押さえるところは押さえながらも、自由にのびのびと育てられたという、中村メイコ(なかむら めいこ)さんは、2歳の時には、売れっ子作家だったお父さんの中村正常さんと一緒に写った一枚の写真が雑誌に載ったことがきっかけで、映画デビューすることになったといいます。
「中村メイコが幼い頃は母親から家事一切の手伝いをさせられていた!」からの続き
2歳の時「フクちゃん」役にスカウトされる
中村さんは、2歳の時、当時、売れっ子作家だったお父さんの中村正常さんを取材した「令女界」という雑誌のグラビア記事「中村正常さんの一日」に、お父さんに抱き上げられる写真が掲載されたそうですが、
それが、朝日新聞の連載漫画「フクちゃん」の映画化に際し、「フクちゃん」役を探していた「P.C.L映画製作所」(現在の東宝)の社長の目に留まったそうで、
社長に、
おい、君のところのチビを貸せよ
と、言われたお父さんが、
喜劇ならお貸しします
と、この申し出を承諾し、中村さんは映画デビューが決まったそうです。
(中村さんのお父さんの中村正常さんは、この東宝の社長と仲が良かったそうです)
「フクちゃん」役のためお昼寝中にイガグリ頭にされていた
ちなみに、この「フクちゃん」は、1936年1月の連載開始当初のタイトルは「江戸っ子健ちゃん」で、健ちゃんが主人公だったそうですが、脇役だったフクちゃんの、やんちゃな腕白ぶりが人気を集めたため、同年10月から「養子のフクちゃん」に改題されたそうで、朝日新聞全国版の連載になると、1971年まで続く人気シリーズとなったそうですが、
この「フクちゃん」役に抜擢された中村さんは、もともと、(当時、アメリカの有名子役だったシャーリー・テンプルさんのように)キレイにパーマをかけていた頭を、お昼寝している間に、バリカンで刈られ、イガグリ頭(フクちゃんに模して)にされてしまったそうです(笑)
(中村さんのお父さんの中村正常さんは、この「フクちゃん」の原作者の横山隆一さんとも仲が良かったそうです)
映画「江戸っ子 健ちゃん」で子役デビュー
こうして、中村さんは、1936年、2歳8ヶ月の時、横山隆一さんの朝日新聞の連載漫画「フクちゃん」を実写化した「江戸っ子 健ちゃん」で映画デビューすると、自然体で愛らしい姿が、天才子役として一躍脚光を浴び、
このことがきっかけで、子役の仕事を始めるようになると、以降、「P.C.L映画製作所」のコメディ映画で、山本嘉次郎監督の作品に次々と出演し、榎本健一さん、古川ロッパさん、徳川夢声さん、柳家金語楼さん、森繁久彌さんらと共演したのでした。
「江戸っ子、健ちゃん」
幼い頃は撮影所で黒澤明におんぶをして遊んでもらっていた
ちなみに、その山本嘉次郎監督の下では、後に巨匠と呼ばれることになる、黒澤明さん、谷口千吉さん、市川崑さんらが助監督として働いていたそうですが、中村さんは、3人の中で一番背が高かった黒澤さんにおんぶをしてもらうのが特に好きだったそうで、
(ただ、黒澤さんは、シナリオを書きたいと言って、現場にはあまり来なかったそうですが)
黒澤監督には、大きくなってから、
僕はメイコちゃんのおんぶ係だった
と、言われたことがあったそうです。
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「江戸っ子 健ちゃん」でフクちゃんに扮する中村さん(当時2歳8ヶ月)。