阪神に一旦入団した後、すぐに巨人のエース・小林繁投手との交換トレードで、念願の巨人入りを果たした、江川卓(えがわ すぐる)さんですが、実は、江川さんは、交換トレードではなく、誰にも迷惑をかけない金銭トレードを巨人に頼み込んでいたといいます。
「江川卓のトレードを拒否していた阪神が一転受け入れた理由とは?」からの続き
協約違反との意見噴出で、小林繁は金銭トレードで阪神、江川の巨人へのトレードは開幕後とされた
1979年1月31日、一旦、阪神に入団してからすぐに、巨人のエースだった小林繁投手との交換トレードにより、念願の巨人入りを果たした江川さんですが、
球界内外からは、野球協約違反である「新人選手の開幕前のトレード」に批判が高まり、野球協約に則って「トレードは開幕後」とするべき、との反対意見が噴出。
すると、2月8日、金子コミッショナーは、当初、強く要望していた、「江川には一度阪神と入団契約を交わしてもらい、その後(キャンプ前に)すぐに巨人にトレードさせる形での解決を望む」との言をプロ野球実行委員会で全面撤回。
協約違反を回避するため、江川さんと小林投手の交換トレードという形はとらず、
- 小林投手は交換選手なしで阪神へ移籍(金銭トレード)
- 江川は(新入団選手は開幕までトレードできない)という野球協約通り、開幕日の4月7日以降に阪神に移籍
- 巨人は5月31日まで江川の選手登録を自粛する
と、決定されたのでした。
(そのため、江川さんはキャンプやオープン戦に参加していません)
金子鋭コミッショナーが江川騒動の責任を取って辞任
その後、金子コミッショナーは、この騒動の責任を取り、コミッショナーの辞任を表明しているのですが、
巨人の長谷川球団代表も、一連の騒動について全面的に謝罪し、プロ野球実行委員会の決定通り、公式戦開幕から2ヶ月間、江川さんの出場を自粛させることを発表しています。
江川卓は小林繁との交換トレードではなく金銭トレードにして欲しいと巨人に頼み込んでいた
ちなみに、江川さんは、金子コミッショナーの強い要望によって、阪神から巨人にトレードされるにあたり、「阪神からお金で買い取ってもらいたい」と、巨人に頼み込んでいたといいます。
(お金で解決したとなれば、誰にも迷惑をかけず、後腐(あとくさ)れなく巨人に入団できるだろうと考えたのだそうです)
しかし、金銭トレードではなく、小林繁投手との交換トレードだと聞かされたそうで、
江川さんは、
それでは約束が違います。誰にも迷惑をかけずに、巨人に入団できるはずじゃなかったんですか? 小林さんにそんな迷惑がかかるんだったら、話が違います
と、言ったそうですが、
江川さんの訴えは通らなかったそうで(結果、小林投手との交換トレードとなり)、江川さんは、その日から、小林さんに負い目を感じ続けることとなったのでした。
「江川卓の巨人入団1年目は小林繁の大活躍に霞んでいた!」に続く