2016年のプロ野球ペナントレースも前半戦が終わった。ほとんどの野球解説者が優勝を予想していた、金本知憲監督率いる阪神タイガースは、なんと、一時は最下位にまで沈み、現在、借金10の5位となっている。


金本監督は、「超変革」の旗印のもと、
育成と勝利の両立を掲げているのだが、
そもそも、育成とはなんだろうか。

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育成とは

近年、トホホな解説者の影響で、

1軍で我慢して使わないといかん

という者が多いが、

2軍で大した成績も出せない者が、
1軍では通用しない。

2軍で抜群の成績を残したもののみ、
1軍に昇格させ、そこで初めて、
「1軍で我慢して使う」状況になるのだ。

1軍の試合は、入場料を取るプロ野球。

それに、1軍の試合は、
入場料を取って野球をやるプロ。

一方、2軍の試合は、
観戦無料。

つまり、1軍はお金を取るプレーを、
見せなければいけない。

だから、2軍で大した成績を残せないものは、
1軍にあげてはならない。

1軍では、チームで最も優れたプレーが出来るものを、
使わなければいけないのだ。

実際、同様の考えを持った、
阪神ファンの方がいたそうだ。

彼は、試合後、
「育成試合を金とってやるな!」
というボードを持って、球場前で抗議したそうだ。

育成は鳴尾浜でやるべきであって、
興行である一軍でやるべきことではない。

北條のヒットを見るために、
お金を払っているわけではなく、
チームの勝利を見るために払っている。

そして、彼は、こうも言っている。

育成のために今年は我慢しろ、と言うなら、
負けたら返金とか入場料を下げるとかするべき。
そうしないとファンが減ってしまう。

お金を払って、観戦しているファンからすれば、
当然の言い分だろう。

ベテランと言われる選手の扱い

チームで最も、優れたプレーが出来るものを、
使わなければいけない、と言ったが、

それは、たとえ、40歳をまわった、
超ベテランでもだ。

年齢は全く意味をなさない。

2015年のオフに引退を余儀なくされた、
中日の小笠原道大や和田一浩、
巨人の高橋由伸など、残念で仕方がない。

厳密に言えば、引退以前に、
近年、代打ばかりで、
スタメン起用が少なすぎたのが残念だった。

彼らは、2015年時点では、
既に全盛期を過ぎていたが、

それでも、依然として、
超一流打者だったからだ。

彼らの一打席一打席を、
楽しみにしていたファンは多かったはずだ。

阪神タイガースでは?

現在、金本監督は、
多くの若手を1軍で起用しているが、

その中には、なぜ?という、
魅力の乏しい選手もいる。

彼らを1軍に上げるのは、
前述のとおり、2軍で抜群の成績を残してからだ。

はっきり言って、彼らを見るより、
2013年オフに引退した桧山進次郎や、
2015年オフに引退した関本賢太郎を見たい、
ファンの方が多いのではないだろうか。

彼らもまた、引退の時点では、
まだ、1軍レベルのプレーが出来たからだ。
(彼らの場合、本人の意思で、
引退した節があるので、致し方ないが。)

1軍で見たい選手

では、ファンが1軍で見たいと思う、
選手をあげるならば誰だろうか?

やはり、まず、見たいと思うのは、
実際、活躍した時期があった選手。

プロでの実績があれば最高だが、
高校や大学、ノンプロでの実績などがあれば、
また、あの時のように・・・と期待感が湧くからだ。

野手なら、福留孝介、西岡剛、鳥谷敬、大和、
髙山俊、原口文仁は外せないだろう。

福留は、プロでの実績は抜群。
去年の終盤から今年のこれまでの成績を見れば、
反論の余地はないだろう。

西岡も、プロでの実績は抜群。
老化する年齢でもないし、
何かきっかけをつかめば、
往年の活躍が出来るのではと期待が持てる。

鳥谷も、プロでの実績はまあまあ。
ただ、今年のこれまでの成績を見ると、
ちょっと微妙かもしれない。

大和は、内外野どこでも守れるうえに、
俊足で守備範囲が広い。
彼ほどの守備力を持った選手が、
ほかにいるだろうか。

髙山は、ルーキーながら、
開幕当初、あれだけの成績を残した。
大学時代を見ても、
圧倒的な能力を持っているのは言うまでもない。

左投手だからと言って、
スタメンを外すべきではない。
彼こそ、1軍で我慢して使うべき選手だ。

原口もそうだ。
守備が悪いだの、リードが悪いだの、
チャンスに弱いだの、いろんなことも言われているが、
今年のこれまでの成績を見る限り、
阪神で、彼以上に打つバッターはいない。

彼もまた、
1軍で我慢して使うべき選手だ。

スターティングメンバー

以上を踏まえて、
スターティングメンバーを考えてみた。

一番(中)大和
二番(遊)鳥谷敬
三番(二)西岡剛
四番(右)福留孝介
五番(捕)原口文仁
六番(左)髙山俊
七番(一)ゴメス
八番(三)ヘイグ
九番(投)ピッチャー

