「ビルマの竪琴」ほか数多くの名作を次々と発表し、日本を代表する映画監督としての地位を確立された、市川崑(いちかわ こん)さん。今回は、そんな市川さんの主に晩年にまつわるエピソードをご紹介します。

「市川崑の映画東京五輪オリンピックは担当相のクレームで修正させられていた!」からの続き

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死因は?

市川さんは、2008年1月24日、「息苦しい」と訴えられると、そのまま入院し、小康状態を保たれていたそうですが、2月13日午前1時55分、都内の病院で、家族が見守る中、「肺炎」のため、92歳で他界されています。

(眠るように亡くなる、穏やかな最期だったそうですが、ご家族のショックは大きく、多くの弔問の申し出を断られ、対面したのはフジテレビの日枝久会長や一部の映画関係者だけだったそうです)

タバコは1日100本

ちなみに、市川さんは、大変なヘビースモーカーで、「チェリー」「キャメル」のどちらかを、一日100本(4箱)は欠かさず吸われていたほか、


「チェリー」と「キャメル」

さらに、大の肉好きで、「金田一耕助シリーズ」に主人公の金田一役で出演されれていた石坂浩二さんの話によると、

ある日、牛丼を食べている市川さんを、石坂さんが注意したところ、

こんな年になってそう食生活なんて変えられないよ

と、笑っておられたのだとか。

実は、市川さんのお母さんは、広島で被爆しながらも90歳まで生き、お姉さんにいたっては、100歳を超える大往生だったとのことで、

ニコチンくらい大したものではない

と、公言されていたそうで、

「好きなタバコを吸って、好きなお肉を食べ、好きな映画を撮る」

遺伝的なものもあるかもしれませんが、これが市川さんの、健康で長生きする秘訣だったのかもしれませんね。

飽くなき映画への情熱

そんな市川さんも、最晩年は、吉永小百合さんのアドバイスもあって、健康に気を遣い、タバコは1箱半に減らし?ていたほか、好物だった肉料理も減らし、りんごを食べるなど、食生活にも気を遣って?いたそうですが、

それは、何より大好きな映画制作への情熱からだったそうで、市川さんは、新作現場ではしょっちゅう記者から「あと何本取りたいですか」という質問を受けていたのですが、

手帳には20本くらい企画が書いてある

と、答えるなど、創作意欲は衰えを知らず、最後の作品となった76作目の「犬神家の一族」(2006)の試写会では、

もう少し長生きして、もうちょっとちゃんとした映画を作りたい

と、報道陣を笑わせるなど、映画への情熱に比べたら、タバコやお肉料理を減らすことなど、何でもないことだったのでしょうね(笑)

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三谷幸喜作品「ザ・マジックアワー」は市川崑へのオマージュ

ところで、市川さんは、三谷幸喜さんの映画「ザ・マジックアワー」(2008)で、映画監督役(市川さん最後の出演)を演じられているのですが、劇中、市川さん演じる映画監督は、「黒い101人の女」という映画を撮影しており、

これは、市川さんの作品「黒い十人の女」のパロディになっているほか、劇中の撮影シーンでは、実際の市川組のスタッフたちが市川さんの撮影現場のスタッフ役を演じられていたそうです。

(そのため、周りのスタッフは、非常に緊張していたそうです)

また、エンドロールのクレジットにも、「金田一耕助シリーズ」で使用された、画面全体に縦横に走る明朝体のクレジットが使用されているのですが、

市川さんがこの映画への出演を最後に亡くなったことから、そのエンドロールの最初には、

市川崑監督の思い出に捧ぐ

と、表記されたそうです。

「市川崑の妻は助監督時代に知り合った通訳!後に脚本家になっていた!」に続く

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