3歳の時に歌舞伎役者としてデビューして以来、数々の歌舞伎のほか、ミュージカル、現代劇、シェークスピア劇、テレビドラマ、映画と多岐にわたって活躍してきた、二代目松本白鸚(まつもと はくおう)さんですが、プライベートはどのようなものだったのでしょうか。今回は、そんな白鸚さんの奥さんとの馴れ初めなどをご紹介します。
「松本白鸚(2代目)の出演舞台ドラマ映画を画像で!」からの続き
妻は藤間紀子
白鸚さんは、1969年12月、藤間紀子さん(24歳)と結婚しています。
紀子さんは、福岡市の開業医の一人娘で、慶應義塾大学文学部進学をきっかけに上京すると、東京に行ったら絶対にしたいと思っていたのが、踊りの稽古だったそうで、
(幼稚園の頃から日本舞踊を習っていたそうです)
紀子さんの父親の縁戚にあたる女優の香川京子さんの紹介で、藤間一門に弟子入りすることになったそうです。
(紀子さんは、1963年、大学受験で母親と一緒に東京に出てきた際、白鸚さん主演の舞台「蒼き狼」(東京宝塚劇場)を見ていたほか、藤間一門に弟子入りした後も、稽古場で白鸚さんを見かけたことがあったそうです)
香川京子の紹介で妻・紀子と知り合っていた
そんな中、1964年、白鸚さんが、明治座で舞台「さぶ」に出演していた際、紀子さんが、共演していた香川京子さんの紹介で楽屋に訪ねてきたそうですが、
白鸚さんの妹・麗子さんも、紀子さんと同じ藤間一門の踊りの稽古に通っていたことから、麗子さんが声をかけて、紀子さんが家に来ると、やがて、交際に発展したそうで、
その後、家族ぐるみの付き合いが数年続いた後、紀子さんも大学を卒業し、1969年7月、婚約を発表すると、同年12月5日、母校・暁星学園の教会で結婚式を挙げたのだそうです。
(披露宴は12月8日の午後にホテルオークラで行ったそうで(三船敏郎さんら多数の芸能人が参列)、当時珍しかったキャンドルサービスをしたそうです)
白鸚さんと妻の紀子さん。
結婚式と披露宴の夜も舞台に出演していた
ただ、白鸚さんは、この時、ちょうど、芸術座の舞台「春の雪」の公演中で、結婚式も披露宴も、舞台の合間を縫うようにして行い、二日とも夜は舞台に立ったそうで、
白鸚さんは、新婦の紀子さんには申し訳ないとは思いつつも、結婚するからその日は休むという発想はなく、すぐに新婚旅行、というわけにはいかなかったそうです。
結婚した理由
ちなみに、そんな白鸚さんが、紀子さんと結婚した理由ですが、著書「私の履歴書」で、
1965年にばあやがなくなって、ばあやのかけがえのなさを痛感するようになっていた。ネガティブこのうえなく落ち込んで、心もすさんだ気持ちの毎日だった。
いろいろな仕事をやって名前が売れても足元は少しも定まらない時期だった。歌舞伎の人間関係は閉鎖的で、狭い世界に住んでいる。同じようなセリフを常に強いられ、ライバルとの競り合いもある。人間としても役者としても地に根が張っていない。
そんなふうに感じながら日常を過ごしていた自分にとって、彼女は何から何まで別世界の人間に映った。閉鎖的な世界にいると分からなくなってしまいがちなことだが、彼女の言ってくれる素朴な意見が新鮮に感じられ、何かを解決する糸口を探り当てられる気持ちがし、混沌として暗く濁った自分の心に一筋の光が差し込んだような気がした。
と、綴っています。
妻・紀子に感謝の言葉を述べていた
また、白鸚さんは、紀子さんについて、
家内は九州の内科医の一人娘で、芸能界、ましてや歌舞伎とは縁もゆかりもない人間だったので、それはもういろいろと大変だったと思います。ただ「1つの目標に2人で進んでいくのが好きだ」と言っているんですね。
とも、語っているのですが、
2022年10月、文化勲章を受賞し、都内で行われた取材会では、
私は役者の芸しかない男でございまして、それ以外のことは全部やってくれた家内がおります。子どもたちのことから、学校のことから、家庭のことから、全てやってくれました。
今にして思うと、高麗屋の女房になってくれたこと、本当に感謝をしております。この場に立ちまして、お礼の言葉しかありません。本当にありがとうございました。
と、感謝の言葉を述べています。
「松本白鸚(2代目)の妻・藤間紀子が明かす現在の夫婦生活とは?」に続く
白鸚さんと妻の紀子さん。