プロ野球引退後、野球解説者になると、その饒舌(じょうぜつ)ぶりから、人気を博し、その後も、安定した人気を誇っていた、板東英二(ばんどう えいじ)さんですが、1979年には、シーズン途中で、CBCラジオから野球解説者としての契約を解除されてしまったといいます。
「板東英二がプロ野球入り後すぐに副業を始めた理由とは?」からの続き
あれあれ事件
それまで、野球解説者として安定した人気を誇っていたにもかかわらず、シーズン途中で契約を解除された板東さんですが、実は、これには、分かりやすい原因があったといいます。
というのも、ナゴヤ球場で開催された中日対巨人戦のラジオ中継でのこと、板東さんは、巨人ベンチ内で、当時新人だった江川卓投手の練習態度を巡って、江川さんと張本勲さんと王貞治さんが揉めていたことを試合前の取材で見ていたことから、
その日の解説で、
今日は試合としては間違いなく中日が勝つでしょう。それも2対1か3対1で必ず中日が勝つ。間違っていたら僕は今日限りで解説を辞めます
と、言ったそうですが、
実際、この試合は、中日が3対1で勝ったそうで、
板東さんは、
ね?言ったでしょ?あれがあるから、こういうことになるんです
と、そこからは、「あれ」「それ」ばかり使って話をしていたのだそうです。
ラジオ生放送中にキー局幹部からの電話にキレていた
すると、この表現に対し、リスナーから苦情が殺到したそうで、CBCのキー局のTBSの幹部から放送席に、(他カードの経過・結果速報用に使っていた)直通電話がかかってきて、
板東に言え! 『あれあれ』じゃわからなんやないか! 説明させ!
と、言われたそうですが・・・
その電話を取ったのは、ほかならぬ板東さんだったそうで、
(板東さんは、この頃、サウナ、ナイトクラブ、割烹などのお店を経営していたため、電話が鳴るとすぐに取る癖がついていたそうで、この時もお客さんからの電話だと思って、つい、癖で出てしまったのだそうです(笑))
思わず、板東さんは、
じゃかあしいわい!途中から(中継を)聴いている人にまで、なんであれ(の内容)を説明せないかんのや!
と、激昂し、電話を途中で切ったそうで、
この一連の流れが、全部オンエアされていたことから、大問題に発展したのだそうです。
野球解説中に長嶋茂雄監督のサインを見破り放送で発表していた
そして、その翌日には、板東さんは、当時、巨人の監督を務めていた長嶋茂雄監督がベンチから出すサインを見て、
どうして最下位になるかというと、ちょっとご覧になってください
はい、長嶋さんが胸を触りました。左腕を触りました。ベルトを触りました。右足を触りました。覚えておいてくださいよ。はい、バントしましたね?
その前のサイン、覚えてますか? この試合は僅差だったらもう一度、この場面がありますから(そしたら、またバントした)
と、次のプレーを予測し、ことごとく的中させたそうですが、ラジオ中継を聴いていた巨人ファンからは多くの苦情を寄せられたのだそうです。
ただ、その時のディレクターが少し左がかった(社会・共産主義的な)人だったため、
バンちゃん、よかったよ! 徹夜してよくサインを解読したね!
と、(秘密を暴くのは素晴らしいという意味で)褒めてくれたそうで、
翌週月曜日にCBC本社に呼ばれた板東さんは、てっきり、褒められると思っていたそうですが・・・
担当者からは、
大変申し訳ないけど・・・いらんことを言ったから、今日限りで結構です。契約金は払います
と、解説者契約の解除を通告されたのだそうです。
ちなみに、後に、板東さんは、
『新しいことをしよう』と思って、長嶋のサインを見破った。(個人的には)『面白い』と思ったが、全く分かってもらえなかった。
と、語っているのですが、
契約先の放送局をシーズン中に解雇された解説者は、後にも先にも板東さんだけだそうです。
「板東英二は昔「マジカル頭脳パワー!!」等の司会でブレイクしていた!」に続く