一番から六番までは、
好不調関係なく、基本的に固定。

七番と八番は自由枠とし、
その時に調子のいい者を使う。

若手は正三塁手を狙え

ここで気づくのは、
阪神には、正三塁手がいないということ。

北條史也はサードを守れるが、
横田慎太郎、江越大賀、中谷将大など、
期待の若手は、みな外野手ばかり。

若い選手はサードを猛練習して、
正三塁手を狙いに行くべきだ。

監督自ら、「サードは空いている」
と言った方がいいのかもしれない。

逆に、それ以外は、
好不調でコロコロ変えず、
レギュラーとして固定する。

レギュラーとして固定させると、
安心してサボるのではないかと、

敢えて、コロコロ変え、
競争意識を持たせたいのだろうが、
それは、メリットよりも、
デメリットの方が大きい。

一応、彼らは成績で給料が決まる、
個人事業者なのだから、
成績をあげたい意識は当然あるし、

たとえサボったとしても、
彼ら以上の選手はいないのだから。

捕手のリードについて

ところで、捕手についてだが、
なぜ、最近は、
原口文仁をスタメン起用しないのか。

体調面が原因なら仕方がない。

ただ、もし、噂されている、
リードや守備面が原因なら、
すぐにでもスタメン起用するべきだ。

というのも、近年は、
ノムさんこと、野村克也の影響で、
捕手のリードが話題に出ることが多い。

確かに、捕手のリードが優れていれば、
打者を打ち取る確率は上がるだろう。

ただ、投手がリード通り投げられる、
コントロールを持っていなければ、
意味はない。

そして、コントロールはあまり良くなくても、
球威があれば、それだけで、
打者を打ち取ることも多い。

逆にコントロールの良い投手は、
自分のコントロールを生かして、
自分で組み立てを考える。

つまり、捕手のリードは、
必須ではないのだ。

むしろ、投手がもっと、
組み立てを勉強するべきだ。

捕手に求めるもの

では、捕手に求められるものは、
なんだろうか?

全く他の野手と同様だ。

つまり、キャッチングとスローイング、
そして、打撃だ。

話を原口に戻すと、
原口のキャッチングはうまいとはいえない。
もっと練習が必要だろう。

しかし、スローイングはそう悪くはない。
肩は強くないが、本来、
コントロールはそう悪くはないのだ。

盗塁阻止率というものがあるが、
あれはあてにはならない。

なぜなら、盗塁成功の一番の要素は、
投手のモーションを盗むことだからだ。

つまり、盗塁阻止率を、
捕手の成績とするのは馬鹿げている。
むしろ、投手の成績にするべきだ。

投手がクイックなり、牽制なりで、
最大限に工夫すれば、

捕手は最低限の肩と、
コントロールがあれば済むのだ。

それを、投手が、
完全にモーションを盗まれるがゆえに、

捕手は今更どうしようもないのに、
慌てて、二塁に送球し、悪送球になるのだ。

一方、原口の打撃は秀逸だ。

無理に当てようとしないから軸がぶれない。
それ故に、時々あさってな空振りもするが、
当たればいい打球になる。

そして、選球眼も悪くないから、
あれだけの率を残しているのだろう。

以上の理由で、
原口はスタメンで使うべきなのだ。

鳥谷敬について

ところで、鳥谷敬が絶不調だ。
打撃もひどい状態だが、
守備力もかなり落ちてきている。

そこで、世間では、
鳥谷の連続記録を止めてでも、
外させるべきだとの意見が出ている。

確かに、鳥谷の現状を見れば、
そう言いたくもなる。

しかし、金本監督に鳥谷を外させるのは酷だ。
そもそも、そんなことを出来る監督がいるだろうか。

連続記録を継続している人間を外せば、
永遠にその監督の名前が残るからだ。

それに、金本監督自体、
その恩恵を受けてきた人間なのだから、なおさらきつい。

長い間、阪神で成績を残してきた金本監督だが、
実際、星野監督、岡田監督、真弓監督の、
協力がなければ、記録更新はできなかったのだから。
(最終的には、金本自身が申し出て、記録はストップしたが)

それに、鳥谷のレベルは、守備に限って言えば、
それほど酷いものではない。

以前に比べれば低下は明らかだが、
それでも、あれだけの守備力は代わりがいない。

打撃にしても、打率はさっぱりだが、
四球の数を考えれば、まだましだ。

ちなみに、鳥谷の打撃は、
金本監督から直接指導を受けて、
完全に崩壊したように感じる。

鳥谷は従来、手元までひきつけて、
回転で打つ打者だったが、
金本監督の「腕を先に出してから」
という指導で完全に崩壊してしまったように思う。

金本監督からすれば、
鳥谷はもっとホームランが打てる、
と思ったのだろうが、そのあては外れたようだ。

鳥谷は前述の打撃法で、
打率280前後、進塁打も打て、
時々ツボにはまった一発があり、
四球が多く、三振が少ない打者。

そして、走力を生かす工夫をすれば、
ゲッツーも防げる打者なのだ。

彼には、従来の打撃法に戻させ、
バントを徹底的にマスターさせて、
2番として起用すれば、まだまだ活躍できるはずだ。

三振が多い?

