立て板に水を流したような流暢な語り口調を持ち味に、「鶴瓶上岡パペポTV」や「探偵ナイトスクープ」などで国民的な人気を博し、日本人なら誰もが知る存在となった、上岡龍太郎(かみおか りゅうたろう)さんですが、2000年3月には、すっぱり芸能界を引退しています。今回は、そんな上岡さんの芸能界引退の理由を調べてみました。
「上岡龍太郎のデビューからの出演ドラマ映画を画像で!」からの続き
58歳ですっぱり芸能界を引退
上岡さんは、2000年3月、58歳という若さで芸能界を引退しているのですが、
実は、以前から、
俺は、芸能生活40周年を迎える2000年の春になったら完全に隠居する!
と、表明していたのだそうです。
ただ、共演者たちは誰もそれを信じず、上岡さん特有のジョークだろうと思っていたそうですが、本当に引退してしまったのでした。
引退の理由は?
そこで、気になる上岡さんの引退理由ですが、様々な要因が絡んでいるようですが、最も決定的だった出来事があったといいます。
それは、ある日、上岡さんが、次のレギュラー番組で、共演を予定している若手芸人2人と、新幹線の中でたまたま遭遇した時のこと、
その二人が、
これからよろしくお願いします
と、挨拶してきたことから、
上岡さんも、
よろしく
と、返したそうですが、
その後、会話が続かなかったのだそうです。
その時、上岡さんは、自分が若手だった頃、挨拶に行った後、会話が続かなかった大物タレントがいたことを思い出し、いつの間にか自分もその大物タレントと同じ立場にいるのだと痛感したそうで、
1997年の春、
ボクの芸は20世紀で終わり。21世紀には新しい人生を歩みたい
と、引退を公表。
2000年には、その宣言通り、引退したのでした。
引退理由は別の所にあった?
また、上岡さんは、引退の理由について、
落語や講談と違って、テレビの場合は年を取ったら老醜をさらすだけ
とも、語っていたのですが・・・
実は、「探偵ナイトスクープ」の放送作家を務めた小説家の増山実氏は、
上岡さん流の謙遜で、本心は別のところにもあったのではないか
と、言っているのです。
というのも、増山氏によると、そもそも、上岡さんの話芸と圧倒的センスがあれば、これから先もずっと芸能界のトップに居続けることができたはずで、にもかかわらず、引退を選んだのは、おそらく、上岡さん自身の限界ではなく、テレビの世界に限界を感じたからではないかというのです。
本当の引退理由は?
実際、1990年代の終わり頃から、局が視聴者の抗議やスポンサーのクレームを過剰に恐れ、上岡さんの持ち味である、「視聴者や番組スタッフに媚(こ)びないストレートな物言い」に慎重になり、骨のあるテレビマンも減っていったそうで、
このままでは、芸能界では自分のやりたいこと言いたいことを表現できなくなると、上岡さんが敏感に感じとり、局に合わせて窮屈に仕事をするより、潔く引退する道を選んだのではとのことでした。
ちなみに、「上岡龍太郎にはダマされないぞ!」で、サブ司会を務めた山田雅人さんは、
引退するかなり前から『やめたい、やめたい』とおっしゃっていました。ご自分が出ているテレビは一切見ない方で、『老いさらばえた姿をみせたくない』と。
そうはいっても、老いるどころか、まだ第一線でバリバリで仕事をしていましたから、『なぜ引退するんですか?』と聞いても、『もう若い頃のような全盛期の自分じゃない』と。
野球がお好きだったので、『ホームランだと思った打球がフェンス際で失速して届かなくなる』とか、そんな喩えをよくされていましたね。でもやめる時もバリバリの3割バッターだったんですよ。
一度決めたら、周囲が説得しても耳を貸さない。求めるレベルが高い、完璧主義者。本人しか分からない美学があったんでしょう。関西の芸人は、多かれ少なかれ、上岡師匠の影響を受けて、背中を見て歩いているんですよ。
その背中がなくなるわけですから、僕らは『引退じゃなくて休養にしてください。また帰ってきてください』と何回も言いましたが、『そんなみっともないことはしたくない』と一蹴されました
と、明かしています。
「上岡龍太郎の現在は?引退後は悠々自適な暮らしを謳歌!」に続く