1992年、映画「ミンボーの女」公開直後、作品の内容に強い不満を持つ暴漢に襲われ重症を負うも、圧力に屈しない姿勢を貫き、精力的に作品を発表されていた、伊丹十三(いたみ じゅうぞう)さんでしたが・・・

「伊丹十三は「ミンボーの女」公開直後に襲撃を受け重傷を負っていた!」からの続き

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死因は自殺?

1997年12月20日、事務所のマンションに隣接する駐車場で、伊丹さんが遺体となって発見されます。

そして、翌日の21日には、伊丹さんがワープロで打ったと思われる、

身をもって潔白を証明します。何もなかったというのは、これ以外の方法では立証できないのです。

という内容の、遺書らしきものが事務所から発見されたことや、争った形跡がないことから、警察は自殺と断定したのでした。

実は、翌日の12月22日に発売された写真週刊誌「FLASH」には、

「目撃撮!伊丹十三監督が援助交際!?26歳のOLとのデート現場」

との見出しで、伊丹さんが若い女性と二人で事務所に出入りしている2枚の写真が掲載され、お二人が交際している旨の記事が書かれているのですが、

今度の作品の脚本にOLの話が出てくるので、その生活ぶりを取材するのに会っているだけ。

との伊丹さんのコメントも掲載されており、警察は、伊丹さんの死をこの不倫報道に対する「抗議の自殺」ととらえたのでした。

自殺を疑問視する多数の声

しかし、伊丹さんを古くから知る、映画監督の大島渚さんや落語家の立川談志さんは、

不倫報道ぐらいのことで、あいつは自殺しない

飛び降り自殺は絶対に選ばない

と、この自殺説を否定。

また、伊丹さんは、自身のレタリングに誇りを持ち、書き文字には、人一倍、愛着を持っていたそうですが、にもかかわらず、遺書がワープロで打たれていたこと、そして、遺書の文章が、優れた知性を持つ伊丹さんとは思えない拙(つた)なさだったこと、

さらには、生前、伊丹さんは、写真週刊誌「FLASH」の記者から、不倫疑惑について尋ねられた際には、

妻に聞いてみればいいよ。(不倫疑惑は)いつものことだから

と、笑っておられたことなどから、自殺説を疑問視する声が多数あがったのでした。

医療廃棄物問題を突き止め殺された?

そんな中、伊丹さん他界の3ヶ月後、NHKが「伊丹十三が見た医療廃棄物の闇~
 病院の裏側を追った伊丹監督最後の3カ月間」
を放送し、伊丹さんが、亡くなる5日前まで、医療廃棄物の問題を取材していたことが明らかとなるのですが、

(伊丹さんは、本来ならば、適切に処理をしないといけない医療廃棄物を、不法に空き地などに捨てている医療関係者がいることに着目し、取材を重ねられていたようです。)

伊丹さんが、この取材を通して、「薬害エイズ並の一大スキャンダル」を突き止めたとも言われており、それが原因で、関係者に殺されたのでは、との「他殺説」も浮上します。

巨大宗教団体と暴力団の関係を暴こうとして殺された?

また、伊丹さんは、ある巨大宗教団体と暴力団の関わりを描いた映画の企画も進められており、このことを快く思わない暴力団関係者に自殺に見せかけて殺された、という説も根強くあるようです。

というのも、伊丹さんは、亡くなる直前、すきっ腹にヘネシーボトル1本を飲み干していることが検死で分かっており、自殺する直前の人間の行動としては非常に不自然なことから、犯人グループに無理やり飲まされ(流し込まれ)、昏睡状態となったところを屋上まで運ばれ、投げ落とされたのではないかとも考えられているのです。

(短時間で、度の強いアルコールを摂取すると昏睡状態に陥るそうです)

また、アメリカ人ジャーナリストのジェイク・エーデルスタインさんは、

暴力団関係者5人が、伊丹さんに銃を突きつけて屋上から飛び降りさせた

と、証言する者に、取材をしたことを自身の著書で明かされています。

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遺書は暗号だった?

さらには、「死をもって身の潔白を証明する」という遺書は、「誰かに殺された」を意味する暗号で、伊丹さんは、生前、妻の宮本信子さんだけにそれを伝えていた、とも言われているのですが、真相は分かりませんでした。

ただ、伊丹さんのパソコンには、宮本さんの写真が呼び出されていたことから、死の直前、宮本さんの写真を見ながら遺書を書かれていた可能性も高く、自ら、犯人に提案して遺書を書かれたのか、無理やり書かされたのかは分かりませんが、いずれにしても、伊丹さんは、宮本さんに最後のお別れをされていたのかもしれません。

さて、いかがでしたでしょうか。

伊丹さんの、

  • 本名は?出身は?身長は?父は?息子は?
  • 大学不合格⇒「新東宝」編集部⇒商業デザイナー
  • 俳優に転身
  • 伊丹一三から伊丹十三に改名
  • レポーターや雑誌「モノンクル」の編集長も
  • 映画監督デビュー作「お葬式」でいきなり高評価を受ける
  • 妻・宮本信子を主演とした「伊丹映画」を確立
  • 「タンポポ」
  • 「マルサの女」「マルサの女2」「あげまん」が大ヒット
  • 「ミンボーの女」
  • 襲撃事件で全治3ヶ月の重症
  • 脅しに屈せず映画を撮り続ける
  • 死因は自殺?
  • 自殺を疑問視する多数の声
  • 医療廃棄物問題を突き止め殺された?
  • 巨大宗教団体と暴力団の関係を暴こうとして殺された?
  • 遺書は暗号だった?

について、まとめてみました。

数多くの脅迫や嫌がらせを受けながらも、その屈強な精神力で圧力に屈することなく、常に日本社会の暗部をえぐる作品を世に送り出し、問題提起するとともに、そのコミカルな演出で私達を楽しませてくれた伊丹さん。

この機会に、「ミンボーの女」で暴漢に襲われて以来、常に死を覚悟していたとも言われている伊丹さんの数々の作品をご覧になってみてはいかがでしょうか。

伊丹さんのご冥福をお祈り致します。

「伊丹十三の本名は?息子は?お葬式で監督デビュー!ミンボーの女で襲撃!」

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