1998年、高速道路で運転中、事故を起こし、鎖骨と肋骨3本を骨折するほか、首の骨がずれ、神経を圧迫する大ケガを負った、小田和正(おだ かずまさ)さんは、入院中、心配した多くのファンから「生きていてくれてよかった」という手紙を多くもらい、感動したそうで、このことがきっかけとなり、お客さんを喜ばせたいと思うようになったといいます。
お客さんに喜んでもらおうとコンサートで客席まで降りるように
そんな小田さんは、どうしたらお客さんが喜んでくれるかを考え、ステージで少し客席に降り、お客さんの近くへ物理的に近づいてみると、とても喜んでくれることが分かったそうで、
その後、小田さんは、
観客にもっと楽しんでほしい!ファンにもっと近づきたい!
という思いから、コンサート会場に、「花道」を作ることを発案。
そして、2000年、横浜・八景島シーパラダイスで開催されたカウントダウンライブで、初めて「花道」を設置したのだそうです。
照れくさくてできなかった手を振って歌うこともできるように
ちなみに、小田さんは、
花道をつくって、歌いながら歩いていったら、本当にお客さんが嬉しそうな顔してるんだ。ああ、喜んでもらおうと思ったけど、こんなに、こんなに笑顔になるんだって。
と、語っているのですが、
小田さんは、もともとシャイな性格で、それまでは、手を振って歌うということも、照れくさくて考えられなかったそうですが、それができるようになったのも、「生きていてくれてよかった、生きていてくれただけでよかった」という、ファンの人達の言葉で、素直になることができたからなのだそうです。
事前にコンサートの開催地を巡って地元の人たちと触れ合った映像をコンサート会場で流すように
また、小田さんは、ファンを喜ばせるための演出として、事前にコンサートの開催地を巡って地元の人たちと触れ合い、それを撮影したものをコンサート会場で流す、ということもしているのですが、
そもそもは、そのライブのために自分がいるんだという証みたいなものを残したい、それをみんなと共有したいということだね。「おまえのところに来ているよ、いま」って言うのをね。
「サンキュー東京!」とか言うアーティストもいるけど、おれは言わないから。でも、もし外国のタレントが日本に来て、そのへんの街を歩いて、それをステージ上で映して、「今日、ここへ行ってきたぜ、ベイビー」とか言ったら、すごく嬉しいんじゃないかなと思ったの。「ああ、あそこに行ってくれたんだ」ってね。
そうしたら、僭越(せんえつ)ながら、もし自分が本当にみんなが住んでいそうな街角や行きそうな喫茶店に行って、それを見てもらったら、「ああ、来てくれたんだな」って喜んでもらえるんじゃないかなと思ったんだ。スタッフも、「ああ、おれたち、いまここにいるんだな」って。見て分かってくれるしね。
でも、まあ、なんといっても、自分なんだろうな、なんだかんだ言ってるけど。自分が、この時期、この年齢であちこち行ってきたというものを、その証を残したいというね。それから、このライブは、ここでしかやってないよ。この日しかやってないよというふうにしたいんだろうな
と、明かしています。