今年の阪神は、金本監督の打撃指導のせいか、
鳥谷に限らず、異常に三振が多い。

金本監督なら出来ることでも、
他の選手が出来るとは限らないのだ。

体格、パワー、器用さのフィジカル面のほか、
根性や粘り強さといったメンタル面すべてにおいてだ。

つまり、全員4番ではないのだ。
実際、日本ハムの中田翔などは酷いことになっている。

打てるときはえげつないが、
打てないときは、かなり厳しい。

こういう選手が、
6番か7番に1人いれば相当な戦力になるが、
こういう選手は1人で十分。

あとは、
当てるのがうまい選手、
転がしたら高い確率でセーフになる選手、
バントがうまい選手、
右打ちがうまい選手ほか、

それぞれの持ち味があるから、
誰かが打てなくても、
誰かが出塁することが出来るのだ。

まさに、日本ハムの打線がそれだ。

極端に言えば、今の阪神は、
全員が打者金本の出来損ないだから、弱いのだ。

ちょっと崩れると、お手上げ、
全員が打てなくなり、
仮に打ててもつながらず、点が取れないのだ。

投手について

一方、投手陣だが、
打撃陣同様、結果が残せていないように、
見えるかもしれないが、

これだけ点を取ってくれなければ、
投手も辛抱たまらなくなるし、

コマが足りていない中で、
フル回転させられていることを考えれば、

それなりに、
健闘していると思う。

完封できないら、送りバントは確実に。

ただ、送りバントは酷い。

今年は野手もそうだが、
折りバントの失敗が多すぎる。

とにかく、腰が引けていて、
成功しそうにもない。

阪神には、平田や久慈などの、
バント職人がいるのに、
教えていないのだろうか?

そもそも、
練習していないのだろうか?

往年の江夏投手のように、
自分でホームランを打って、
完封できるのならともかく、

ホームランはおろか、
完封もほとんど出来ないのだから、
送りバントは確実に決めなければいけない。

1点抑えるのも、1点取るのも、
効果はほぼ同じなのだから。

阪神の投手陣は、まずは、
徹底的に、バント練習をした方がいい。

補強が失敗?

前述のとおり、投手陣は、
明らかにコマが足りていない。

中継ぎと抑えのことだ。

ドリス?マテオ?
スカウトは何を見て獲ってきたのだろうか?

球速があるだけなら、
素人でも獲ってこれる。

いつものことだが、十分な期間を取って、
しっかり調査していないのだろう。
直前になって、テキトーに見繕ったようにしか見えない。

フロントが問題?

そもそも、選手を見る目に、
問題があるのだろう。

阪神の監督に就任したばかりの、
星野仙一元監督は、

阪神は(中日なら)3位か4位で取る選手を1位指名する。

と話していたそうだ。

実際、阪神が上位で獲得した、
2012年のドラフト2位である北條史也、
2014年のドラフト3位である江越大賀は、
指名リストから除外した球団もあるほど。

こんな話もある、

ある球団が阪神からトレードを申し込まれたときの話だ。
要求された選手が余剰人員だったため、
商談はすぐさま交換要員をだれにするかという点に発展した。

その球団のフロントが、阪神のファームの若手有望株を、
血眼になって探したものの、目ぼしい選手はひとりもいなかったそうだ。

仕方なく、放出できる選手を阪神に聞いて、
名前の挙がった3人の中の1人をもらうことにしてトレードは成立した。

また、2001から2004年まで、
阪神の球団社長を務めた野崎勝義は、

私がかつて12人いたスカウトを4人に減らしたのは、
優秀なスカウトを招くと同時に、
個々に責任をもってもらおうと思ったからです。

けれども現在は、元の体制に、
戻ってしまっているような気がしてなりません。

OBだから仕事を与えようとか、
上司の受けが良いといった理由で、
スカウトにするケースもあるのではないでしょうか
(今年はスカウトが11人)。

有能なスカウトが、その能力を発揮しづらい、
環境、体制も問題だと思いますよ。

と言っている。

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結論

つまり、いくら、金本監督が、
広島カープ仕込みの育成を断行したとしても、

もともと、大したことのない選手しか、
獲ってきていないので、いくら育成しても無駄?

と言ってしまうのは、
あまりにもあまり、極論だが、

やはり、チームが弱い大きな原因は、
いい人材を取ってこれないフロントにあるだろう。

福岡ソフトバンクホークスのように、
スカウトを強化し、グランドほか施設を充実させ、

3軍を作り、金の卵を徹底的に鍛え、
2軍は1軍が行き来する調整の場所とするなど、

フロントがやることをやれば、
チームは自ず力をつけ常勝軍団化するのだ。

しかし、7月12日にオーナー会議に主席した、
阪神のオーナー坂井信也(さいかい しんや)は、

「タイガースは消滅した」

などの発言を連発。

確か、金本監督就任の折には、

2年連続最下位でも構わない。

と言っていたはずだが。

舌の乾かぬうちにこれでは・・・
でも、これが「THE 阪神タイガース」。

やはり、このチーム、
「超改革」は無理でんな~

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