若い頃は命知らずのアクションスター、晩年も死の直前まで出演作品に情熱を注ぐなど、俳優として、最後まで熱い姿を見せ続けた、渡瀬恒彦(わたせ つねひこ)さん。今回は、そんな渡瀬さんとその兄・渡哲也さんの兄弟エピソード、兄弟共演、兄弟仲についてご紹介します。

「渡瀬恒彦の死因は胆のうガンによる多臓器不全!」からの続き

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兄は渡哲也

渡瀬さんのお兄さんは、周知の通り、俳優の渡哲也さんですが、実は、渡さんの芸能界入りのきっかけを作ったのは、渡瀬さんでした。

渡瀬さんは、早稲田大学進学のため上京されると、すでに青山学院大学に通われていた渡さんと共に、東京で共同生活を送られていたのですが、

渡瀬さんと、(渡瀬さんが在学中所属していた)空手部の仲間達が、浅丘ルリ子主演100本記念映画」の相手役となる新人「ミスターX」(日活)の募集に、勝手に渡さんの書類を応募されたそうで、そのことがきっかけで、渡さんは芸能界に入られたというのです。

(ただ、当初、渡さんは、勝手に応募されたことに激怒されたそうです)

兄弟仲は?

そんなお二人の関係ですが、

渡さんが渡瀬さんのことを、

あいつは小さい頃、一度に犬を4匹連れて散歩に行った。みんなが危ないから止めろといっているにも関らずにね。

そうしたら案の定、犬に引き摺られて傷だらけになって帰ってくるんだ。そういう奴なんだよ。

身内なもので、話しにくいですが。味のあるいい俳優になったと思っています。本当にうまい役者になったなと。

と、お兄さんらしく語っているのに対し、

渡瀬さんも渡さんのことを、

兄は俳優という範疇を超えている。石原裕次郎さんもそうだけど、努力なんかで追いつけない他の人にはない何かを持っている。

兄は俳優としていちばんいい時期に、石原プロに尽くしているんですよ。ある時、兄に、「どうして石原プロなの?」と聞いたら、「裕次郎さんだ」と言うんです。

「裕次郎さんが何?」と聞くと、「優しいんだ」と。人を許すことができる裕次郎さんの器の大きさ、それと同じようなものを、ぼくは兄から感じるんです。

と、畏敬のまなざしで見ていたようです。

ただ、別のインタビューでは、渡瀬さんは渡さんのことを、

僕から見たら、兄貴程度の芝居しかできなかったら、とっくに消えていただろうなと。兄貴は下手ですね(笑)

と、弟らしく語っており、

「ケンカ最強伝説」を持つ渡瀬さんも、器の大きい兄・渡さんの前では、かわいい弟でいられたようです♪

渡瀬恒彦と渡哲也の兄弟共演は3度だけ

次に、気になるお二人の共演ですが、

お二人は、これまで、

1971年「あまくちからくち」
2011年「帰郷」
2013年「十津川警部シリーズ『消えたタンカー』」


「あまくちからくち」より。渡瀬さん(左)と渡哲也さん(右)。中央は十朱幸代さん。


「帰郷」より。渡さん(左)と渡瀬さん(右)。

と、3度だけ共演されています。

当初3度目の共演は渡哲也に断られていた

ちなみに、3度目に共演された「十津川警部シリーズ『消えたタンカー』」では、渡瀬さんが犯人を追い詰める刑事役であるのに対し、渡さんは犯人役という、初の兄弟対決を演じられているのですが、

もともと、この作品のプロデューサーが、渡さんの大ファンだったことから、いつか、兄弟共演を実現させたいと熱望し、渡さんに出演を依頼したそうです。

ただ、渡さんは、「帰郷」で兄弟共演をした際、

兄弟共演はこれで最後です

とおっしゃっていたことから、一度は断られたのだとか。

それでも、諦めきれないプロデューサーが、渡瀬さんになんとか口説いてほしいと頼み、その熱意に打たれた渡瀬さんがお兄さんを説得。

それから1ヶ月後、ついに渡さんも折れたのでした。


「消えたタンカー」より。渡瀬さん(左)と渡さん(右)。

というのも、実は、渡瀬さんにも、

もう一度、共演したい

という気持ちがあったようで、

関係者によると、渡瀬さんは、撮影が始まると、渡さんが現場に来る時は1時間前に来て待ち、自分の出番がない時でも、渡さんの芝居を目に焼き付けていたようだったいいます。

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兄・渡哲也との深い絆

こうして、決して馴れ合わず、静かにつながっていたお二人でしたが、渡瀬さんが2015年に「胆のうガン」が発覚し、闘病生活が始まると、

二人は頻繁に連絡を取り合い、お互いの家も行き来するようになったそうで、

どちらが先に逝っても、派手なお別れ会はやめておこう

と、約束されたといいます。

そして、渡瀬さんが、2017年、スペシャルドラマ「そして誰もいなくなった」で、末期の肺ガンに侵された狂気の犯人役という、現実さながらの役を演じ切り(放送の11日前に他界)、

死の前日まで、次の主演ドラマ「警視庁捜査一課9係」のセリフをすべて覚えるなど、意欲を燃やしていたことを、スタッフから伝え聞いた渡さんは、

やらせてあげたかったというか…やり通せなかったことは、無念だと思います。

と、しながらも、

同じ役者としての絆を感じた

と、深い感銘を漏らしたそうです。

「渡瀬恒彦の2度目の妻との間には息子1人と娘1人!」に続く

若き日の渡瀬さん(左)と兄・渡哲也さん(右)

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