ボクシングのタイトルマッチ「モハメド・アリVSチャック・ウェプナー戦」で、無名のボクサー・チャック・ウェプナーさんの決して諦めない姿に感動し、3日間で「ロッキー」の脚本を完成させたという、シルベスター・スタローン(Sylvester Stallone)さんですが、実は、自身のこれまでの人生を投影したものだったそうです。
「シルベスター・スタローンは「ロッキー」の脚本を3日で書き上げていた!」からの続き
「ロッキー」には自分自身の人生を投影していた
これはオレの人生のたった一度の晴れ舞台だ。決して倒れないぞ。たとえ殺されても
と、非常に強い決意でこの闘いに臨んでいたという、チャック・ウェプナーさんのファイティングスピリッツに感動して、インスピレーションを得たという、スタローンさんですが、
実は、出産時の医療ミスで左顔面麻痺と言語障害を負ったことから、子供の頃からイジメられる中、両親が離婚して、不良になり、やがて、俳優でスターになることを夢見るようになるも、なかなかオーディションに受からず、エキストラやポルノ映画に出演して食いつなぎながら、決して諦めない自分自身の姿を重ねたそうで、
ボクシングの素質はあるものの芽が出ず、賭けボクシングの賞金や、知人の高利貸しの取り立て人の手下をしながら日銭を稼ぐ、やさぐれた生活を送る中、やがて、ボクシングの世界チャンピオンに挑んでいく主人公・ロッキーのストーリーを思いついたのだそうです。
(劇中、ロッキーが恋心を抱く、ペットショップで働く極端に恥ずかしがり屋のヒロイン・エイドリアンは、役者になるという夢をサポートしてくれた、当時の妻サーシャさんが投影されていたそうです。)
「ロッキー」より。エイドリアン(左)とロッキー(右)。
「ロッキー」のエンディングはもともとはハッピーエンドではなかった
また、「ロッキー」といえば、最終ラウンドを終えてズタボロになったロッキーが、渾身の力を振り絞り、最愛の恋人エイドリアンに「I love you」と叫び、エイドリアンと抱き合うエンディングが感動的なのですが、
実は、もともとは、
試合前にトレーナーのミッキーが歪んだ人種差別的思想を表し、それに失望したロッキーが試合を放棄して会場を去る
という、陰鬱(いんうつ)なものだったのだそうです。
しかし、(当時の)妻サーシャさんがこれを読み、
私はこんなロッキー嫌いよ
と、言ったことから、ハッピーエンドに変更したそうで、その変更が「ロッキー」を不朽の名作としていたのでした。
(当時は、ベトナム戦争の影響で、ハッピーエンドや英雄を描かない「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれる映画が主流だったことから、スタローンさんもこの影響を受けていたのだそうです)
「ロッキー」のエンディングより。
当初「ロッキー」の脚本はバカにされ買い手がいなかった
さておき、こうして、並々ならぬ思いを込めて仕上げた脚本を、早速、スタローンさんは、エージェントに持ち込むのですが・・・・
「ロッキー」の脚本はけなされ、バカにされ、笑われたそうで、毎日のように売り込んでも、その脚本を買ってくれる人は、誰もいなかったのだそうです。
「シルベスター・スタローンの「ロッキー」はB級映画並の製作費だった!」に続く
https://www.youtube.com/watch?v=3ajRd56jnLo