オリックス入団１年目と２年目には、独特の打撃フォームを巡って土井正三監督ら一軍首脳陣との対立が取り沙汰され、実際、一軍と二軍を行ったり来たりしていたことから、土井正三監督との確執が噂されたイチローさんですが、実際には、イチローさんの打撃フォームを嫌い、再三、打法を改造するよう命令していたのは、山内一弘一軍打撃コーチだったといいます。
「イチローが土井正三監督に｢振り子打法｣を否定され干されていたは嘘？」からの続き
イチローは山内一弘一軍打撃コーチに打法をダウンスイングに改造するようにしつこく指示されていた
イチローさんは、オリックス入団１年目の１９９２年は、二軍スタートも、７月１０日には一軍昇格を果たしています。
ただ、首脳陣から、（凡フライを量産する）イチローさん独特の打撃フォームを批判され、
（差し込まれて凡フライになるよりか）足を生かし、上から叩きゴロを打て
と、ダウンスイングに打法を改造するように指示されています。
そして、それは、山内一弘一軍打撃コーチの主張だったそうで、
イチローさんの”振り子打法”を考案した、河村健一郎二軍打撃コーチは、
イチローを二軍に落とすよう主張したのは、ダウンスイングに打法改造するよう指示した一軍打撃コーチであり、土井（正三）監督は打撃コーチの意見を尊重せざるを得なかったにすぎない
と、語っています。
また、イチローさん自身も、打法に対して、しつこく干渉してきたのは、一軍打撃コーチの山内一弘さんだったことを明かしています。
（イチローさんはレベルスイングだったのですが、６８キロと体が細かったため、通常のタイミングでボールを捉えると、体力がついていかず、力負けして内野フライを量産していたことから、山内一弘一軍打撃コーチにはアッパースイングに見え、イチローさんの打撃フォームを評価できなかったといいます）
イチローの打撃フォームを嫌っていたのは土井正三監督ではなく山内一弘打撃コーチだった
また、当時のオリックスの監督だった土井正三さんも、２００１年、アメリカ合衆国イリノイ州ピオリアを訪れた際、シアトルの記者から、
なぜ（イチローを）使わなかったんだ
と、質問され、
当時の打撃コーチ（山内一弘）が彼（イチロー）のフォームを好きじゃなかったから
と、答えているのですが、
実は、土井正三さんは、オリックスの監督になった際、自ら１０歳年上の山内一弘さんに、ヘッド兼打撃コーチを依頼していたことから、山内一弘さんには頭が上がらなかったのだそうです。
イチローは山内一弘打撃コーチにバットの握り方を注意され、言い返していた
さておき、イチローさんは、オリックス入団２年目の１９９３年は、一軍でスタートするのですが、バットのグリップエンド（一番下の少し太い部分）に小指を引っ掛けて握っていると、
（イチローさんがバットを握るとグリップエンドが全く見えなくなったそうです）
ある時、その握り方を見た山内一弘一軍打撃コーチから、
そうやってバットを握っていると、ボールが当たった時に小指が折れるぞ
と、注意されたそうで
イチローさんは、
こんなところにデッドボールを食らうなんて鈍臭いんですよ。当たらなきゃいいじゃないですか
と、言い返したそうですが・・・
（当時は、グリップエンドよりも上を握るのが基本で、そんな握り方をしている選手はほとんどいなかったそうです）
イチローは山内一弘一軍打撃コーチの注意を聞き入れなかったため二軍に落とされていた
その後、イチローさんは、引き続き、独自の工夫を練習に取り入れ、自分に合った打撃スタイルを追求し続けていたそうですが、
山内一弘一軍打撃コーチからは、若いくせに偉そうだと思われ、生意気な選手は要らないと、グリップエンドの件で注意された４日後の４月２５日に二軍に落とされてしまったそうで、
イチローさんは悔しさのあまり、泣き崩れると、
奥村さん（イチローさんの専属打撃投手）、僕は決して体格では恵まれていません。この握り方をすると小指に力が入ります。僕がバッターとして成功するためには、すごく大切なことなんです。
でも監督もコーチも、僕の理由を聞いてくれないし、否定しかされなかった。本当に悔しいです。二軍に行ってきます。
と、言って、一軍を去ったのだそうです。
イチローはかえって二軍で基礎固めが出来て良かったと言っていた
そんなイチローさんですが、後に、山内一弘一軍打撃コーチについては、
上で結果を残せなかったんだから、あれこれ言われるのは仕方がなかった。むしろ下（二軍）で自分の基礎固めができたから結果的には良い経験だったと思う
と、語っており、
その後は、わだかまりなどなかった旨語っています。
（山内一弘さんは２００９年に他界されています）
「イチローの｢振り子打法｣は2軍で河村健一郎打撃コーチと作り上げたものだった！」に続く
