長年、公私共に妻の由美子(和田夏十)さんと歩んでこられた、市川崑(いちかわ こん)さんですが、今回は、そんな市川さんと由美子さんの間に誕生したお子さんについてご紹介します。
「市川崑監督は脚本のほとんどを妻の和田夏十に委ねていた!」からの続き
市川南は息子?
市川監督を「息子」で多くの人が調べられています。
というのも、映画プロデューサーの「市川南(いちかわ みなみ)」さんを息子だと勘違いされている方が多いのです。
同じ映画業界(それも「東宝」)で苗字が同じなため、無理もないのですが、市川監督と市川南さんは全くの赤の他人です。
市川南さん。
ただ、全く無関係という訳でもなく、市川南さんのお父さん・市川喜一さんは、市川監督作品「犬神家の一族」のプロデューサーを務められていました。
ちなみに、市川喜一さんは、今井正監督「キクとイサム」、野村芳太郎監督「拝啓天皇陛下様」、山田洋次監督「馬鹿まるだし」、勅使河原博監督「砂の女」、山本薩夫監督「華麗なる一族」、松山善三監督「戦場にながれる歌」など、錚々たる映画監督のプロデューサーも務められています。
息子は?娘は?
では、市川監督の本当の息子さんなのですが、「昆プロ」の代表取締役を務められている、「市川建美」さんです。
建美さんは、2009年、日本映画界に貢献した功績を称える「毎日映画コンクール」特別賞を受賞した、お父さんの市川監督に代わって、表彰式に参加されると、
父は生涯現役で大変幸せでした
と挨拶されています。
ちなみに、市川監督には娘さんもおられ、舞子さんというそうですが、情報がないことから、芸能関係のお仕事はされていないようです。
子煩悩だった
また、2016年には、市川監督の生誕100年を記念した「市川崑映画祭 光と影の仕草」が東京都新宿区の角川シネマ新宿で開催されているのですが、
建美さんは、その時のインタビューで、
子煩悩でね。家の中は母が仕切り、大事な判断をするときだけ父が決断していました。父は巨人軍の大ファンで、よくテレビを見ていました。書斎では仕事にまつわる作業をしていましたが、映画監督を意識させるようなことはなかった。
と、市川監督が、当時、すでに世界的に有名な映画監督となっていたにもかかわらず、普通のお父さんだったことを明かされているほか、
映画「東京オリンピック」が、当時のオリンピック担当相の河野一郎氏(河野洋平氏は次男、河野太郎氏は孫)から痛烈に批判された際には、
あのときはつらそうでした。開幕5カ月前にめぐりめぐって引き受けたのに、後から妙な議論が始まり…。父は、作りたい映画を精いっぱい作る人でしたから。
と、大監督といえども、家では辛そうにされていた、市川監督の素顔を明かされていました。
インタビュー当時の市川建美さん(70)。