「ドラえもん」「パーマン」「キテレツ大百科」「エスパー魔美」「21エモン」など数々の超人気漫画を生み出し、国民的漫画家となられた、藤子・F・不二雄こと、藤本弘(ふじもと ひろし)さん。今回は、そんな藤本さんの、少年時代、相方の安孫子素雄(藤子不二雄A)さんとの出会い、漫画家を目指したきっかけについて、調べてみました。
年齢は?出身は?本名は?ベレー帽は?
藤本さんは、1933年12月1日生まれ、
富山県高岡市定塚町のご出身、
本名は、
藤本 弘(ふじもと ひろし)、
学歴は、
高岡市立定塚国民学校(現・定塚小学校)
⇒富山県立高岡工芸高等学校電気科卒業
趣味は、
鉄道模型、カメラ撮影、ジオラマ制作、特撮、プラモデル、ラジコン恐竜、
ちなみに、藤本さんといえば、ベレー帽とパイプがトレードマークですが、ベレー帽は、相方の安孫子素雄さんから譲り受けたことがきっかけでかぶるようになったそうで、
安孫子のほうがおしゃれだから、僕より似合ったはず
と、思いつつも、かぶるようになったのだそうです。
(安孫子さんは、知り合いからもらったものの、あまりかぶる気になれなかったため、そのまま藤本さんに譲られたのだそうです)
少年時代はいじめられっ子
藤本さんは、お父さんがいない家庭で一人っ子として育ち、小柄で体が弱く、スポーツが苦手で、何をやってもテンポが遅れて流れに乗れない性格だったことなどが災いして、小学校時代には、壮絶ないじめに遭ったそうですが、
絵が上手だったため、番長格の少年から似顔絵を評価され、ようやくいじめから抜け出すことができたそうです。
幼少期の藤本さん。
そんなこともあってか、藤本さんは、空飛ぶ円盤、ネッシー、超能力など、不思議なもの、非日常的なものが好きで、いつも空想の世界に逃げ込んでは、木の上の家、有線放送、重力自動車、鉄道坂道など、空想を題材にして、遊ぶことがが好きな少年だったそうです。
安孫子素雄(藤子不二雄A)との出会い
そんな藤本さんは、小学校5年生の時、休み時間に一人で絵を描いていた転校生の少年(安孫子素雄さん)を見つけると、
お前絵うまいのぉ
と、話しかけたことがきっかけとなり、安孫子さんと仲良くなります。
以降、二人は一緒に遊ぶようになったそうで、中学校は別々になってしまったものの、よく待ち合わせをして一緒に帰ったり、映画を観に行かれたのでした。
ちなみに、後に安孫子さんは、この頃の藤本さんについて、
中学になり、彼は星や宇宙に興味を持ち始めたんです。星座にすごく詳しかった。ボクは北斗七星しか知らなかったが、彼はいろんな星座を知っていましたね。「火星には火星人がいるかも」と、そういうことをよく話していましたよ。
星を見ていろいろと類推して科学的に組み立てていく。興味の対象がどんどん広がっていくんです。未来のことと同時に古代史にも関心があった。とくに古代ローマ史が好きだったですね。
映画『クオ・ヴァディス』がきたときなんか、毎日のように映画館へ通っていました。セシル・B・デミルの映画『十戒』なんかも大好きでした。そういえば藤本君は『十戒』の預言者、モーゼに似ていましたね
と、明かされています。
手塚治虫の「新宝島」に衝撃を受け、漫画家を目指す
そして、1947年、藤本さんが中学1年生の時、手塚治虫さんの長編漫画「新宝島」という単行本が発売されるのですが、安孫子さんと本屋に一冊だけ置いてあった漫画本を買って、二人で公園で読むと、強烈な衝撃を受けられます。
1947年に定価23円で大阪市東区十二軒町七の育英出版社から発行された「新宝島」
というのも、この頃の漫画といえば、「数ページほどの短いもので話(展開)が単純」なものだったのですが、
(戦前には、長編漫画があったのですが、第二次世界大戦が近づく中、表現規制が厳しくなり、廃れていったそうです)
この「新宝島」はというと、当時としては破格の全190ページにも及ぶ長編のうえ、内容も、夢とロマンとスリルに溢れた冒険小説で、
藤本さんらは、紙面上で繰り広げられる、セリフに頼らないスピーディな展開に、
絵が動いている!
と、感動して、すっかり魅了されたのでした。
(この「新宝島」は、当時19歳だった手塚さんが、戦前から活躍を続けていた酒井七馬さんとともに手がけた、戦後初の長編漫画だったそうです)
この出来事以降、藤本さんは、安孫子さんと毎日のように本屋を訪ねては、発売されたばかりの手塚作品の初版本を、ほぼすべて買い集めるほど夢中になり、
また、高揚する気持ちを抑えられず、手塚作品を誰彼なく見せて歩いては、相手が読み終わるまでそばで反応を見ることを繰り返し、期待通り相手がおもしろがってくれないと、
こいつ鈍いんじゃないのか
と、不満に思うほど、のめりこんでいかれたのでした。
「藤子不二雄のデビュー作は?手塚治虫との出会いはファンレターから!」に続く
藤本さん(左)と安孫子素雄さん(右)。