中日監督在任７年間で、リーグ優勝３回、日本一１回、７期で全てAクラス入りと、申し分ない成績を残しながらも、２０１１年シーズン途中、しかも、逆転優勝がありうる勢いだった、ヤクルトとの首位攻防４連戦の直前に、監督退任（事実上の解任）発表がされた、落合博満（おちあい ひろみつ）さんですが、なぜ、この大事な時期だったのでしょうか。今回は、その背景について、落合さん自身の証言を交えつつ、ご紹介します。
「逆転優勝がありうる」タイミングで監督退任が発表された理由とは？
落合さんの中日監督退任（事実上の解任）が発表されたのは、２０１１年９月２２日、首位ヤクルトに４.５ゲーム差に迫り、本拠地ナゴヤドームでヤクルトと首位攻防戦となる４連戦の直前だったのですが、
この時期に発表したのは、「逆転優勝がありうる」と考えた球団が、中日が首位ヤクルトに肉薄すると、既定路線だった落合さんの監督退任（事実上の解任）発表がしづらくなるため発表を急いだと言われています。
実際、中日球団は、「選手に知らせておきたい」と落合さんに迫り、落合さんが、「大事な時期なので試合に専念させてほしい」と拒むも、無視して落合さんの監督退任（事実上の解任）発表をしたといいます。
監督解任は2011年シーズン前の株主総会で薄々感づいていた
ちなみに、２０１１年３月２６日、中日の親会社である中日新聞社の定時株主総会と取締役会で、坂井克彦氏が新球団社長、佐藤良平氏が新球団代表に選任されているのですが、
落合さんは、youtube「落合博満 オレ流チャンネル」で、
あのシーズン始まる前あたりからそんなきな臭い感じでは受け止めていた
西川（順之助球団）社長が退任されてね。『もしかしたら』っていうようなものがあったんでね。まあ『結構、別の力が動いてるな』っていうのがあった
と、薄々感づいていたことを明かしたほか、
（ペナントレースの佳境で、球団から呼び出しを受け）何時にホテルで待ち合わせっていうことで『ああ、いよいよ来たか』って思ったけどね
（台風の影響で遅延の上に満席の新幹線で名古屋に向かい）それでホテル入って。来季の契約結ばないっていう。最後までかばったのは白井（文吾オーナー）さんだけ
と、事実上の解任通達を受けたことも明かしています。
解任通達を受けたその日のナゴヤドームのオーロラビジョンに大きく「落合監督退任」と発表されていた
しかも、落合さんは、
今年のシーズンだけはオレに任せてくれるんだろ
と、確認したうえで、一度自宅に戻って家族に話し、それから試合のために球場に行ったそうですが、
なんと、ナゴヤドームのオーロラビジョンに、大きく「落合監督退任」と出ていたそうで、
（ホテルでの退任の話し合いが）終わるか終わらない時に（佐藤良平球団）社長が中日新聞の本社行って夕刊に間に合わせるような記事を作ったんだ。
で、普通だったら次の日の朝刊じゃない。で、その日の夕刊に間に合うようにそそくさと出て行って原稿にしたみたいだけどね。だから『なにこれ』っていうような感じだったんじゃない。選手にしてみれば
と、語りつつ、
割り切ったよ。契約社会だから。まあ女房と話して。ジタバタするのだけはやめようなっていうようなことでね
と、甘んじて受け入れたことも明かしています。
中日監督退任の2年後にはGMに就任していた
さておき、逆転優勝に向けて士気を高めていたチームにとって、このタイミングでの親会社の「落合監督退任」報道は晴天の霹靂（へきれき）だったと思われますが、逆にチームは結束を固め、見事、ヤクルトに逆転優勝。
日本シリーズでは、福岡ソフトバンクホークスに３勝４敗と惜しくも敗れますが、落合さんは、２０１１年１１月２０日、日本シリーズ終了を以って、監督を退任したのでした。
その後、落合さんは、翌２０１２年は、日刊スポーツ評論家に復帰するほか、フリーの解説者として活動すると、２０１３年１０月９日には、中日球団に新設されたゼネラルマネージャー（GM）へ就任し、２０１７年１月限りでゼネラルマネージャー（GM）も退任しています。
