2003年には、映画監督人生の集大成として映画「スパイ・ゾルゲ」を発表し、これを最後に映画監督を引退していた、篠田正浩(しのだ まさひろ)さんですが、2020年には、「夜叉ヶ池」(1979)が42年ぶりに4Kデジタルリマスター版で復活し、喜びのコメントを寄せています。

「篠田正浩は「スパイ・ゾルゲ」を最後に引退していた!」からの続き

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映画「夜叉ケ池」が42年ぶりに4Kデジタルリマスター版で復活

篠田さんは、映画監督引退後は、日本芸能史の考察に没頭し、2019年には、「卑弥呼、衆を惑わす」を出版しているのですが、

2020年には、篠田さんがかつて在籍していた「松竹」が、映画製作開始100周年記念プロジェクトの締めくくりとして、1979年に公開された、幻想文学の礎を築いたと言われる泉鏡花の同名小説を原作とする、篠田さんの作品「夜叉ヶ池」を4Kデジタルリマスター版として、42年ぶりに復活させ、

2021年7月には、この4Kデジタルリマスター版の「夜叉ヶ池」が、「カンヌ国際映画祭クラシック部門(カンヌ・クラシックス)」で上演されており、

篠田さんは、

カンヌ国際映画祭クラシック部門で、42年ぶりに蘇った「夜叉ケ池」が上映されるという知らせが届きました。この作品が世界の映画史の中で”古典(クラシック)”になったのかと実感しました。

現地でその瞬間に立ち会えないことは残念ですが、「夜叉ケ池」が時代を超えて新しい観客と出会えることは、私の90年の人生の中でも大変嬉しいことです

と、喜びのコメントを寄せています。


「夜叉ヶ池」より。坂東玉三郎さん。

「篠田正浩監督生誕90年祭『夜叉ヶ池』への道 モダニズム ポップアート そしてニッポン」開催

また、2021年7月6日、渋谷のユーロスペースで特集上映「篠田正浩監督生誕90年祭『夜叉ヶ池』への道 モダニズム ポップアート そしてニッポン」が同月10日から開催されることと14日からBlu-rayの発売が決定すると、

篠田さんは、

僕はことし90歳になった。渋谷のユーロスペースで始まる「篠田正浩監督生誕90年祭」はそのお祝いだと思っている。

さらに嬉しいのは今まで顧みられることが少なかった「夜叉ケ池」が4Kデジタルリマスターで上映され、Blu-rayになったことですね

と、語り、

初日舞台挨拶では、坂東さんとともに登壇し、

どうしてももう一度見せなければいけない映画ではないかと、40年間密かに思っていました。この作品は坂東玉三郎という才能と情熱がなければつくれなかった

さまざまな才能が集まってつくった、映画界の越境者たちのユートピア映画だと思っています。この技術を、これからは永久保存のために活用していただきたい

と、語っています。


「篠田正浩監督生誕90年祭」初日舞台挨拶より。坂東玉三郎さん(左)と篠田さん(右)。

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「夜叉ケ池」では歌舞伎役者の坂東玉三郎が一人二役を演じていた

ところで、この「夜叉ヶ池」は、歌舞伎役者で女形の坂東玉三郎さん(当時29歳)の映画初出演作で、村に暮らす娘・百合役と夜叉ヶ池の龍神・白雪姫の一人二役を演じたことでも大きな話題となったのですが、

当時、坂東さんは、あの、作家の三島由紀夫さんをして、

百年に一人出るかどうかの天才女形

と、言わしめた人だったことから、

篠田さんも、緊張の中、撮影に臨んだそうですが、その甲斐あって、坂東さんの演技は日本のみならず、海外でも大変な評判となったのでした。

「篠田正浩の「夜叉ヶ池」は巨匠マーティン・スコセッシも絶賛していた!」に続く


「夜叉ケ池」より。

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