「ロッキー」といえば、生活のためポルノ映画やアダルト劇に出演していた、シルヴェスター・スタローン(Sylvester Stallone)さんを、一躍、大スターに押し上げた名作ですが、スタローンさんはこの脚本をたった3日で書き上げていたといいます。
「シルベスター・スタローンは昔ポルノ映画に出演していた!」からの続き
「ロッキー」の脚本は「モハメド・アリVSチャック・ウェプナー戦」のTV観戦でインスピレーション
ポルノ映画やアダルト劇に出演して生計を立てる中、ついに、1974年、出演した映画「ブルックリンの青春」の演技が評価されて、ハリウッドに移り、1975年には、映画「デス・レース2000年」で準主役に抜擢されるも、その後は、またしても、オーディションに落ち続ける毎日を過ごしていたスタローンさんですが、
そんなある夜のこと、ボクシングの世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ VS チャック・ウェプナー戦」のテレビ放送を観てインスピレーションを得たそうで、早速執筆に取り掛かると、3日間寝ずに、「ロッキー」の脚本を書き上げたそうです。
チャック・ウェプナーは試合前は酷評されていたが・・・
というのも、当時、モハメド・アリさんが世界最強と言われるボクサーだったのに対し、チャック・ウェプナーさんは、35歳の無名の全く勝ち目のない格下のボクサーで、
(ウェプナーさんは、ニューヨークのスラム街で育ち、少年院・刑務所と服役していたそうで、服役中にボクシングを覚え、27歳で出所後にプロデビュー。ただ、ボクサーだけでは生活していけなかったため、昼は酒屋の配達、夜は警備員の仕事をされていたそうです)
世間では、試合前から、
ファイトマネーの十万ドルにつられた人間サンドバッグ
モハメド・アリがどれほど手を抜いても3ラウンド持たない
などと言われ、
試合でも、案の定、ウェプナーさんは、モハメド・アリさんにボコボコにされてしまうのですが・・・
「モハメド・アリ(右)VSチャック・ウェプナー(左)戦」
チャック・ウェプナーの諦めない姿に感動を覚える
第9ラウンドでは、ウェプナーさんの繰り出したパンチがアリさんの脇腹を直撃してアリさんからダウンを奪うなど、ウェブナーさんが予想外の善戦を展開。
最終の第15ラウンドでは、残り19秒でダウンするも、カウント9でギリギリ起き上がるファイティングスピリッツを見せると、
結果は、レフリーストップ(ドクターストップ)のため、アリさんの判定勝ちとなるも、観客全員が総立ちとなり、敗者であるウェプナーさんにいつまでも拍手を送り続けたそうで、
(対戦後、アリさんに、「二度と対戦したくない」と言わしめたそうです)
スタローンさんも、どれだけ打たれても必死にしがみつき、決してあきらめず、前に進もうともがき、血反吐(ちへど)を吐くほどの練習を重ねて、この一戦に人生のすべてを賭けたのであろう、ウェプナーさんの姿に、
アリをダウンさせたその瞬間、ウェプナーは偉大なボクサーとなり人々の心に永遠に刻まれる
と、感動し、一人のボクサーの物語を思いついたのでした。
「シルベスター・スタローンの「ロッキー」は自身を投影したものだった!」に続く