１９５９年、主演映画「南国土佐を後にして」が大ヒットを記録し、それまでの「日活」にはなかった青春期の繊細さを見事に演じて頭角を現した、小林旭（こばやし あきら）さんは、同年、主演映画「ギター持った渡り鳥」がさらなるヒットを記録します。
「小林旭の若い頃は｢南国土佐を後にして｣が大ヒット！」からの続き
「ギターを持った渡り鳥」でスター俳優の仲間入りを果たす
映画「南国土佐を後にして」が大ヒットしたことから、「日活」は路線をアクションに定め、同年、小林さん主演の映画「ギターを持った渡り鳥」を公開すると、映画はまたまた大ヒット。
「ギターを持った渡り鳥」より。（左から）小林さん、浅丘ルリ子さん、中原早苗さん。
小林さんは、西部劇のヒーローさながら拳銃を片手に馬に乗り、時にはギターを持って歌を歌って、悪を次々と打ちのめす主人公・滝伸次を演じられているのですが、
その後も、この映画は、
１９６０年「口笛が流れる港町」
「渡り鳥いつまた帰る」
「赤い夕日の渡り鳥」
「大草原の渡り鳥」
「口笛が流れる港町」より。宍戸錠さん（左）と小林さん（右）。
１９６１年「波涛を越える渡り鳥」
「大海原を行く渡り鳥」
「大海原を行く渡り鳥」より。
１９６２年「渡り鳥北へ帰る」
「渡り鳥故郷へ帰る」
「渡り鳥故郷へ帰る」より。浅丘ルリ子さんと小林さん。
と、シリーズ化されており、小林さん演じる主人公・滝伸次は、日本アクション映画史上に残るヒーローとして、現在も語り継がれています。
「渡り鳥」シリーズでは本物の拳銃を使っていた
ちなみに、小林さんによると、この「渡り鳥」シリーズでは、本物の拳銃（空砲）を使っていたそうですが、空砲でもかなり危険で、
小林さんが２階の高台から、高台に登ってきた人をライフルで撃つシーンで、撃たれた相手が１０メートルも後ろに吹き飛んだことから、
小林さんが、
実にいい死に方だ！
と、褒めようと、近寄ったところ、
なんと、その人は白目を向いて倒れていたそうです。
「渡り鳥いつまた帰る」より。小林さんと宍戸錠さん。（宍戸さんとの撃ち合いにも、本物の拳銃を使っていたそうです）
浅丘ルリ子とのコンビが絶大な人気を博す
そんな小林さんは、「絶唱」「南国土佐を後にして」に続き、この「渡り鳥」シリーズでも、浅丘ルリ子さんと共演されているのですが、
小林さんによると、
（会津ロケの際）自分たちが動くと山の向こうで黒い影の塊のようなものがザザっと動く、何事かと思ったら見学の人々だった
と、当時、小林さんと浅丘さんのコンビは、すさまじい人気だったそうです。
「赤い夕日の渡り鳥」より。浅丘さんと小林さん。
「銀座旋風児」シリーズでスターの座を不動のものに
また、小林さんは、そのほかにも、
１９５９年「銀座旋風児 黒幕は誰だ」
１９６０年「銀座旋風児 目撃者は彼奴だ」
１９６１年「銀座旋風児 嵐が俺を呼んでいる」
１９６２年「二階堂卓也銀座無頼帖 帰ってきた旋風児」
１９６３年「風が呼んでる旋風児 銀座無頼帖」
と、「銀座旋風児」シリーズにも出演され、同時期に活躍されていた、石原裕次郎さんらとともに、「日活」の黄金時代を支えられたのでした。
「銀座旋風児」より。（左から）芦田伸介さん、稲垣美穂子さん、小林さん、浅丘ルリ子さん。
