植毛を手術を受けていたそうで、
当初は頭皮に錐のようなメスで穴を開け、直接、毛髪を埋め込むものだったと聞いています。でも、それだとすぐに毛が抜けてしまう。
それで後から額に真一文字に特殊な糸を埋め込んで、その糸に毛髪を通すように固定する方法に変えたのです。ところがこれは激痛を伴うものだったらしく、以来、父は偏頭痛に悩まされるようになった。
父は30代の頃から精神が不安定に陥りましたが、死ぬまで続いた偏頭痛がその症状を悪化させ、最終的に自殺に至ったんだと思います。
と、当時の植毛の技術が未発達だったことが自殺の原因だと明かされたのです。
仕事を干されることへの恐怖が本当の自殺原因か
ただ、柴田さんが植毛の話を持ち出したのは、お母さんである幸子さんが、自身が田宮さんの仕事を食い止められなかったせいで田宮さんが自殺したと、自分を責めているのを心配してとのことだとも言われているほか、
田宮さんが３０代の頃に精神を病み始めたということは二人の話で一致しており、これは、「大映」社長・永田雅一氏から干された時期とも一致していることから、
信頼し敬愛していた永田さんに裏切られ、映画界を追放されたことがトラウマとなり、芸能界での仕事を続けていかなければ、テレビでも再び干されてしまうのではないかという恐怖が、過剰に仕事を背負い込むことになり、そこを詐欺師につけこまれて、さらに精神的に追い詰められ・・・いうのが自殺の原因なのかもしれません。
「田宮二郎はなぜ猟銃自殺だったのか？その驚くべき理由とは？」に続く
