「躁うつ病」に苦しみながらも、主演ドラマ「白い巨塔」全31話を撮り切ると、その直後、「猟銃自殺」という壮絶な最期を遂げた、田宮二郎(たみや じろう)さんですが、なぜ、「猟銃自殺」だったのでしょうか。

「田宮二郎の本当の自殺原因は植毛からの偏頭痛だった?」

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「美しく死ねる」猟銃に魅了された?

「猟銃自殺」という壮絶な最期を遂げた田宮さんの訃報は、当然、世間に大きな衝撃を与えたのですが、田宮さんが出演したテレビドラマ「華麗なる一族」「白い巨塔」の原作者である山崎豊子さんは、田宮さんの死を電話で知るや、すぐに、「猟銃でしょう」と悟ったといいます。

というのも、田宮さんは、「華麗なる一族」では美馬中役を演じられているのですが、もともとは、主人公・万俵鉄平役の生き方に共感して、鉄平役を熱望しており、その鉄平は、雪山の中で松の木の幹に座って引き金を引き、猟銃自殺を遂げていたためです。

山崎さんによると、田宮さんから、

鉄平の死に方は純粋で男らしく、壮絶ですね。猟銃の引き金を足で引いて、至近距離で撃てば、顔がつぶれないというのは本当ですか?

と、尋られたことがあり、

山崎さんが、

実はあの場面、最初は顎の下に銃口を当て、足で引き金を引くと、鉄平の顔がザクロのように砕け散ったと書いて出稿しました。

けど、どうも気になって、大阪府警本部の鑑識課へ取材に行くと、顎の下に至近距離で撃った場合は、弾はすぽっと頭を抜けて、後ろの松の木の幹に当たって弾けるのが普通ですよ、と教えられて、慌てて原稿を書き直しました。

と、答えられると、

田宮さんは、

そうですか、顎も顔も砕けないで、弾はすぽっと抜けるのですか。美しい死に方ですね。

と、目を輝かせていたというのです。

さらに、妻の幸子さんによると、田宮さんは、「華麗なる一族」の試写会の後で、

僕ならもっとうまく猟銃自殺をやれるのに

と、話していたほか、

こうすれば死ねるんだ

と、猟銃を抱きかかえて、足の指を引き金に掛ける真似をしていたこともあったほど、美しく死ねる「猟銃で死ぬ」ことに魅了されていたというのです。

勝新太郎も3日間の絶食で挑んだ「白い巨塔」のラストシーンを絶賛

しかし、田宮さんは、その後、「白い巨塔」(同じく山崎豊子さん原作)では、山崎さんに直訴して、希望通りの財前五郎役を獲得すると、

財前がガンに侵されるという設定だったため、

ガン患者が元気ではいけません

と、闘病シーンの撮影では3日間の絶食を自らに課したそうで、

この鬼気迫る田宮さんの演技に、映画「悪名」シリーズで田宮さんとコンビを組んだ時には評価しなかった勝新太郎さんも、妻の中村玉緒さん(「白い巨塔」で田宮さんと共演)に、

(財前五郎が死ぬ時の)あの演技はすごい。あの田宮は恐ろしい。玉緒、あの演技はすごいよ。

と、田宮さんを褒めたほど、凄まじかったといいます。

(田宮さん死去のテロップが入った最終話は、31.4%の高視聴率を記録したそうです)

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「白い巨塔」を人生の集大成にした?

それほどまでに、死ぬ演技にこだわった田宮さんですが、「白い巨塔」の共演者である清水章吾さんは、

(財前が死に、布を顔にかぶせてストレッチャーで運ばれていくシーンを、エキストラに任せず、自ら演じたことについて)田宮さんは顔を覆っていた布を取って周りを見渡し、大物俳優からチョイ役の人まで、みんなが自分に涙してくれているのを見て「役者冥利に尽きる」と言ったんだ。

逆算したら、田宮さんは、あれで自身の最期を見届けたんだよ。

と、おっしゃっており、

田宮さんの長男・柴田光太郎さんも、

(田宮さんが自殺したことについて)けっこう僕、平然とはしてました。あまり皆さんが思うほどショックでは無かったです。というのは、もう覚悟を決めていたんです、僕。

「この人死んじゃうかもしれないな」って。亡くなる1年・2年前を振り返った中で、色んな事がありまして。そうした時に、この人は自分で命を絶つかもしれない。もしくは、そうなった時にどうしなきゃいけないか、っていうふうに自分の中で僕は覚悟を決めてたんで。

父親からは「死ぬ」とかそんな言葉は聞いたことないんですけど、「お前は家族を大切にしなきゃダメだぞ、長男だから。母親の世話と弟の世話をしっかりしろ」っていうような事は常に言われてたんです。だから、気持ちはそっちの方にありましたね。父親が亡くなった、じゃあ自分はどうすればいいか、って。

ただやっぱり「父親が自殺して亡くなった」という事と、実際対面して「ああ、本当に居ないんだな」っていうふうに感じた事とは、また別問題なんで。それはやっぱりショックでしたけど。

妻の幸子さんも、

寝室へ入ると、田宮は上半身を起こしてノートにいつも何かを書いていました。あの長い遺書は、時間をかけて書きためていたんだと思います。

(白い巨塔のラストシーンで)自分が近々、死を迎えるという胸に迫るものがあったんでしょう。

と、おっしゃっており、田宮さんは、すでに死への準備を着々と進めていて、「白い巨塔」で人生をまっとうしようとされたのかもしれません。

「田宮二郎は山本陽子と不倫関係だった?嫁は?息子は?」に続く

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